「英語で」学べる大学・学部 2023年度最新情報⑥ 法政大学グローバル教養学部(GIS)
ここ数年続いていたコロナ禍がようやく終息に向かい始め、留学を含めたグローバルな人の動きも活発化してきている昨今。ただ、海外で学びたいという思いを抱きながらも、海外大への進学はまだ少し不安が残るという方も少なくないでしょう。
そんな方には、欧米の大学に近い国際的な環境や「英語で」学ぶ授業、リベラルアーツ教育の実践、留学制度の必修化など、それぞれの個性を強く打ち出している国内のグローバル系大学・学部も十分に選択肢の1つとなりえます。
このシリーズでは、国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、「英語で学べる」ことに実績・定評がある日本の大学・学部の、コロナ禍の状況を含めた最新入試情報をお届けしています。2023年度入試の第6弾は、法政大学グローバル教養学部(GIS)を取り上げます。
【参考ページ】:Faculty of Global and Interdisciplinary Studies GIS(グローバル教養学部)|法政大学

(1) どんな学びができる?
GISとはどんな学部?
法政大学グローバル教養学部(GIS:Faculty of Global and Interdisciplinary Studies)は、新しい時代のリベラルアーツ教育を提供する学部として2008年に設立されました。設立以来、リベラルアーツに基づく総合的な教育を全英語環境で提供しています。
GISが提唱するグローバル研究では、多様な文化・社会事象を、地球全体が直面する課題、あるいは現代世界が共通して経験している変化傾向として捉え、その分析と解決の道を探ることに主眼が置かれています。そのためには、刻々変貌する問題系を既存分野の枠組みに拘らず、学際的視点から領域横断的に捉えることが必要です。GISが称する「教養」とは、地域と文化の境界及び既存の研究・教育の枠を超えるアプローチによる、従来の人文学・社会科学系学問の枠組みを超えた知の総合を指しています。
GISでは人文・社会科学・ビジネスなど約30の分野の専門科目全てを英語で学び、学際的な視座に立った最新の理論と知見を身に付けます。深い知識と貴重な実践力を養い、領域横断的な分析と英語でのコミュニケ―ション力を身につけることで、現代社会が直面するさまざまな課題に取り組むことができる人材の育成を目指しています。
GISの主な特色(概要)
◇全ての授業が英語で行われるイマージョン教育
学部の共通語は英語。GIS では原則、講義だけでなく、ディスカッションやプレゼンテーション、レポートや論文の執筆も英語で行うことで、英語における4つの基本的なコミュニケーションの力をバランス良く育みます。
授業で英語を使いながら、多様な知識を吸収し、さらに英語そのものに内在する発想や論理的批判的な思考方法を身につけることがイマージョン教育の特徴。「英語ができるだけ」ではなく、問題を発見し、状況を分析し、問題解決への道筋を見出し、英語で説得的に提示し、敬意をもって相手に納得してもらうまでの能力を育てていきます。
◇独自のリベラルアーツ・プログラム
GISではグローバルな視野やマインド、スキルを身に付けるために、学部独自のリベラルアーツ教育を英語で実施しています。リベラルアーツに基づく充実したカリキュラムにより、30分野、200以上のコースを提供。ローカルな視点とグローバルな視点を併せ持つ、幅広いコンテンツが用意されています。専門ゼミにより、幅広く深い理解を得ることができる。専門家によるセミナーも開催され、より広く深い理解を得ることができます。
<系統的な科目履修>
GISのすべての科目は段階的に100~400レベルに分類されています。レベル100を入門科目とし、レベル200でその知識を展開・応用します。さらにレベル300、400では最も専門性の高い内容を扱います。系統的に学びを深化させる、世界標準の科目編成となっています。
◇徹底した少人数制とサポート体制
演習(ゼミ)をはじめ、ほとんどの授業は20名から30名位の徹底した少人数制です。教員や学生間の距離が近く、ディスカッションやプレゼンテーション、レポートへのフィードバックなど少人数ならではの双方向教育を実現。学生一人ひとりの興味と先行知識に合わせたきめ細やかな指導・サポート体制が整っています。
◇多彩なグローバルコミュニティ
教員と学生の出身地・長期滞在先は、世界約50の国と地域に及んでいます。多彩なバックグラウンドを持つ教員・友人との学びは、多様性に触れ知の地平線を広げることにつながります。
◇早期卒業制度
GISでは、3年間で卒業できる「早期卒業制度」が導入されています。海外の大学院進学や早期から実社会での活躍を希望する学生を支援するもので、特に成績優秀な学生を対象に実施されます。大学在籍期間が1年間短くなることで、大学在学中にかかる経費の削減というメリットもあります。
(2) 2023年度の入試情報
2023年度入試制度の特徴・内容
GISで実施されている入試制度には、大きく分けて「一般選抜(3つの方式)」と「総合型選抜(自己推薦)」があります。
<入学定員>:102名
≪一般選抜≫
A方式入試(個別日程)
学部・学科ごとに別々の日程で、独自の入学試験3科目を実施する方式。全国6都市(東京・札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡)で実施されます。
