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海外大研究シリーズ【アメリカ編⑤】コロナ前から全てオンライン!の最難関校「ミネルバ大学」

世界的なコロナ禍により海外渡航もままならない現状を受けて、世界の人気大学を中心に「そこが知りたい!」と思うポイントをまとめてお届けしている海外大学研究シリーズ。アメリカ編の5回目として今回取り上げるのは「ミネルバ大学」です。コロナ禍において各大学がこぞってオンライン化を進めている中、2014年の開校時からキャンパスを持たず、オンライン+アクティブラーニング中心の「21世紀型エリート大学」として知られるミネルバ大学。設立からわずか7年程度の新設校でありながら、世界最難関の大学の1つにかぞえられるほどの評価を得ているミネルバ大学の「今」をご紹介します。

コロナ前から全てオンライン!の最難関校「ミネルバ大学」

ミネルバ大学(Minerva Schools at KGI)の基本データ

設立年 2014年
所在地 カリフォルニア州サンフランシスコ(本部)
学部数 学部課程:芸術と人文科学、ビジネス、計算科学、自然科学、 社会科学の5つの学士号をとれる認定学部
大学院課程:意思決定分析科学の修士号(パートタイムプログラム)
学生数 約600名(1学年約120~200名)
大学ランキング
アメリカ国内での主な分野別ランキング
授業料(*)と財政援助 ●学部授業料 14,450ドル/学生サービス 2000ドル
●低金利のローン(4年間で22,000ドルを超えない)と就労研究の機会で構成される財政援助パッケージあり (ほかにニーズベースの奨学金も提供されている)
合格率 1~2%程度(入学定員はないため、一定の水準を超えると合格となる)
留学生率 78%
合格基準の目安 (SAT®/ACT、TOEFL®テスト等のスコアは必要なし)
立地環境 特定のキャンパスはなし。在学する4年間に、世界7都市(アメリカ・サンフランシスコ、韓国・ソウル、インド・ハイデラバード、ドイツ・ベルリン、アルゼンチン・ブエノスアイレス、イギリス・ロンドン、台湾・台北)にある寮を移り住む
著名な卒業生
公式URL https://www.minerva.kgi.edu/

* 費用は2021〜2022年度の推定費用(公式サイトより)

ミネルバ大学の特徴

校風

「高等教育の再創造」を掲げて創立された実験的高等教育機関であるミネルバ・プロジェクト(Minerva Project)が、Keck Graduate Institute(KGI)をパートナーとして開校した、私立の4年制総合大学。特定のキャンパスを保有しておらず、学生は4年間で世界7都市を移り住みながら、オンラインで授業を受講します。1年目はサンフランシスコで学び、翌年からはソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北を巡ります。唯一無二ともいえる異色のカリキュラムに魅力を感じた優秀な学生が、世界中から集まる多国籍な環境です。意欲的で好奇心旺盛な学生が多いと言われています。

どのような学生が求められているか

入学審査では、学業の卓越性だけでなく、個人の情熱と業績が評価されます。ミネルバの学生には、「さまざまなテーマへの幅広い関心」「世界とその人々への好奇心」「卓越するための継続的な前進」「コミュニティ指向」「独創的で起業家精神」「潜在的なリーダーシップ」「コラボレーション能力」といった属性が求められています。出願者は、ミネルバコミュニティと社会全体の両方に有意義に貢献できるように準備する必要があります。
出願・審査はすべてオンラインで行われます。出願登録のプロセスは、「パート1:Who You Are(誰であるか)」「パート2:How You Think(どのように考えているか)」「パート3:What You Have Achieved(何を達成したか)」という独自の3部構成となっており、公式サイトのApplicationページで氏名等の基本情報、学校での成績、独自の課題に対する回答、課外活動の内容とその成果を証明するものなどを入力します(最終的に成績証明書等の提出が必要)。受験料は不要。SAT®/ACTのような標準テストのスコアは必要とされませんし、入学定員の上限もありません。性別や国籍などによる制限や優遇措置もなく、提出された内容をもとに評価されます。

