海外大学進学情報

英語で学べる!北欧留学におすすめの国と入試制度は?-デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン-

前回に引き続き、ヨーロッパ各国の特徴や現在の入試情報をご紹介する記事の第二弾をお届けします。今回は、国連が発表している「世界幸福度ランキング」で毎年上位を独占する北欧諸国に注目。デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンのそれぞれのお国柄や魅力、大学の入試制度の概要、コロナ禍の状況などをお伝えします。
自分が学びたいことや、留学で重視したいことと照らし合わせ、「自分がもし行くならどの国?」と想像してみてください。

※各国の入国条件や検疫体制の状況は流動的であり、予告なく頻繁に更新されます。また大学等の入試情報、留学生受入れ状況なども随時変更される場合があります。必ず各国当局や大使館、各大学が公式に発信している最新情報を確認してください。

ヨーロッパ留学におすすめの国と入試制度-デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン

●デンマーク
美しい街並み、洗練された独特の文化。生活水準やビジネス環境の質の高さでも有名

デンマークってどんな国?デンマーク留学の魅力は?

北欧諸国の中では最南にあり、400以上の島で構成されるスカンジナビアのデンマーク王国。国土は小さいですが、森や湖といった豊かな自然に恵まれ、中世の美しい街並みが残っています。充実した社会保障や環境政策で知られ、国連の世界幸福度ランキングでは常に最上位にランクされるなど、国民の生活の質の高さには定評があります。

デンマークの都市は、世界で最も自転車に優しい都市の1つとも言われ、国民の1/3が自転車で通勤または通学していると言うデータがあります。公用語はデンマーク語ですが、ほとんどの人は英語も理解し話すことができると言われています。米・フォーブス誌の「ビジネスに最適な国」ランキングで首位を獲得したこともあります。

デンマークの高等教育機関は世界クラスの最先端の研究施設を有し、高い学術水準と革新的な学習アプローチを行っています。伝統的に、企業、産業界、研究機関とも深い協力関係を有しています。また、大学は非常に国際的で、600以上の英語教育学習プログラムを提供しており、英語のみで学位が取得できるプログラムもあります。

強力な福祉国家として、医療や教育などに対する自由で平等な権利が重視されているため、国内やEU圏からの学生及び交換留学の学生は授業料が無料です。それ以外の学生(日本からの留学生含む)は課程や専攻、留学形態により異なりますが、年間6,000~16,000ユーロとそれほど高くないのも魅力です。

デンマークの大学の入試制度

●2学期制(秋学期:8、9月~/春学期:1、2月~)

通常の学士号が取得できるのは大学8校、大学レベルの芸術・建築系高等教育機関11校(3年間)となります。 ※ほかに、専門職学士やディプロマプログラムなどの特定分野の学部プログラムを提供するカレッジがあります。

<出願資格>(学士課程の場合)

■日本の高校卒業以上(ただし、大学1~2年次修了が必須など大学独自の選考方法を採用している場合もある/専攻により、高校での特定課目の履修や職歴などが必要な場合あり)
■デンマーク語で行われる授業を履修希望の場合はデンマーク語力を、英語で行われる授業を履修希望の場合には英語力が求められます。

  • *TOEFL iBT®テスト 79~93、IELTS 6.5のレベルが求められる場合と、TOEFL iBT®テスト 94~101、IELTS 7.0という高いレベルが求められる場合があります(専攻によって異なります)。
  • *英語で行われる授業のみを希望の場合は、デンマーク語能力を提示する必要はありません。なお、正規の留学生は、無料で大学内のデンマーク語のクラスを受講可能です。

<出願方法>

・学士課程の出願書類はoptagelse.dkというサイトを通してオンラインで行います。

【参考ページ】optagelse.dk〔デンマーク語・一部英語〕

コロナ禍でもデンマークへの渡航は可能?

日本からデンマークへの入国は可能です。入国目的の制限や、入国後の隔離義務はありませんが、到着時の検査受検が原則義務化されています。
また、デンマークに居住していない人(旅行者やビジネス出張者)は、入国に際し、以下のいずれかの証明書が必要です。

  • ・入国72時間前以内に受検したPCR検査の陰性証明書
  • ・入国48時間前以内に受検した迅速抗原検査の陰性証明書

●フィンランド
世界幸福度ランキング4年連続世界1位。エコでシンプル、自然やデザインを愛する国民性

フィンランドってどんな国?フィンランド留学の魅力は?

