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留学は「何を学ぶか」で決める! -3- 「環境科学」に強い大学・学部の特徴とは?


「何を学ぶか」を重視し、人気の専攻分野から留学先を考えるシリーズの第3回。今回は、「環境科学」を取り上げます。地球環境への関心の高まりと同時に、環境系学位プログラムの人気も高まっています。その1つが生物科学、地球科学を中心とした「環境科学」の分野。海外では非常に多くの大学で環境科学のプログラムが用意されており、最新の研究設備で、世界中から集まる学生や研究者によってトップレベルの研究が行われています。

環境科学に強い海外大学・学部

海外大学で学べる「環境科学」

地球規模で起こっている温暖化などの気候変動、大気や水質などの環境汚染、生態系の崩壊による野生動物の絶滅危機など、現代では様々な環境問題が表面化しています。地球環境を取り巻く諸問題が日々増加し続ける中で、豊かな地球を次世代に引き継いでゆくためにはどうしたらよいか、持続可能な社会を作るにはどうすればよいか、という課題に世界全体が直面していると言えるでしょう。環境科学は、地球上で起こる物理的、化学的および生物学的プロセス、さらには地球に影響を与える社会的、政治的および文化的プロセスの研究を取り入れ、人類と環境との間の複雑な関係について追究していく学問です。

環境科学は主に自然環境について科学的知見から研究を行う学問ですが、社会や都市など、私たちを取り巻くあらゆる事象を対象に研究を進めるため、非常に学際的な学問でもあります。様々な分野の知識とスキルを組み合わせて構築されており、とくに生物学、化学、物理学、地理学、地球科学、海洋科学、生態学、バイオテクノロジーなどの学問的背景が強く必要とされますが、それだけではなく経済学、ビジネス学、社会学などの社会科学の側面も必要になります。多様な分野の中でどれが最も重視されるかは、選択する専門分野によって異なってきます。環境科学における専門分野は、特定の生物や生態系を詳細に理解することから、環境システムや全惑星レベルでの変化の研究まで、非常に多岐にわたります。

【専門分野の例】

  • ・土壌生態学
  • ・水生生物学
  • ・環境および生物学的保全
  • ・エネルギーと気候変動
  • ・地球システム
  • ・公害防止

環境科学の学位取得は通常、学士号で3年から4年、修士課程で1年から2年が必要です。学習の初期段階では、環境科学の基礎となる物理学、生物学、化学、数学、統計学、経済学、地理学などの科目が必修となります。学習が進んでくると、学生は興味のある分野やテーマ、トピックを選択し、専門生を高めていき、最終的には自らが選択したトピックについて深く研究を進めていくことが求められます。評価方法には、エッセイ、書面による討議、試験、問題シート、実験室報告書、実地演習、実地ノート、セミナーのプレゼンテーションなどが挙げられます。
また、環境科学においてフィールドワークは非常に重要な手法であり、多くの時間が費やされます。フィールドワークを通して、特に科学的見解から水質、土壌、大気を汚染している実際の度合いを測定する環境アセスメント(環境影響評価)の手法を学ぶことができます。調査、予測、評価の項目である大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭などの公害、および地形、地質、植物、動物、景観などの自然環境の保全についての幅広い知識が必要となります。

環境科学系の学部を卒業すると?

世界的に環境に対する関心が高まり、ビジネスでも政策でも、現代では環境への配慮を抜きに考えることができなくなっています。環境についての幅広い知識やスキルを身につけた環境科学系の学位取得者への需要は非常に高く、幅広いキャリアの可能性が開けています。

環境科学を学んだ卒業生が進む職業として挙げられるのは、まず環境コンサルタント業です。既存または計画中のプロジェクトの環境影響を評価し、環境に関連する諸問題や関連する法規制について政府または民間のさまざまな組織への助言を行うことで、企業や団体がより持続可能となることを助けます。
自然環境の保護と促進に焦点をあてた活動をしていきたいならば、自然保護に関する職業に就くパターンもあります。生物多様性を高めたり、特定の種を強化するためのプロジェクトの計画や監督などを行う仕事で、慈善事業や非営利団体、国立公園や自然保護区、私有地、地方自治体、コンサルタントなどが雇用主となります。
そのほかに、学校やイベント、講座などで環境に関するトピックを取り上げて、意識や理解を深めていく環境教育に関する仕事、持続可能な開発を促進する環境戦略を開発し実行する環境管理の仕事、廃棄物削減方針の策定と実行を行うリサイクルに関する仕事、廃棄物処理施設やリサイクル施設の組織化と管理を支援する廃棄物管理の仕事、水資源を調査・テストし、水質を改善するために具体的な行動を開発する水質管理の仕事などが考えられます。

