海外大生体験談

自分で見つけて、自分で選んだ! -自分らしい留学ルート ストーリー①-


毎月「海外進学・留学ラボ協力隊」が書き下ろし原稿で、動画で入試や大学生活についてレポートをお届け。8月のテーマは「自分で見つけて、自分で選んだ!自分らしい留学ルート ストーリー」です。

少しゆっくりとした時間も取れる夏の間は、進学先を本格的に検討し始めたり、進学の仕方の情報を集めたり、志望する大学を考えたり…と、今後の進路をしっかりと考えたい時期ですよね。そこで、海外に進学した先輩たちに自分にあった進学先をどのように調べて決定したのか、自分なりの進学ルートをどのように決めてきたのかをヒントにお話しいただきます。1回目は、工学系一本!で研究を深め続けているY.M.先輩に「自分らしい留学ルート」のストーリーを語っていただきました。

 

 

入学してから、”材料工学”から”電子工学”へ専攻を変更!
本当に学びたいことを後押ししてくれる柔軟な制度に満足しています

 

Y.M.先輩

アメリカ マサチューセッツ工科大学(MIT: Massachusetts Institute of Technology)

 

 

海外進学中の学生から話を聞いて「自分も進学できるかも!」と思いました

 

私が最初に海外留学や進学に関心を持ち始めたのは、中学生の頃でした。水問題に関する国際会議に運良く参加する機会があり、英語が好きだったこともあって、海外に興味が深まりました。その頃はまだ交換留学などを思い浮かべていました。

真剣に海外への進学を考え始めたのは高校1年生の時。熊本高校という公立高校に通っていましたが、高校では海外進学をする人は数年に一人。情報が十分にはありませんでした。しかし、熊本県庁が行なっている海外進学支援の講座に参加をし始めたら、帰国子女でなくても努力次第で海外進学が可能ということを知り、進学先の選択肢の一つに入りました。

また、“NPO法人留学フェローシップ”のキャラバン隊が熊本で行ったイベントに参加し、海外大学に在学している日本人学生に直接話を聞けたことも海外進学を考える大きなきっかけになりました。実際に海外進学をした方の話を聞くうちに「自分にもできるかもしれない!」と思ったからです。

その後、費用や奨学金、出願に必要な準備を調べて高校1年生の夏から本格的に準備を始め、高校在学中に出願準備を行い、高校卒業後にMIT(マサチューセッツ工科大学)に進学しました。

ただ、海外進学には費用の面で不安があったので、実は受験のタイミングでは日本の大学も受験していました。 海外進学を実際に決めたのは、合否通知と奨学金の結果が出てからでした。というのも、私の場合は、両親から海外進学を認めてもらう条件として、日本の大学に行くぐらいの費用で行けること(大学から十分な奨学金が得られること)と、東京大学よりも大学ランキングが高いことの2つがあったからです。


「奨学金」が留学を認めてもらう条件! 情報収集をして進学先を絞りました

 

私が受験した当時は、現在のように国内財団の奨学金が充実していなかったため、インターネットで各大学の公式ホームページから奨学金の情報収集をしていました。調べると「日本の大学に行くぐらい」の条件に当てはまるのは一気に10校以下に絞られました。そして、大学を絞った後、自分が専攻として興味がある複数分野の評判や、学部生の研究参加の仕組みなどを“大学ランキングサイト”と”各大学の公式ホームページ”を活用して調べました。また、自分のやる気を高めるために留学フェローシップ等を通じて知り合った海外進学中の日本人学生から体験談を聞いたり、在学生のブログを読んだりしながら受験校を決めていきました。

最後は受験校の合否と奨学金の結果から絞ると進学選択肢は数校となりましたが、そこからは大学で行われる合格者向けのイベントに実際に足を運び、たくさんの在学生と将来のクラスメイトと話をして進学先を決めました。


1年生から研究に携われることなど、学びの充実と校風がMIT進学の決め手に!

 

最終的にMIT(マサチューセッツ工科大学)を選んだ理由は、第一に学びが充実しているからです。日本の大学ではほとんどないと思いますが、1年生からでも希望をすれば研究に携われるという環境があることが大きかったです。

また、工学分野のレベルが高い大学で、たくさんの製作やプロジェクトの授業があることも魅力でした。このような大学はもちろんいくつもありますが、その中でもMITにした決め手は校風です。競争よりも協力し合う雰囲気があり、とにかくものづくりや研究などを楽しんでいる人が多いのがとても魅力的でしたし、MITを代表する「ハック(ハッキング)」という文化(人畜無害のユーモアにあふれるいたずら)に代表されるように、個性的でおもしろいことを極めている人がいるのがとても気に入りました。


新入生オリエンテーションの様子
初めての海外生活がいよいよスタート!