スカンジナビア半島の付け根の部分を占め、スウェーデン、ノルウェー、ロシアと国境を接するフィンランド共和国。森と湖の国と呼ばれ、国土の70%以上が森。また、国土の約1/3が北極圏に位置する寒冷の国です。日本からフィンランドまでは飛行機で約9時間半と、「日本から最も近いヨーロッパ」とも言われています。約553万人(2020年5月末、フィンランド統計局)の人口のうち、80%以上が首都ヘルシンキなどの都市部に居住しています。

世界的に有名なファッション・ライフスタイルブランドや、近年日本でも流行しているサウナの発祥地として知られているフィンランド。
福祉大国として名高く、限られた資源を効率的に活用して、住民に豊かな生活を保障することを目指しています。西と東の間に位置しているという地理的条件が歴史や政治に常に強く反映されており、文化面でも東西両方の影響を受けています。
公用語はフィンランド語とスウェーデン語ですが、人口の94%がフィンランド語を、5.3%がスウェーデン語を話すとされています。また、約70%の人々が英語を話せると言われています。

フィンランドには世界クラスの大学がいくつもありますが、英語で学位を取得できるプログラムの提供にも力を入れており、全部で500以上(学士課程で450以上)のプログラムが英語で受講できます。フィンランドの大学は、一般に総合大学と応用科学大学に分類されていて、特に、英語のみで学位を取得できる学科が多数あるのは応用科学大学ですが、総合大学にも英語のみで講義を行うプログラムがあります。(日本人がフィンランド語もしくはスウェーデン語で履修するコースは授業料無料ですが、英語コースは年間4,000-13,000ユーロ程度の授業料が必要です)

フィンランドの大学の入試制度

●学士課程
・総合大学【13校】…3年(医学部6年、歯学部5.5年)
・応用科学大学(UAS)【22校】…3.5~4.5年
●2学期制(秋学期:8・9~12月/春学期:1~5月)

フィンランドには約40の高等教育機関があります。総合大学が13校、実践的な職業教育に重点を置く応用科学大学が22校あります(応用科学大学と同レベルの教育を行う警察学校もあります)。大学がアカデミックな教育に力を入れているのに対し、応用科学大学は専門的な職業教育に重点を置き、教育省から認可を受けた学位プログラムを提供しています。

フィンランド語とスウェーデン語が公用語であるため、2か国語で講義を進めていく学校と、主にスウェーデン語で授業を実施する学校があり、英語のみで学位を取得できるプログラムを用意している学校もあります。

<出願資格>

学士課程:高校卒業程度かつ大学入学資格を取得した者
※外国人留学生の入学資格・条件に関しては各大学が独自の選考基準を持っているため、詳細は個別に問い合わせる必要があります。一般的には、高校の卒業証明書または同等のものが必要です。

<必要な語学力>

教授言語(フィンランド語またはスウェーデン語、もしくは英語)の十分な言語力が要求されます。英語でのプログラムを希望する場合は、大学や学部によって、IELTS6.0以上、TOEFLiBTテスト 80以上など独自の基準が設けられています。
※応用科学大学の学士課程の場合、必ずしもIELTSとTOEFLのスコアが必要でない場合もあります。

<選考方法>

書類選考と入学試験(主に学士課程)が一般的です。

<出願方法>

出願はStudyinfo.fiというサイトを通じてオンラインで行います。申請期間は学位プログラムによって異なります。出願の仕方は下記の2種類あります。
・共同出願(共通アプリケーションを使用し、1回の申請で最大6度のプログラムに出願することが可能)
・個別出願(一部の大学/ UASでは、個別のアプリケーションを使用した出願が設定されている)

【参考ページ】Studyinfo.fi

コロナ禍でもフィンランドへの渡航は可能?

日本からフィンランドへの入国は可能です。ただし、日本からの渡航者は、原則として以下の証明書の提出が必要です。
・有効なワクチン接種証明書
・入国48時間前以内に実施したPCR検査 または 抗原検査の陰性証明書

ワクチン接種証明書を所持していない場合は、以下記載の場合のみ入国可能です。(抜粋)
・ EU加盟国・シェンゲン域内国居住者
・ 医療従事者、国際機関従事者、貨物輸送業従事者、人道的配慮を要する者
・ 国境警備隊が定める入国理由がある場合

●ノルウェー
国土の北半分は北極圏、フィヨルドと白夜で有名。大自然と共存してきた歴史を持つ国

ノルウェーってどんな国?ノルウェー留学の魅力は?

