「英語で」学べる大学・学部 2023年度最新情報⑧ 慶應大学経済学部(PEARL)、東京大学教養学部英語コース(PEAK)、関西外語大学国際共生学部
ここ数年続いていたコロナ禍がようやく終息に向かい始め、留学を含めたグローバルな人の動きも活発化してきている昨今。ただ、海外で学びたいという思いを抱きながらも、海外大への進学はまだ少し不安が残るという方も少なくないでしょう。
そんな方には、欧米の大学に近い国際的な環境や「英語で」学ぶ授業、リベラルアーツ教育の実践、留学制度の必修化など、それぞれの個性を強く打ち出している国内のグローバル系大学・学部も十分に選択肢の1つとなりえます。
このシリーズでは、国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、「英語で学べる」ことに実績・定評がある日本の大学・学部の、コロナ禍の状況を含めた最新入試情報をお届けしています。2023年度入試の第7弾は、慶應義塾大学経済学部(PEARL)、東京大学教養学部英語コース(PEAK)、関西外国語大学国際共生学部を取り上げます。
【参考ページ】:PEARL|慶應義塾大学経済学部
【参考ページ】:PEAK(教養学部英語コース)|東京大学
【参考ページ】:国際共生学部|関西外国語大学

(1) どんな学びができる?
慶應義塾大学経済学部PEARLとはどんなコース?
慶應義塾大学経済学部のPEARL (Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership) は、日本で最初に開講され歴史を持つ経済学部(当初は理財科)に2016年に設置された新しいコース(プログラム)。英語で経済学を学び、4年間で学位取得ができる9月入学のプログラムです。世界水準の基礎知識と最先端の経済学を英語で修得することで、世界を舞台に活躍するグローバルリーダーを輩出することを目的としています。
PEARLではリベラルアーツと高度な経済学の世界クラスの教育を提供しています。定員は100名で、最初の2年間を日吉キャンパス(神奈川県)で過ごし、最後の2年間を三田キャンパス(東京都)で過ごす4年間のプログラムです。海外の学生にも広く門戸を開き、国内外の真に優秀な学生が切磋琢磨できる環境です。
PEARLの特色(概要)
◇9月入学、リベラル アーツと高度な経済学を学ぶカリキュラム
最初の 2 年間は、個々の学習パスを追求するために必要な基礎知識を提供するように設計されています。経済関連コースとリベラル アーツコースの両方があります。その後の2年間は経済学に焦点をあてた研究が行われます。クラスは10のカテゴリに分類されています(計量経済学と統計;経済思想史;経済史;労働および産業経済学;経済政策と財政;現代の経済システム;国際経済学;環境および都市経済学;経済と社会)。
なお、9月入学のため、入学前のギャップタームにロンドン大学のSOASプログラムで学ぶ機会も提供されています。
◇海外の一流の教授陣の授業が受けられる
海外の提携校から一流の教授陣を招聘すると同時に、インターネット等を駆使した双方向遠隔授業を活用しています。
◇ダブルディグリー制度や提携校との交換留学制度などによる海外での学びを奨励
フランス・パリ政治学院(シアンスポ)やイタリア・ボッコーニ大学などとのダブルディグリー制度に出願できるほか、数多くの海外の提携大学に留学する機会が設けられています。
◇HEC経営大学院との学部・修士5年プログラム
経済学部PEARLの在籍者を対象に、フランス屈指のグランゼコール(Grandes Ecoles)であるHEC経営大学院(Etablissement d’Enseignement Supérieur Consulaire Hautes Etudes Commerciales de Paris: France)との学部・修士5年プログラムに関する協定が締結されています。このプログラムに参加し、所定の要件を修めたPEARLの学生は、慶應義塾大学経済学士号とHEC経営大学院修士号(Master in Management)を取得することができます。
東京大学教養学部英語コース(PEAK)とはどんなコース?
東京大学教養学部英語コースPEAK(Programs in English at Komaba)は、2012年10月より教養学部でスタートした英語のみで学位取得が可能な学部教育プログラムです。『東京大学の行動シナリオFOREST2015』(2010年3月策定)で示された「世界から人材の集うグローバル・キャンパスを形成し、構成員の多様化を通じ、学生の視野を広く世界に拡大する」を具体化するコースとして、全学的な協力を受けて開設されました。
初等・中等教育の大半を日本語以外で履修した学生を対象にしたもので、学生は秋から入学し、すべての授業が原則英語で行われます。入学後、最初の2年間は教養学部前期課程の「国際教養コース」で学修します。レベル別に日本語を必修で学習するのと同時に、教養学部の理念に基づいて4月入学生と同様に幅広い知識と知的能力を身につけるためのカリキュラムが編成されています。
その後、同学部の後期課程である「国際日本研究コース」または「国際環境学コース」のいずれかに進学し、国際性・学際性豊かな東京大学の特色を生かした勉強や研究に取り組みます。(後期課程の両コースには、4月入学生も進学することが可能)
2012年度の創設以降、10年間で300名の学生が入学しました。在学生の国籍・地域は日本、インド、インドネシア、韓国、シンガポール、台湾、中国、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなど19にのぼります。
PEAKの特色(概要)
◇すべて英語で行われる4年間の学士課程プログラム
2年間(前期)のリベラルアーツのコースと、2年間(後期)の専門分野のコースで構成される学際的なプログラムとなっており、原則としてすべての授業が英語で提供されています。なお、前期のコースでは全員に日本語のクラスが必須となっています。
◇後期課程は2つの学修コース
●国際日本研究コース(International Program on Japan in East Asia)
「学際性」と「国際性」という東京大学教養学部の理念を踏まえ、人文科学・社会科学の諸理論とその適用方法を幅広く習得し、日本と東アジアの文化や社会を、国際的かつ学際的な視点から学ぶコースです。英語コースではありますが、一定水準の日本語能力の習得も重視されています。
●国際環境学コース(International Program on Environmental Sciences)
「学際性」と「国際性」という東京大学教養学部の基本理念を踏まえ、環境という複雑な問題を多面的に研究する文理融合系のコースです。環境政策、倫理学、法学に加え、生物多様性保護、地球化学サイクル、地球物理学、最新の環境技術等を、先端科学および工学の観点から学びます。地球規模に拡がる環境問題に多様な視点からアプローチすることによって、持続可能な社会の構築と発展に寄与することを目標としています。そのために、自然科学と人文・社会科学をともにカバーする「文理融合」的なカリキュラムを提供し、両方の分野に通じた幅広い人材の育成を目指しています。
関西外国語大学国際共生学部とはどんな学部?
