海外大生体験談

自分で見つけて、自分で選んだ!-自分らしい留学ルート ストーリー③-


毎月「海外進学・留学ラボ協力隊」が書き下ろし原稿で、動画で入試や大学生活についてレポートをお届け。8月のテーマは「自分で見つけて、自分で選んだ!自分らしい留学ルート ストーリー」です。

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この夏の間に今後の進学を真剣に考えようと思ってはいても、“進学の条件をどのように考えて行ったらいいのか“や”専攻はどう決めていくべきなのか“、”学びたい専攻はこれでいいのか“など、進学する前と進学した後のことに自分の考えが至っているか…などと不安になることもあるのではないでしょうか。今回も、海外に進学した先輩たちがどのように自分なりの進学ルートをどのように決めてきたのかをお話しいただきます。3回目は、アメリカで“社会科学”と“ロシア・東欧・ユーラシアの地域 ”についてダブルメジャー(二分野専攻)で研究をしているH.M.先輩に「自分らしい留学ルート」のストーリーを語っていただきました。

 

 

入学した後で自分に合った専攻を探したかった!
現在はリベラルアーツの大学で興味の赴いた分野を2つに絞り研究しています

 


H.M.先輩

アメリカ ウェズリアン大学(Wesleyan University)

 

 

憧れのアメリカのキャンパスライフに立ちはだかる費用や英語の壁!
でもリスクをとってでも海外進学に挑戦したいと決意しました

 

私は、進学を考え始めた時、オープンキャンパスなどの様子から日本の大学に対して大講義室で教授がスライドを読み上げる形態の授業や、学生たちと教授との交流の少なさ、アカデミズムをさらに感じたいという思いで少し閉塞感を覚えていました。そんな中「アメリカの大学に行きたい!」と感じたきっかけがありました。高校2年生に上がる前の春休みの時に、学校の研修でサンフランシスコのシリコンバレーへ研修に行ったことです。アメリカのシリコンバレーの地で活躍している日本人の社会人や学生の方々に出会ったり、UCバークレー(University of California, Berkeley)やスタンフォード大学(Stanford University)などに行ったりしました。そこでオープンで自由な大学の様子を実際に見学し、アメリカの大学のキャンパスライフに強く憧れを抱きました。

ただ、それは漠然とした憧れでしかなかったのですが、研修から帰国した後、自分で海外の大学の進学について 調べてみたところ、とてつもない費用や高度な英語の能力が必要という様々な壁があることを知りました。なので、最初は進学まで考えておらず、学校の周りのクラスメイトと同様にまずは日本の大学を目指して入学し、その後に交換留学など日本の大学のプログラムを通して海外での体験をすることが良いと考え、自分を納得させていました。

ですが、高校2年生の夏休みに参加した”HLAB”という海外大学及び日本の大学の学生が運営と企画を行う サマーキャンプに参加した際に、自分のやりたいと思った夢を純粋に追いかけようとする大学生や高校生たちと出会いました。彼らに強く刺激を受けたことでキャンプの終わり頃には、憧れを抱いていたアメリカの大学への思いが溢れ「リスクをとってでも進学としての挑戦をしたい!」と強く感じ、受験することを決心しました。


“出会いたい人や文化がある環境”と“学びたい環境”が揃うことが進学先の理想!
それが叶う進学先はアメリカのリベラルアーツの大学でした

 

海外進学を考えた時、アメリカに進学したい気持ちは固まっていました。 留学生が多く、多くの異なった文化や価値観を持つ人々が共生する環境、そして今までの自分とは関わりの少なかった文化や価値観を持つ人々と出会える環境を目指していたからです。

さらにアメリカの大学の中でも、授業における議論の時間が多い環境や少人数で様々なバックグラウンドを持つ学生が集まっている大学を求めて進学先を検討しました。その結果、基本的に少人数制の授業でディスカッションが盛んであり、教授と学生の距離が近くオープンな雰囲気で、さらに様々なバックグラウンドやアイデンティティーを持つ学生がキャンパスに集うリベラルアーツの大学が魅力的だと感じました。