授業の特徴

学部課程は芸術と人文科学、ビジネス、計算科学、自然科学、 社会科学の5つの学部(専攻)があり、それぞれの専攻の中に6つの専門分野(Concentration)があります。授業はすべてオンライン、脳科学に基づいた100%アクティブラーニングで、全クラスが20名未満の少人数制。授業に参加する場所は特定されておらず、パソコンとインターネット接続環境があればどこでも受講可能です。 プログラムはディスカッション中心のセミナー形式の授業と、各地の企業や政府、自治体と協働することで課題解決の手法を学ぶプロジェクト学習の組み合わせで構成されています。セミナー形式の授業はActive Learning Forumと呼ばれる独自のオンラインアプリケーションを通じて行われます。

4年間のカリキュラムは、独自に設定された「4つのコア技能」に基づき、理解の幅と専門知識の深さのバランスがとれるように明確に設計されています。1年目は、ミネルバの学生にとって共通の基盤となる批判的思考、創造的思考、効果的なコミュニケーション、効果的な相互作用の4つのコアコンピタンスを磨く4つのCornerstoneコース(全部で32単位)に専念。2年目に学位を取得する主専攻の方向性を設定し、より専門化されたコースで学びを深めていきます。

施設・設備の特徴

1つの都市に固定された特定のキャンパスがないのが、ミネルバ大学の大きな特徴です。世界7都市の各地に学生寮があり、原則として各都市で全生徒が入居します。学生たちはそれぞれの場所で生活しながら、滞在都市にある最新の研究施設や芸術施設、図書館などを利用し、街自体をキャンパスとして活動します。また現地の企業、行政機関、市民団体等との協働プロジェクトやインターンシップを経験することができるのも魅力の1つです。

学生生活の特徴

全寮制を採用しているため、4年間、世界7都市の寮をまわりながら共同生活をします。各都市の学生寮を取り巻く地域の文化や風土、コミュニティはそれぞれに異なります。世界の異なる文化圏から集まった多様な学生が、複数の都市を巡りながら共に生活することで様々な価値観に触れることができます。また、学生はその時々で生活している場所でのプロジェクト学習や社会貢献活動を行うため、現地の課題を含めたリアルな異文化体験もできます。
ミネルバ大学ではクラスメートや学生生活を支えるスタッフと協力して、学生主導の課外活動も行われています。テーマとしては、持続可能性、ストーリーテリング、健康、ハッカソン(ソフトウェア関連プロジェクトのイベント)、サッカー、社会正義、起業家精神などがあります。

卒業後の進路

ミネルバ大学の初年度入学の学部生は、2019年に卒業を迎えました。103人の学生のうち、64%が6か月以内にフルタイムの職業に就いている、または大学院プログラムに在籍しています。なお、卒業生の16%がテクノロジー部門の仕事に就いています(Google、Twitter、Uberなど)。

コロナ禍での授業

ミネルバ大学では、英語圏の一流のカレッジや大学に入学を認められたものの、2020-21年度に在籍するためのビザ、旅行制限、その他の影響を受け、入学登録の問題に直面している学生(留学生)を対象とした、Visiting Scholars yearプログラムの提供を発表しています。
このプログラムでは、学生は客員研究員(Visiting Scholar)としてミネルバ大学の1年生のカリキュラムと同じ4つのCornerstoneコースを、世界中のどこからでもリモート受講することができます。コースの単位は、基本的には他の高等教育機関に移すことが可能です(受入れ大学の基準による)。

<Visiting Scholars yearプログラム>
●プログラムの年間費用:16,450ドル(授業料:14,450ドル・諸経費:2,000ドル)
●今後のプログラムの期間:2021年から2022年の全学年(9月から4月)
※2020年秋学期(9月から12月)は終了

注)2021-2022年度の秋学期:2021年9月6日から2021年12月9日まで/春学期:2022年1月10日から2022年4月14日まで


 

 

世界中から優秀な学生が集まる、全米屈指の全寮制オンライン大学。あえて特定のキャンパスを持たず、世界の都市を巡りながら、独自の学習プラットホームを用いたオンライン授業カリキュラムで学ぶ、といった非常にユニークな運営方法により、従来の大学が抱える様々な課題を解決しているとして、開校時より大きな注目を集め続けています。
世界の大学ランキングに出てくることはありませんが、これまでの「大学」の概念を根本から覆し、革新的な高等教育を展開している新時代の大学と言えるでしょう。コロナ後、オンラインの学びがさらに多様化し、学生たちが「どのように学びたいか、そのためにどんなスタイルの大学を選択するか」が、今後ますます重要になってくるはずです。「ミネルバ」という新しい選択肢も、覚えていて損はありません。

※この記事でご紹介している内容は2021年2月12日現在の情報に基づいています。

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