コアとなる専門分野に特化した環境科学系の修士号または博士号を取得すると、さらに市場価値は高まります。環境に関する研究者を目指すのであれば、博士号を取得する必要があるでしょう。

世界で「環境科学」に強い大学

イギリスの大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ社(Quacquarelli Symonds :QS)」が毎年公表している、2019年の環境科学に関する大学ランキングでは、世界各国から300校がランクされています。ここではQSで上位にランクインしている大学のうち、ユニークな取り組みをしている4校を取り上げ、それぞれの大学・学部で何が学べるかをご紹介します。

■ETHチューリッヒ – スイス連邦工科大学(ETH Zurich – Swiss Federal Institute of Technology)[スイス]

スイスの公立大学であるETHチューリッヒは、科学技術分野で世界をリードする大学の1つであり、最先端の研究と革新で知られています。工学、建築、化学、物理学など科学研究を行う16の学科がありますが、いずれもしっかりした理論と実用的なアプリケーションを組み合わせた教育・研究が行われており、ほとんどの学位プログラムは強固な数学的基礎の上に構築されています。学部生の場合、主な教育言語はドイツ語ですが、修士課程および博士課程のほとんどが英語です。
環境科学の学士プログラムは3年間。最初の2年間は、化学、物理学、生物学、数学、地球科学の基礎および法律、経済学といった幅広い知識を吸収します。講義、インターンシップ、フィールドワーク等で大気や水・土壌、土地利用システム(森林・農業)などについて学んでいきます。2年目からは社会的および人文科学的側面をどのように考慮に入れるかも学びつつ、3年目には以下の専門分野から1つを選択します。

  • ・空気と気候
  • ・生物地球化学
  • ・人間環境システム
  • ・環境生物学
  • ・森と風景

3年目にはスイスまたは海外の別の大学で、決められた期間、有機農業、林業、環境医学、環境管理、エコツーリズムなどの環境教育プログラムを学ぶことも可能です。環境科学の学士号を取得すると、ETHチューリッヒの環境科学または環境工学の2年間の修士号プログラムに進むことができます。

■カリフォニア大学バークレー校(University of California, Berkeley:UCB)[アメリカ]

アメリカの州立の研究大学であるカリフォルニア大学を構成している10の研究大学の中でも、最も古い歴史を誇る中核的機関の1つ。環境に関する多くの学位プログラムがありますが、環境科学を専攻とするBS(理学士号)は、自然システム上の人間活動の影響を扱う学際的なプログラムとして、科学的観点から環境問題を研究するために設計されています。自然系に対する人間の相互作用の影響から生じる問題に取り組むために、学生は生物学、生態学、化学、毒物学、地質学、水文学、気象学、地理学、工学、統計学、行動科学、政策分析、経済学、法律などの様々な分野から、ツールと技術を適用する訓練を受けます。
低学部課程(新入生および2年生レベルの課程)では、生物学、化学、数学、物理学、経済学および環境科学など、学問のバックグラウンドとなる様々な分野の基礎科学を学びます。上級課程(ジュニアおよびシニアレベルの課程)では、上級研究論文セミナーに備えるために、統計、研究方法論、および環境モデリングに関する課程およびコースを選択します。学生は自分の研究目的に合わせてコースワークを調整できます。その後、上級研究セミナーで各学生が自分で選んだ1年間にわたる研究プロジェクトを企画・実施し、上級論文で学位を取得します。学生は環境問題を調査し、独自の研究を設計・実行し、そして口頭および書面の形で結果を提示します。
卒業生のキャリアとしては、公的機関、非営利団体、および民間企業において、環境コンサルティング、教育、健康、または法律、ならびにコミュニティ、都市、または地域の計画およびその他の関連する環境保護の分野などが挙げられます。環境政策および管理、ロースクール、医学部(およびその他の保健前プログラム)、環境工学などの様々な大学院プログラムに進むことも可能です。

■ワーゲニンゲン大学&研究センター(Wageningen University & Research)[オランダ]

