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躍進中!アジアの理工系大学3選

ここ数年、アジアへの留学が注目を集めています。アジア圏の大学であっても、英語で留学ができる国や地域・大学が、実は数多く存在します。近年は、留学に関するシステムやカリキュラム等が整備されていて、英語で問題なく意思疎通や学習、研究ができ、先進国並みに快適な生活を送れる国も。欧米への留学と比べると、比較的安価な費用も魅力です。そんなアジアで注目の、「語学以外を目的にできる」大学として、最近躍進中の理工系大学を3校ご紹介します。

アジアの英語圏で高い評価を受ける理工系大学

アジアの中の英語圏の国・地域は?

アジアに位置しながらも、英語圏と言えるような国や地域は意外とたくさんあります。いくつか例を挙げてみましょう。

シンガポール

近年、目覚しい経済発展を遂げ、多くのグローバル企業がアジア拠点を置くシンガポール。中国系・マレー系・インド系・その他の民族で構成された多民族国家であるため、英語が公用語の1つとなっています。大学も含めた学校教育では英語を共通語として授業が行なわれていますが、バイリンガル教育が重視されているのもシンガポール教育の大きな特徴。英語と母語(中国語(北京語)、マレー語、タミール語の中から1つ)を学ぶ二言語教育が実施され、多くの国民が二か国語以上を話せるのが現状です。なお、シンガポールで現地の人々が実際に話している英語は、独特の言い回しや発音であることがよく知られています。長い間統治されていたイギリスの英語をベースに、中国語の方言(福建語や広東語など)やマレー語、タミル語など複数の言語が混ざりあってできており、通称「シングリッシュ」と呼ばれています。

香港

地理的にも文化的にも中国固有の地域に位置しながら、かつては長期間に渡りイギリスの植民地だった特異な歴史を持つ香港。現在も、中国に属してはいるものの、特別行政区として独自の発展を遂げており、アジアの中でも際立つ国際都市となっています。イギリス時代の影響もいまだ色濃く反映され、イギリスと中国の文化が混ざり合う多文化都市でもある香港では、広東語、英語、普通話(中国での標準語とされる言語)が話されています。義務教育は広東語で行われますが、カリキュラムの中に英語と普通話の授業も含まれます。大学には中国本土から学びに来る学生も多く、キャンパスは英語と中国語(広東語、普通話)が飛び交う環境となっています。

マレーシア

シンガポール同様に、近年は経済的にも発展し、アジアの国々の中でも豊かで治安の良いことで知られるマレーシア。首都圏のクララルンプールを中心に交通網、インフラの整備はほぼ完成し、先進国並みの生活を送ることができると言われています。マレー系・中国系・インド系という大きく3つの民族で構成された他民族国家で、基本的にはそれぞれ自らの民族の言語を使いますが、義務教育ではマレー語が必修科目とされています。ただ、マレーシアも長期間イギリスの統治下にあったため英語が公用語とされていた時期もあり、今でも英語は準公用語として、異なる民族同士のコミュニケーションの際に共通語として広く用いられています。国民の多くが二か国から三か国の言語を話すマルチリンガルであることも、マレーシアの特徴の1つと言えるでしょう。

アジアで躍進を続ける気鋭の大学に、世界も注目

英語圏とされるアジアの国・地域にあり、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education:THE)やクアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds:QS)といった世界的に権威のある大学ランキングで上位にランクされている理工系大学を3校ピックアップ。日本の東大や京大をしのぐような高い評価を受けている大学もあります。それぞれの大学の特徴や魅力を簡単にご紹介しましょう。

■南洋理工大学(Nanyang Technological University, Singapore:NTU)[シンガポール]

シンガポールの南西部に、環境にやさしいことでも名高い広大なメインキャンパスを構える、研究集約型の国立大学。1991年に実践志向のエンジニア教育を行うための大学として設立されて以来、科学・技術系学部が中心でしたが、現在は文系の学部も有する総合大学となっています。工学、ビジネス、科学、人文、芸術、社会科学の各学部と、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)と共同で設立された医学部があり、およそ33,000人の学部生・大学院生が在籍しています。キャンパスでは最新のデジタル教育が採用され、学際的なプログラムが提供されています。
研究に地上に力をいれている大学としても知られ、複数の世界有数のテクノロジー企業とも社会的に重要かつインパクトのある先進的な分野で提携し、人工知能、ロボット工学、データサイエンス、スマートトランスポーテーション、クリーンエネルギー、医学、ヘルスケア、コンピューティングなどの分野で革新的な研究が行われています。br> 2012年から2016年の間には、人工知能の引用で世界のトップ大学に選ばれました(Nikkei and Elsevier 2017)。また、THEにより世界で最も急成長している若い大学に選ばれ、QSにも5年連続で世界で最も優れた若い大学に選ばれるなど、急成長を遂げるアジアのグローバル大学として世界的に非常に注目を集めています。

