海外大学進学情報

【緊急 新型コロナウイルス情報】海外大入試は何が変わる?どう対策する?

現在、世界で猛威をふるい続けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。収束の兆しがなかなか見えない今、受験生としてはどんな対策をしておくべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか?世界的に大流行中のコロナウイルスは、海外大の入試システムさえも変えてしまいつつあります。多くの大学が2021年秋入学に向けた入試方法の再検討を表明し、入試に必要なテスト自体も受検方法の変更を検討し始めているのが現状です。まずはここで一度、海外大入試に関する最新の動向をチェックして、「アフターコロナ」に備えて今できることをしておきましょう。

新型コロナウイルスで海外大入試はどう変わる?

海外の大学は入試要件の変更を検討し始めている

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により、海外の大学では2021年秋の入学に必要な入試要件の変更を発表するケースが増加してきています。

たとえばアメリカを例にとると、全米で多くの高校が閉鎖されていたり、学年末まで遠隔教育が行われたりなどの状況があります。そこで、2021年秋入学を目指す学生に対して出願に必要なテスト要件(SAT®またはACT)をオプションに変更する、もしくは一時的に除外するなどの対応をとる大学が50を超えています。

SAT®・ACTに関する入試要件を変更した大学の例(アメリカ)

■カリフォルニア大学(University of California)〔公立〕

カリフォルニア州オークランドに本部を置き、アメリカ最大規模の州立大学群を形成している公立の名門大学である同校は、カリフォルニア大学システム(UC system)に参加するUCLAなど10大学すべてで、2021年秋入学を希望する学生の出願に際し、標準化テストに関する要件(SAT®およびACTのスコア提出)を一時的に停止

■ウィリアムズカレッジ(Williams College)〔私立〕

マサチューセッツ州ウィリアムズタウンにあり、US News & World Reportによる2020年度の「National Liberal Arts Colleges」ランキングで全米1位を獲得している名門リベラルアーツカレッジである同校は、2021年秋入学となる新入生・編入生の両方で標準化テスト(SAT®およびACT)のスコア提出をオプションとし、受験生が自ら選択できるように変更

もちろん、入試のテスト要件を変更する大学が増えているとはいえ、大学の対応は公立・私立問わず、様々です。現状ではハーバード大学(※1)、イェール大学、スタンフォード大学等の有名私立大学などで、入試要件からSAT®/ACTを除外していない大学もあります。入試要件を変更している大学も、2022年以降の入試がどうなっていくかは不透明な状況です。今後、アメリカを含む海外大学への出願を考えている方は、まずは各大学が発表している最新の入試要件を逐一チェックしていくことが非常に重要です。

※1 SAT Subject Testsについては、これまで提出が推奨とされていましたが、「提出しなくても不利にはならない」もしくは「SAT Subject Testsは合否判定材料として考慮しない」とされています。

また、要注意ポイントとしては、入試要件の変更がある場合は、合否判定における各種の提出書類の重視傾向(採点ポリシー)が各大学で変わってくる可能性があることが挙げられます。今現在明確に発表されているケースはほとんどありませんが、とくにエッセイの重要度などは増すことが考えられますので注意が必要です。また、学力を確認するためのSAT®やACTが入試要件から外れるのであれば、高校の成績がより重視されるようになることも考えられますので、普段からの学習をしっかり積み重ねていくことも大切です。SAT®/ACTの対策に費やすはずだった時間や労力は別の対策にあてることができるようになるので、大学の出願要件にあわせて、どこに力を入れて対策をしていくべきかパワーバランスをしっかり考えていきましょう。

大学出願プロセスに必要なテストの受験形態にも変更あり

大学出願時のテスト要件が変更になっているケースも多々ありますが、そもそも出願に必要とされていた各種テストの運営・実施状況にも大きな影響が出ています。

留学生によっては非常に重要なTOEFL®テスト、IELTSなどの英語テストは、現状、日本をはじめ多くの国で一時中断となっています。
国のレベルでいうと、例えばアメリカでは、全国の高校が閉鎖または運営が制限されているため、ACTおよびSAT®は6月まですべての試験がキャンセルされています。
またイギリスでも全土の学校が閉鎖され、5、6月に予定されていたGCSE(義務教育期間の修了時に行われる全国統一テスト)とA-level(大学入学資格として認められる統一テスト)がキャンセルとなっています。
世界での新型コロナウイルスに関する状況は常に変動しており、それに応じて新たな対策が次々と打たれている渦中です。各国政府や各機関の公式サイト等での発信をこまめにチェックし、リスケジュールのキャッチアップをしっかり行うことが大切です。

日本ではTOEFL®テスト、IELTSはオンライン受験が可能に

留学に際してはほぼ必ず必要となるTOEFL®テスト、IELTSは、テストセンターの閉鎖により試験の中止が続いていますが、いずれもオンラインでの受検ができるようになっています。自分の状況にあわせて、オンライン受検を検討してみるのもよいでしょう。