ワーゲニンゲン大学&研究センターはオランダで最も優れた大学と言われており、健康食品や生活環境の分野に焦点をあてた世界でも有数の国際大学の1つです。6つの学士課程を有しており、中でも農林科学の分野では、QS世界大学ランキングで1位を獲得しています。
環境科学の学士課程は、地球上にいる70億人もの人々の健康的な生活環境をどのように確保するかをテーマとした学際的なプログラムです。汚染、気候変動、天然資源の枯渇などの環境問題を調査する方法を学び、人と環境の相互作用を理解するために、自然科学、社会科学、技術科学を統合し、地球の将来のために持続可能な解決策をデザインするためのスキルと知識を開発することを目指しています。 環境科学の学士号プログラムは3年間(年間60単位)。1学年度は6つの教育期間に分かれており、通常、各期間の最初の6週間は授業と実習に費やされます。第7週は、第8週に行われる試験の準備のための期間となります。
1年目は数学、統計学、化学、物理学の基礎知識の習得が主な授業になります。これらの基本コースのほかに、土壌、水、環境政策などの環境問題に関する入門コースも同時に学びます。2年目は大気質、環境技術、環境システム分析、持続可能性の推移に関するコースなどが用意されています。「環境品質とシステム分析」、「環境技術」、または「環境政策と経済学」の3つの専攻のうちの1つを選び、さらにより専門的な内容を学んでいきます。小グループで、会社または組織の調査を行い、持続可能な方法で課題を解決することに挑戦する授業もあります。3年目には、専攻分野に関する論文をまとめます。

■クイーンズランド大学(The University of Queensland)[オーストラリア]

世界でもトップクラスの大学として知られ、オーストラリアでは「Group of 8」 と呼ばれる国内の名門8大学のうちの1校に数えられています。
環境科学の学士号は、環境プロセスと、物理的および生物学的環境に対する人間の活動の影響を説明、監視、予測する方法を学ぶ4年間のプログラムです。地球資源、エコロジーと保全、環境毒物学、または天然資源科学の4つの分野の中から1つを選んで専攻します。最初の3年間で基本的な科学知識を学び、4年目にその知識を生かして独立したプロジェクトを実行します。

・地球資源専攻:主として物理的環境の調査を行います。鉱物、化石燃料、水、その他の資源を抽出することによる影響を最小限に抑え、地震、洪水、浸食などの地質現象を理解するための重要な知識とスキルを身に付けることができます。
・エコロジーと保全専攻:自然環境における動植物種の関係に焦点を当てています。環境変化と人間活動がそれらの数にどう影響するか、そしてどの保全方法が生物多様性を最もよく保護するかを考えていきます。
・環境毒物学専攻:土壌、空気、水に含まれる化学汚染物質に関する問題と、それが人間の健康と環境に与える影響を特定し、定量化します。現存する、または新たに出現する環境毒素を特定することの緊急性と、そのリスクに対処し、規制を実行する方法を学びます。
・自然資源科学専攻:景観の物理的要素(土壌、水、植生)とそれらに対する人間の使用の影響に焦点を当てています。環境プロセスと、それらをどのように記述、監視、予測することができるかを研究し、そして持続可能な未来のための解決策を考案します。

今後、世界的にさらに注目度がUPすることが確実
環境科学を学ぶなら研究が進んでいる海外で

環境に対する意識や関心、配慮が必要不可欠なものとして定着しつつある現代社会において、環境科学が果たす役割は非常に大きなものになってきています。学問としての重要度はもちろん、学んだことを生かして活躍できる場は政府・民間を問わず、あらゆる場面で広がっています。環境科学は、間違いなく今後ますます注目を浴びる分野と言えるでしょう。地球社会の未来のために環境科学を学ぶなら、ぜひ海外に出て、最先端の研究に触れてみてはいかがでしょうか。
環境科学の分野で高い評価を受けている大学は、アメリカ、イギリスのほかにスイス、オーストラリア、カナダなど世界に広がっています。海外で最先端の環境科学を学ぶためには、高い言語能力が必要となります。とくに英語に関しては、日常的なコミュニケーションはもちろんのこと、大学の授業で困らないようなアカデミックで実践的な力が必須です。環境科学を海外大学で学ぼうと思っているなら、とにかく英語力をしっかり身につけて、準備していきましょう。

※この記事でご紹介している内容は2019年5月31日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年5月31日に掲載されたものです。

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