スカンジナビア半島の西岸に位置し、南北に細長い国土を持つノルウェー王国。北海に面し、海岸線には氷河によって形成された複雑な入り江、フィヨルドが広がっています。夏の白夜、冬のオーロラなども有名です。雄大な大自然の中で出来上がった社会なので、自然には逆らわずに大切にしていくという精神が根強く、政治・経済・文化の中心となる大都市である首都オスロですら、豊かな自然に囲まれています。

高福祉社会で、国民に貧富の差があまりない経済的安定を特徴としています。男女平等が重視されており、女性の社会的地位が高い国としても知られています。

公用語はノルウェー語ですが、英語教育が当たり前のように行われていることもあって英語を話せる国民が多く、公用語並みに使用されています。一般的に、ノルウェーの人々は訛りが少なく聞き取りやすい英語を話すと言われています。

ノルウェーの大学は質の高い教育を提供していることで定評があります。ヨーロッパの中で生活費がもっともかかる国と言われていますが、北欧の中では唯一、留学生でも大学の授業料が無料。学期ごとにsemester feeは必要なものの、60ユーロを超えることはなく、安価で質の高い教育を受けることができるのが大きな魅力です。

ただ、大学で提供されている英語プログラムは数百あるものの、学士課程はノルウェー語による授業が多いため、注意が必要です。少数ですが、英語で授業を行う学部もありますので、学びたい分野で英語プログラムがあるかしっかり調べましょう。

ノルウェーの大学の入試制度

●学士課程:3年
●2学期制(秋学期:8月上・中旬~12月中・下旬/春学期:1月上旬~6月中・下旬)

ノルウェーの高等教育機関には下記のような種類があります。

  • ・総合大学(University)
  • ・単科大学(Specialized University Institution):音楽、スポーツ、建築などに特化した大学
  • ・芸術大学(National college of the Arts)
  • ・カレッジ(University College):総合大学に比べて職業に直結したプログラムを提供する教育機関
  • ※教育研究省(The Ministry of Education and Research)が管轄しており、多くが公立校。

<出願資格>

学士課程:日本の高校卒業資格に加え、日本の4年制大学の1年次修了が必須です。

<必要な語学力>

教授言語がノルウェー語の場合は、十分なノルウェー語と英語の運用能力として、決められた条件を満たす必要があります。

■ノルウェー語の能力
・ノルウェーのupper secondary schoolのVg3-Levelを履修し、ノルウェー語もしくは第二外国語としてのノルウェー語の試験に合格していること など

■英語の能力
・TOEFL iBT®テスト 60(PBT500)以上
・IELTS 5.0以上
・PTEアカデミック 51以上
※英語で授業を行うプログラムの場合には、さらに高い英語力が要求されます。

<選考方法>

基本的に書類選考です。
※大学や専攻によって現地での試験が行われる場合もあります。

コロナ禍でもノルウェーへの渡航は可能?

日本からノルウェーへの入国は可能です。

・16歳以上の全ての入国者は、オンライン(Registration of arrival to Norway)にて氏名、連絡先情報、自宅待機場所、雇用者情報等を入力する必要があります。
・18歳以上の渡航者は、入国24時間前以内に実施したPCR検査 または 迅速抗原検査の陰性証明書が必要です。(ノルウェー政府が認めたワクチン証明書があれば免除されますが、日本の市区町村で発行したワクチン接種証明書は不可とされています)

●スウェーデン
スローライフで有名な北欧最大の国。非英語圏でトップクラスの英語力

スウェーデンってどんな国?スウェーデン留学の魅力は?

スカンジナビア半島の東側の半分を占め、フィンランドとノルウェーの間に位置しているスウェーデン王国。国土の面積は日本の1.2倍とそれほど変わりませんが、人口は約1000万人程度と日本の10分の1以下です。

森と湖に囲まれ、人と自然と経済が調和するサステナブルな社会を目指すスウェーデンは福祉国家として知られ、全国民に平等で手厚い保障が約束されているため、社会は安定し、国民の生活水準は高く保たれています。また、移民が多く様々な人種・文化が集まっているため、個を尊重し、男女平等が根付いている社会でもあります。