■香港科学技術大学(The Hong Kong University of Science and Technology)[香港]

中国返還前の1991年に、特に科学、技術、工学、経営学、人文科学および社会科学によって補完されるビジネス研究において、教育と研究を通して学習と知識を向上させ、香港の社会経済発展を支援するという使命をもって設立された公立大学。科学部、工学部、経営学部、人文社会科学部の4つの学部と、学際的プログラムオフィス、さらにいくつかの研究所を有し、テクノロジーとビジネス分野における最先端の教育・研究を専門とする世界クラスの国際研究大学です。キャンパスはベイエリアの壮観な風景を見下ろす環境に位置し、広大な敷地に豪華な設備を備えています。また、大学では多角的で国際的な学習環境を提供することを追求しており、現在、80カ国以上に及ぶ国・地域から15,000人以上の学部生・大学院生が在籍しています。

各学部には以下のような学科が設置され、多数の質の高い学際的な学位プログラムが提供されています。

  • ●理学部(SSCI):生命科学、化学、数学、物理、海洋科学
  • ●工学部(SENG):化学および生物工学、土木および環境工学、コンピューターエンジニアリングプログラム、コンピュータサイエンスとエンジニアリング(COMP)、電子工学およびコンピュータ工学、産業工学および意思決定分析、機械および航空宇宙工学、コンピュータサイエンスとエンジニアリング(COSC)、統合システムと設計
  • ●経営学部(SBM):経理、経済、ファイナンス、SBM UGプログラム室、情報システム・経営統計・経営管理、マーケティング、マネジメント、経済、ファイナンス、ビジネスプログラムオフィスの世界学士号(アメリカ・南カリフォルニア大学、およびイタリア・ボッコーニ大学との共同提供)
  • ●人文社会科学部(SHSS):人文社会科学、社会科学(人文社会科学部と理学部の共同提供)
  • ●学際的プログラムオフィス(IPO):環境と持続可能性、学際的プログラムオフィス、テクノロジーとマネジメントにおける二重学位プログラム

なお、すべての新入生は、英語能力評価(ELPA)を受ける必要があります。また学部学生は全員、共通コアコース・学校ベースの英語コース・学部ベースの英語コースを含む12単位の英語コースが必修となっています。

■マレーシア工科大学(Universiti Teknologi Malaysia)[マレーシア]

1904年に首都・クアラルンプールで開校された工学、科学および技術に焦点を当てた公立の研究大学。現在のキャンパスは2つあり、クアラルンプールのほかに、マレーシア半島の南端に位置するジョホール州の州都であるジョホールバル市の郊外に、10の寮を持つメインキャンパスがあります。マレーシアでは最も古い理工系大学として、建築から経理、電気工学、イスラム研究まで、幅広い科目でコースが用意されており、マレーシアにおける工学系人材の3分の2を輩出すると言われる研究重点大学でもあります。大学全体で23,000人を超える学生が学んでおり、うち3,000名以上が留学生です。

学部課程では、以下の7つの学部・学校にまたがる50以上のプログラムが提供されています。

  • ●工学部
  • ●社会科学・人文学部
  • ●理学部
  • ●建築環境・測量学部
  • ●アズマン・ハシム国際ビジネススクール
  • ●ラザック技術・情報学部
  • ●マレーシア日本国際工科院(※)

※持続可能な産業と社会を構築するため、マレーシアの独自性と日本の技術および教育システムの融合に基づく学術プログラムおよび研究開発活動を提供する高等教育機関として、日本政府や日本の大学の支援により2010年に設立。クアラルンプールキャンパスにあり、多くの日本人教員が教鞭をとっている。

自分に合った大学を見つけたら、アジア留学も検討してみよう

英語をベースにして海外の大学を目指す場合、留学先として欧米を考えがちですが、実はアジアにも英語を使えるうえ、世界的に見ても最先端の研究ができる大学はいくつもあります。今回は理工系の大学を取り上げましたが、ほかにも様々な分野で強みを持つ「英語で学べるアジアの大学」はありますので、興味があればぜひ調べてみましょう。日本からの距離が近く、留学費用も比較的安く抑えられるアジア圏。治安が良く、英語も使える国・地域で、国際的な環境が整った、世界的に注目されている大学も数多くあります。良く調べて、学びたい分野の学問が提供されているなど、環境が自分に合っていると感じたら、アジアへの留学を本格的に検討してみるのも良いのではないでしょうか。

※この記事でご紹介している内容は2019年6月28日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年6月28日に掲載されたものです。

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