■TOEFL iBT®テストのオンライン受検

新型コロナウイルスへの対応策として、日本をはじめとする世界中の国々(中国本土、イラン除く〈4/2 時点〉)において下記の自宅受験用TOEFL iBT®テストが実施されています。

◎「TOEFL iBT® Special Home Edition

デスクトップまたはノートパソコンを使用(タブレットまたはモバイルデバイスは使用不可)したオンラインテストです。中国本土とイランを除くほとんどの国の学生が自宅でテストを受けられ、獲得したスコアは公式スコアとして教育機関等に送付することが可能です。

■IELTSのオンライン受検

新型コロナウイルスが原因でIELTSのテストが中断または制限されている特定の国で、期間限定で下記のテストが実施されています。

◎「IELTS Indicator

日本を含む、IELTSのテストが実施できない特定の場所で利用できる、デスクトップまたはノートパソコンを使用(タブレットまたはモバイルデバイスは使用不可)したオンラインテストです。IELTSが再開されるまでの期間限定で利用できるもので、週に1回、予定された時間にオンラインで配信されます。

※IELTSの通常テストに置き換えられるものではないため、大学等の教育機関で受け入れられるかは個別に確認が必要です。

ACT、SAT®もオンラインテストに向けて進んでいる

アメリカの大学で出願要件とされていることが多いACTおよびSAT®でも、受験生のために様々な対策を講じています。このままテストの中断が続く場合は、オンラインテストの導入も予定されています。

◆ACT

2020年の晩秋~冬の初めにはACTのオンラインテストを開始すること、および今秋にACT個別セクションの再テストを実施することなどの、新しいテストオプションの提供を発表しています。詳細については未発表ですが、ACTは現在、オンラインテスト用に遠隔監視システムを準備中であり、それを用いて自宅でのテストをテストプログラムの一環として提供する予定です。

また、ACTを運営するACT Inc.は、新型コロナウイルスの影響を受ける学生・教師・大学を対象とした、無料のデジタル学習リソースとワークフォースリソースを備えたウェブサイトを立ち上げました。

【参考ページ】:ACT is offering digital learning and workforce resources to assist students, teachers, schools and workers impacted by COVID-19.

◆SAT®

3,5,6月のテストが中止となったため、SAT®を運営するCollege Board®は公衆衛生状況が許せば8月~12月まで毎月SATを開催する予定(昨年と比べると、9月、11月に新たに開催)としています。ただし、今秋に学校が再開されない場合は家庭用のデジタルSAT®を提供する予定です。

College Board®が運営するプログラム・テストにおいては、すでに2020年の5月に、300万人の受講生を対象としたAP(Advanced Placement)テストが在宅で受験できるように手配されています(APプログラムのオンライン化スタート)。
そもそもAP(アドバンスト・プレイスメント)プログラムとは、高校生に大学の入門レベルのカリキュラムや試験を提供するプログラム。College Board®によって運営され、IB(国際バカロレア)と同様に、学習への高い意欲を示す高校生を対象とした高度な教育プログラムとして、世界的に認知されています。主にアメリカとカナダの高校で実施されていますが、ヨーロッパやアジアの一部の高校でも採用されています。
APプログラムの履修者は5月初旬に全世界共通のAPテストを受けて、1から5まで(5が最高)で評価されることになっていますが、College Board®は学校でAPの授業が受けられなくなった生徒向けに、APの復習コースをオンラインで提供しています(College Board®のYouTubeチャンネルで無料視聴が可能)。
一般的な高校生が3月上旬までに学んだ範囲から出題されるAPテストは、通常3時間前後のテストとなりますが、2020年は45分の自由記述方式の簡略版テストがオンラインで受けられるようになり、結果は通常のテストと同じように扱われる見込みです。

オンラインで受けられるプログラムやテストが増えることは、受験生にとっては学びへのチャレンジの機会が増加するという意味合いでは、「メリットもある」と受け止めることもできます。このような時だからこそ機会を逃さないように、自分が必要とするテストの最新情報は常にチェックしておくよう心がけましょう。

海外大学では、入試に関する様々な変更がすでに行われており、今後も続いていく可能性があります。これらの対応はまぎれもなく、「憧れの大学で学びたい」と願う受験生の不安を少しでも解消するために検討されているものです。困難な時期ではありますが、逆にこれを機に、もしかしたらこれまでより柔軟な受験スタイルや、留学生にとって有利な入試システムが実現するかもしれませんし、海外での学びの選択肢が増える場合もあるかもしれません。また、どのような入試形態になるにせよ、海外大学への入学に必要とされる力そのものが変わるわけではないことは、間違いないでしょう。今は、家にいる時間を有効活用し、最新の状況を細かく確認しながら、しっかりと今この時にできる対策を続けていってください。

※この記事でご紹介している内容は2020年5月1日現在の情報に基づいています。

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