■募集人員:13名
■試験科目:3科目
※GISは英語外部試験を出願資格かつ「英語」の得点に換算
科目 | 英語 | 国語 | 選択科目 |
---|---|---|---|
配点 | 200 | 100 | 100 |
内容 | 英語外部試験のスコアを得点に換算する。 | 「国語総合」 ※古文を出題範囲に含み、漢文の独立問題は出題し ない |
「世界史B」「日本史B」「地理B」「政治・経済」 「数学Ⅰ・Ⅱ、数学A・B」の5科目から1科目選択 ※数学Bは「数列」「ベクトル」を出題範囲とする |
■出願資格(英語外部試験の基準):
※4技能の合計スコアを基準としています。技能ごとの基準はありません。複数の試験日のスコアを組み合わせることはできません。同一試験日のスコアで基準を満たしている必要があります。
実用英語技能検定(*1) (CBT含む) CSE2.0スコア |
TOEFL iBT®テスト(*2) | IELTS(*3) (Academic Module) Overall band |
「英語」得点換算 |
– | 100点以上 | 7.0以上 | 150点に換算 |
1級以上 | 85点以上 | 6.5以上 | 140点に換算 |
準1級以上かつ2500点以上 | 76点以上 | 6.0以上 | 130点に換算 |
*1) 実用英語技能検定は「合格」かつCSE2.0スコアの基準をクリアしている必要があります。 実用英語技能検定は、英検(従来型)・英検CBT®・英検S-CBT®・英検S-Interview®を利用できます。
*2) TOEFL iBT® Home EditionおよびTOEFL iBT® Paper Editionを含みます。 TOEFL ITP®テスト(団体受験)は利用できません。 また、TOEFL iBT®のTest Dateスコアのみを基準とします(My Best™スコアは利用できません)。
*3) IELTS(Academic Module)は、IELTSペーパー版およびIELTSコンピュータ版を利用できます。 IELTS OnlineおよびIELTS Indicatorは利用できません。
英語外部試験利用入試
英語外部試験で一定以上のスコアがある受験生を対象に、英語以外の1科目の点数のみで合否判定が行われる方式(GISは換算型)。英語外部試験の基準を満たし、出願時にスコアの提出が必要です。全国10都市(東京・札幌・仙台・新潟・金沢・長野・名古屋・大阪・ 広島・福岡)で実施されます。
■募集人員:12名
■試験科目:2科目
※英語外部試験のスコアを「英語」の得点に換算し、独自の入学試験との合計得点で合否判定が行われます。
科目 | 国語・数学 | 英語 |
---|---|---|
配点 | 100 | 150 |
内容 | 「国語総合」「数学Ⅰ・Ⅱ、数学A・B」の2科目から 1科目選択 ※国語は古文・漢文の独立問題は出題しない ※数学Bは「数列」「ベクトル」を出題範囲とする |
英語外部試験のスコアを得点に換算する。 |
■英語外部試験の基準:
※4技能の合計スコアを基準としています。技能ごとの基準はありません。複数の試験日のスコアを組み合わせることはできません。同一試験日のスコアで基準を満たしている必要があります。
実用英語技能検定(*1) (CBT含む) CSE2.0スコア |
TOEFL iBT®テスト(*2) | IELTS(*3) (Academic Module) Overall band |
「英語」得点換算 |
– | 100点以上 | 7.0以上 | 150点に換算 |
1級以上 | 85点以上 | 6.5以上 | 140点に換算 |
準1級以上かつ2500点以上 | 76点以上 | 6.0以上 | 130点に換算 |
大学入学共通テスト利用入試 B方式(3教科型)
大学入学共通テストの総合点のみで合否判定を行う制度です(私立大学型)。GISは英語外部試験の基準を満たした方が出願でき、2教科の得点で合否判定します(出願時にスコアの提出が必要)。大学入学共通テストが指定する全国の会場で受験可能です。
■募集人員:5名
■試験科目:2科目
科目 | 国語 | 地理・歴史・公民/数学 (1科目選択) |
---|---|---|
配点 | 100 | 100 |
内容 | 「国語」(近代以降の文章と古文) ※大学入学共通テストの配点150点(近代以降の 文章100点と古文50点)を100点に換算する。 |
指定科目のうち、高得点の1科目を合否判定に使用する。ただし「地理歴史」・「公民」は第1解答科目を使用する。 |
■出願資格:英語外部試験の基準を満たすこと
実用英語技能検定(*1) (CBT含む) CSE2.0スコア |
TOEFL iBT®テスト(*2) | IELTS(*3) (Academic Module) Overall band |
1級合格または準1級合格かつ2350点以上 | 76点以上 | 6.0以上 |
≪総合型選抜≫
自己推薦(12月入試)【4月入学】
主に、志望理由書・調査書による書類審査と小論文・面接試験で選抜を行う制度です。志望理由書では、入学後学部でできることとやりたいことを明確にしたうえで、「自己の経験・能力」と「学部で学ぶ動機」を関連づけて説明することが重要とされています。
■募集人員:28名
■英語能力による出願要件:
<S基準>(以下のいずれかに該当する者)