スウェーデンは日本でも人気の家具・インテリアやファッションなどのグローバル企業の発祥の地でもあります。近年は、IT関連企業の成長がめざましいことでも注目を集めています。

公用語はスウェーデン語ですが、第二言語は英語。英語教育に力を入れていることもあり、国民全体の英語力が高いことでも有名です。多くの人が流暢に英語を話し、スウェーデン人同士でも英語で会話することもあると言われるほどです。

世界でも有数の質の高さを誇るスウェーデンの高等教育は、英語で学位が取得できるプログラムに力を入れています。1,000以上の学位プログラム(学士課程は約100、修士課程は900以上)が英語で開講されており、非英語圏でありながら、英語で学位を取得することが可能です。

スウェーデンの大学の入試制度

スウェーデンの高等教育機関は約40校あり、総合大学(Universitet)とカレッジ(Hogskola)に分けられます。 ※機関によって提供しているプログラムが異なり、企業、地域などとの密接なつながりを持った独自の教育を展開しているところもあります。

●学士号 Kandidatexamen (Degree of Bachelor):3年間
●2学期制(秋学期:8月下旬/9月上旬~1月中旬、春学期:1月中旬~6月上旬)

<出願資格>

学士課程:高校を卒業、または卒業見込みであること
※入学条件は大学、学部によって異なります。高校在籍時に特定の科目で優秀な成績を収めていることや、スウェーデンと同等の大学入学資格が求められる場合もあります。また、書類審査に加えて面接や独自の試験などを課す大学もあります。

<語学力>

英語で学ぶ課程の場合、一般的に必要な英語力は次の通りです。

  • ・TOEFL iBT®テスト 90以上
  • ・IELTS 6.5以上
  • ・PTE Academic 62以上
  • ※英語で学ぶ場合は、スウェーデン語の試験の受験は必要ありません。

<出願方法>

学士課程/修士課程:オンラインで出願

※スウェーデンでは、日本の大学と協定を結んでいる大学への留学〔協定留学〕ではなく、個人で入学申請を行う留学生をフリームーバーと呼びます。大学によっては、協定留学以外の留学生の学士課程への入学を認めていない場合もあります。
※フリームーバーとして英語で学ぶ課程に出願する場合は、全国統一出願受付窓口であるUniversityadmissions.seに個人でオンライン申し込みをします。1つのアカウントで、8学科まで出願可能です。

■英語で学ぶ課程の出願先 【参考ページ】Universityadmission.se

コロナ禍でもスウェーデンへの渡航は可能?

2022年2月4日現在、スウェーデン政府は入国規制を強化しており、特例としての免除事由(スウェーデン国民及びその家族であること、ど)が無い場合には日本の住民が日本からスウェーデンへの入国することは一時的に禁止されています。
※ただし日本から、EEA加盟国または北欧諸国を経由してスウェーデンに渡航する場合、当該国における入国審査を通過すれば、当該国に対するスウェーデンの規制が適用されます。

北欧諸国を含むEU/EEA加盟国からの入国の場合、EU/EEA諸国で発行された下記いずれかの書類が必要です。
・ワクチン接種証明書(EUワクチン接種証明書)
・入国72時間前以内に検体採取された新型コロナウイルス検査(PCR等)の陰性証明書
・回復証明書

※12歳以上でスウェーデンに居住していない外国籍の渡航者が入国する場合、下記の提示が必要です。
・EUデジタルCOVID証明書 または 同等のワクチン接種証明書発行国と認められる国で発行されたワクチン接種証明書(日本の市区町村で発行したワクチン接種証明書は不可)
・入国72時間前以内に実施したPCR検査の陰性証明書

【注意】新型コロナウイルス感染症対策のための入国条件は頻繁に変更されます。必ず、出発前にスウェーデンや経由国等の各国当局のホームページ等をご確認ください。

ベネッセでは、グローバルな進路を実現する多様な学習プログラムをご用意しています。丁寧な個別カウンセリングをもとに、あなたの希望に合わせた、「あなただけの海外留学・進学」をプロの知識と経験でしっかりサポートします。

ヨーロッパの大学で「英語によるプログラム」を受講する際に必要になる
TOEFL®テスト対策、IELTS対策が可能なベネッセの留学プログラムを始めませんか?

お問い合わせはこちら

※この記事でご紹介している内容は2022年2月25日現在の情報に基づいています。

LINE UP

海外、国内を問わず、グローバルな進路を実現する
学習プログラムをご用意しています