進学後、本当に学びたいことは”電子工学”だと気づき、専攻を変更!

 

実は、進学をした後に学ぶ内容を変えました。入学前は”材料工学”を専攻することを考えていましたが、実際に進学して授業をとってみて気が変わりました。理由は自分のやりたいことを本当に学べる専攻は”電子工学”だと気づいたからです。                 

元々、高校時代に九州大学の高校生向けの研究体験プログラムで”超伝導材料”に関する研究を行っていました。 それがきっかけで材料やナノテクノロジーに興味を持ち、”材料工学”を専攻するつもりでした。が、入学後に”材料工学”の授業を取っていくうちに、また、”電子工学”の超伝導を利用したデバイスの研究室でアシスタントを務めたことも関係して「自分が興味のある分野は、材料そのものではなく応用物理(より産業や経済分野との関わりが強い物理)的な部分だ」と思い直しました。

なので、1年生の終わりには”電子工学”に専攻を変更し、”デバイス物理”や”アナログ回路”などを中心に授業を選択し、研究では超伝導物質で光子一つ一つを検出するデバイスを扱いました。私の大学では専攻は基本的には1年生の終わりに決め、その後の変更も可能で、人数制限もありません。そのためこの変更はとても簡単に行うことができました。自分に合った専攻を後から柔軟に考えられるのも海外進学の良さですね。

その後は、そのまま専攻を変えず4年間で学部(学士号)を終えて卒業し、現在は同じ大学の電子工学の修士課程に進んでいます。将来は研究開発に関わっていきたいと思っています。そのためにもっと”電子工学”の中の違う分野を知るために、新たな研究室に移ったばかりですが、まずは修士課程でさらに知識や技能を身につけていく予定です。


3年生の頃の研究の様子
光子一つ一つを検知する超伝導ナノワイヤーデバイスというものを作製中!


知識技能はもちろん、学ぶスキルや一緒にがんばる仲間も、一生の宝物!

 

このように海外進学をして、入学後も専攻を変えながら自分なりの道を選んできましたが、4年間の大学生活で得た一番大切なものは仲間です。海外では工学部も女子学生の割合が高く、特にMITでは半分は女子学生です。性別以外にも様々なバックグラウンドの人々が集まっています。誰もが受け入れられる雰囲気があり、そこで共に生活したり、学んだり、楽しんだり、ときには苦労を共にしたりした友達は一生の宝物です。

スキル面ではタイムマネジメントとコミュニケーションの能力が向上したと思います。この4年間、やりたいことが多すぎて時間が足りない日々だったので、自分のやりたいことや生活の中での優先順位を考えることがたくさんあり、時間のやりくりも上手になりました。

また、工学分野とはいえども、大学では書いたり発表したりすることが沢山あるのですが、人類学やライティングの授業だけでなく、電子工学の授業でもチームプロジェクトの授業で、ピッチ(プレゼン資料作成)や完成したプロダクトのプレゼンなどをたくさん行った経験も得られましたし、3年半じっくり研究をすることができたので工学分野に理解が深まり、結果も出せました。もちろん、授業や研究の中で電子工学の知識技能もたくさん身につけることができました。


~先輩の「自分らしい進学ルート選び」アドバイス~

途中で変更してもOK! 自分が求めていることをはっきりさせることが大切です

 

もし志望校を絞ることに悩んでしまうなら、自分の中で条件を考え、優先順位を決めてからリサーチをすると良いと思います。私の場合は高校生の時に参加した留学フェローシップのサマーキャンプで自己分析を始めたのがとても役に立ちました。条件は人によって違うと思いますが、知名度やランキング、費用、立地、校風、カリキュラム、規模など様々なポイントを考慮してみると自分にあった優先順位が見えてきます。これは海外か国内かの進学に関わらず役立つと思います。

アメリカの大学選択において日本と大きく異なるのは、複数校に合格した後に進学先を決められるという点です。 合格後は、大学側から入学して欲しい一心でアピールしてくれるので、気になることをなんでも聞いてしっかりと考えることができます。最終決断前に可能であれば実際にキャンパスを訪れてみるのがおすすめです。

海外留学・進学を考えるときにまずは自分自身についてよく知ること、そして自分が求めているものをはっきりさせることが大切だと思います。もちろんそれは大変な作業で、私自身も今でも常にその問いを考え続けています。海外の大学が選択肢になっていることは素敵なことだと思います。国内海外にあるたくさんの選択肢の中から、自分に最適な進学先はどこなのか、最終的にそれが海外でも国内でも、とにかく自分にぴったりだと思える場所が一番です。先入観にとらわれず、一時情報を大切にしながら、自分自身と相談をしてほしいです。


※この記事でご紹介している内容は2020年8月4日現在の情報に基づいています。

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