a. TOEFL iBT®テスト(Home Edition および Paper Edition を含む)90点以上かつ Writing スコアが 23点以上
b. IELTS(Academic Module)(IELTS コンピュータ版を含む)band 6.5 以上かつ Writing band が6.0 以上
c. Language A: Literature または Language A: Language and Literature に英語を選択し、IB Diplomaを取得
※ TOEFL iBT®テストの Test Dateスコアのみを出願スコアとして活用します(MyBest™スコアは不可)
※ 日本語による志望理由書の提出は免除
※ 第二次選考は面接(英語)のみ
<A基準>(以下のいずれかに該当する者)
a. TOEFL iBT®テスト および Paper Edition を含む)80点以上
b. IELTS(Academic Module)(IELTS コンピュータ版を含む)band 6.0 以上
c. 実用英語技能検定(英検)を 2020年度第1回検定以降に受験し、英検1級に合格
※ TOEFL iBT®テストの Test Dateスコアのみを出願スコアとして活用します(MyBest™スコアは不可)
※ 第二次選考は小論文(英語)・面接(英語)
■選考方法:
【第一次選考】 書類審査(調査書、志望理由書等)
【第二次選考】
S基準:面接試験(英語)
A基準:小論文(英語:60分)、面接試験(英語)
【参考ページ】:2023年度GIS(グローバル教養学部)自己推薦入学試験要項12月入試【4月入学】
2023年度入試に関する特別な対応
新型コロナウイルス感染症に罹患等したことにより、2023年度総合型選抜等を受験できない場合は、入学検定料の返還が行われます。追試験の設定や別日程への受験の振替はありません。
<対象となる入学試験>
- (1)総合型選抜(自己推薦、公募推薦)
- (2)外国人留学生入試
- (3)社会人入試
- (4)理工学部機械工学科航空操縦学専修 一般選抜、自己推薦
(3) 現在の学びのスタイル
<2023年度の授業実施方針>(2022年12月12日現在)
法政大学は2023年度の授業を、対面を基本として行います。ただし、オンライン教育による効果の見込まれる一部の授業では、オンラインを活用します。
同大学ではこれまでも対面を基本に授業を進めてきましたが、学生・教職員による感染予防対策が効果を現し、授業を通じた感染事例はほとんど報告されていません。2023年度も引き続き、感染予防に最大限の注意を払うことで、キャンパスにおける学修活動を展開する予定です。
■オンライン授業受講のための「開放スペース」
GISのある市ヶ谷キャンパスでは、学内でオンライン授業を受講する学生のために「開放スペース」が設置されています。利用時間は市ヶ谷キャンパス入構可能時間と同じですが、曜日時限により利用できない場所がありますまた、「開放スペース」は暫定的なものですので予告なく閉鎖となる場合があります。
■新型コロナウイルスに感染症にかかる対面授業出席への配慮申請
2022年秋学期には、「新型コロナウイルスに感染症にかかる対面授業出席への配慮申請」が受け付けられました。
<配慮申請対象者>
- (1)VISA 発行遅延等の理由により、入国が遅延する外国人留学 生
- (2)基礎疾患等を有している学生
- (3)基礎疾患を持つ家族や、高齢者と同居している学生
(4) キャンパスの様子
■活動の指針(2023年1月12日現在)
- ○キャンパス入構:学生は、現在の入構ルールに示された目的・条件で入構
- ○研究:感染拡大に配慮して継続
- ○図書館:利用可能(学外者の利用も可能)
- ○課外活動:感染拡大に留意して活動
- ○学内施設利用:営業している食堂・店舗は利用可能
■感染予防マニュアル
法政大学では、学生向け・教員向けにそれぞれ対面授業における感染拡大予防マニュアルが整備されています。
各キャンパスの構内では、感染症拡大予防のために以下の対策が講じられています(今後の状況に応じて変更の可能性あり)。
- (1)各キャンパスにおいて、構内各所に消毒液等を配置しています。
- (2)入構可能な門等を限定し、入構に関する案内掲示などを行っています。
- (3)除菌効果が確認されている薬品類を使用して、清掃・消毒を行っています。
- (4)対面授業で使用する教室は、一定の距離を保って着席するよう、着席不可とする席を設けています。
- (5)窓口等の人と人との対面が想定される場所には、アクリル板や透明ビニールカーテン等を取り付け、飛沫感染防止の対策をとっています。
- (6)窓や出入り口の開放など、建物内の換気を確保しています。
- (7)食堂ではアクリル板で個人ごとの仕切りを設置しています。また黙食のお願いをしています。
- (8)多摩キャンパスにおけるバス便については、乗車人数が過密にならないよう、必要に応じて、臨時便の増発を行います。
- (9)エレベータ内は搭乗人数を制限するために、床に人が立つ位置のマーキングを行っています。また、エレベータ内では会話を控えるよう注意喚起の掲示をしています。
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※この記事でご紹介している内容は2023年1月13日現在の情報に基づいています。
※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。