関西外国語大学国際共生学部は、2023年4月に開設される新しい学部です。学科は国際共生学科の1学科。留学生たちとグループワークやプロジェクトを数多く取り入れた授業を行うことが特徴で、4年間オールイングリッシュの環境で学びます。
同大学の50年以上にわたる国際教育の実績と世界中に広がる学びの場を最大限活用し、海外の学生たちと多様な文化や価値観を共有しながらともに学び、行動することで、「知識」と「実践力」を兼ね備えた人材の育成を目指しています。
国際共生学部では、独自の英語教育によりアカデミックかつ実践的な高度な英語力を養うと同時に、留学生とともに人文科学(Humanities)、社会科学(Social Science)、ビジネス・経済学(Business・Economics)の3つの分野から幅広く学び、グローバル市民としての知識と教養を身に付けていきます。国内外でのインターンシップや海外協定校が提供するサービス・ラーニングなど実践的な学びの機会も多数用意されています。
国際共生学部の特色(概要)
◇独自の英語教育English for Global Citizensで、実践的なコミュニケーション力を修得
1年次には「English for Global Citizens」という英語力を高める集中プログラムが用意されています。コンテントベースの学習法を用いたアカデミック英語修得プログラムで、多様な文化背景や価値観を持つ人たちと協働するための高度な英語力やコミュニケーション力、マインドを養成します。また、デジタル化が進むグローバル社会で必要なデジタルスキルの基礎や情報技術の活用法についても学び、グローバル市民としての実践力を磨きます。
◇海外留学生と共に学ぶ「Global Studies」
2年次から始まる「Global Studies」では、人文科学(Humanities)、社会科学(Social Sciences)、ビジネス・経済学(Business & Economics)の3つの分野から幅広く履修し、多角的な視点でグローバル社会の課題にアプローチします。留学生とともに学びプロジェクトに取り組みながらさまざまな価値観に触れ、グローバル市民としての姿勢やマインドを養います。
◇「グローバルチャレンジ留学」など、世界に広がる学びと体験の場を提供
3年次には、海外協定大学での授業や地域活動などを通してグローバル社会の課題解決に取り組む1年間の留学プログラム「グローバルチャレンジ留学」が用意されています。同大学独自の「給付型」留学奨学金で留学にかかる自己負担金を大きく軽減できます。
◇「Experiential Learning」を通して実践力を養成
同学部では「Experiential Learning」を学びのコンセプトとしており、実践型の「学び」と「体験」を基盤としたカリキュラムが大きな特徴です。国内外でのインターンシップ、海外協定校が提供するサービス・ラーニングなど、実社会での体験学修を通して実践力を磨き、これらの活動内容や学びをEポートフォリオで振り返りつつ、卒業後のキャリア設計につなげていきます。
(2) 2023年度の入試情報
2023年度入試制度の特徴・内容
<慶應義塾大学経済学部PEARL>
PEARL独自の入試が行われます。
■募集定員:100名
■選考方法:書類審査(面接は不要) *出願期間は3回あります
※出願手続きは、オンライン出願システム「The Admissions Office (TAO)」で行います。
詳細は下記をご参照ください。
【参考ページ】:Admissions Procedures for the PEARL Programme
<東京大学教養学部英語コース(PEAK)>
■選考方法:書類と面接審査による学部英語コース特別選考(9月入学)
※一般入試や外国学校卒業学生特別選考で入学した4月入学の学生も、進学選択制度を利用して後期課程から「国際日本研究コース」や「国際環境学コース」に進学することが可能です。また、推薦入試制度を活用して、あらかじめ「国際日本研究コース」または「国際環境学コース」への進学を志願することも可能です。
詳細は下記をご参照ください。
【参考ページ】:Overview|Apply|The University of Tokyo, PEAK
<関西外国語大学国際共生学部>
■募集定員:国際共生学部 国際共生学科 100名(海外からの編入学生30名含む)
■選考方法:公募制推薦入試(英語1科目型)、一般入試、大学入学共通テスト利用入試、特別型選抜など多彩な入試方式が用意されています。
詳細は下記をご参照ください。
【参考ページ】:入試制度一覧|関西外大受験生応援サイト
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※この記事でご紹介している内容は2023年1月27日現在の情報に基づいています。
※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。