初めての海外、初めての大学生活ということもあったので、人数が多くて面倒見が悪くなってしまう総合大学より小さくとも教授と学生の距離が近いこと、教育環境に優れていて学生間の繋がりも強いという面も良いと思いました。そして、何よりまだ専攻を明確にできていなかったこともあり、専攻選びについてもより柔軟である点などが自分に合っていると思いました。


受験は日米併願!
海外進学するまでのギャップタームを日本の大学で学びつつ準備をしました

 

大学の受験時には、日本の大学とアメリカの大学の両方を受験し、高校卒業後はまず国内の大学に進学しました。 高校卒業直後の4月の時点では、まだアメリカの大学の受験結果が出揃っていないので、アメリカの大学に進学する9月までのギャップタームを有効に過ごせると思ったからです。

想像した通り、日本の大学に1学期間だけでも在籍することで、”大学“という高校時代に比べると自由でアカデミックな環境の中、興味ある学問についての知識や考え方に触れることができたので、アメリカの大学に向かう前の有効な準備期間になったと思います。

また、少しの期間でしたが日本の大学に在籍することで、日本でのキャンパスライフを体験できたり、 人脈を広げたりすることができたことは実際に通ったことで得られた貴重なものでした。


入学後は興味のある様々な授業を受講!
その中から深めたいと思った内容が自然と専攻分野になっていきました

 

9月からはアメリカのコネチカットのリベラルアーツの大学、 ウェズリアン大学(Wesleyan University)に進学しました。リベラルアーツの大学なので、3年生まで正式に専攻を宣言する必要がなく、また途中で変えることもでき必修の授業もありません。なので、1年生の間はあえて自分の学問的な興味が少し離れているような系統の授業もあえて取っていました。

具体的には、最初の秋学期では、前から興味があり日本の大学でも触れていたロシア語の授業や数学の授業、英語のライティングの授業、更には中国の詩の授業…などと、自分の興味に沿って幅広い分野の授業を満遍なく取りました。

次の春学期では、秋学期の経験を踏まえて少し興味を絞り、継続してロシア語、ロシアの歴史、経済学、ギリシャ哲学の授業を選択してみました。1年生の間に秋学期では、ロシア語の授業で出会った教授や先輩たちの興味や研究に引き込まれていきましたし、春学期ではロシア語に加えて、ロシアの歴史を扱う歴史学の入門授業を受講することでさらに言語以外にも興味が深まっていきました。

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初めて寮に入る時の写真
初めての留学・海外大学生活に大きな期待と不安を抱いていたのを思い出します。

2年生からは社会科学の理解を深められる学部を専攻し、メイン専攻を補強!
その後「地域研究」もW専攻し、一気に視野が広く・深くなりました

 

また、歴史や経済の勉強をしていく中では、ルソーやマルクスなどの歴史・経済の発展の礎となった社会理論をもっと勉強する必要性を痛感して、”College of Social Studies”という学部に出会いました。日本語に訳すと、”社会科学部”となるこの学部は、歴史学、経済学、政治学、社会理論を中心とした社会科学を学際的に専攻できる学部で、2年生から専攻に入ることができる特例の学部でした。なので、2年生から専攻したのですが、これが大変で…。8~10人程度の少人数ベースのクラスで授業が行われ、毎週ペーパーの提出があったり、時には週1000ページを超えるリーディングが課されたり…と基礎から徹底的に鍛え上げられます。学問分野に隔たりなく様々な分野を学ぶためにとてもとても濃いプログラムでした!

こうした、民主主義やグローバリズムといった、より広域で抽象的な概念についての勉強を重ねたことで 2年生が終わる頃には、社会科学の主要な理論や分野への理解が深まり、多くの情報を理解することができましたし、理論的なペーパーが書けるぐらいアカデミックなリーディングやライティングの力が格段に伸びたという実感を持つことができるようになったので、この専攻にして良かったと思っています。

そして、3年生になった時には、2年生の間に学際的な学びをしている中で自分の興味に寄り添ったものの中から2つ目の専攻(Double Major)も宣言しました。”Russian, East European, and Eurasian Studies”というロシアや東欧、ユーラシアの地域研究を行う専攻です。専攻に関係して夏休みには、ロシアのサンクトペテルブルグに留学をする経験もできました。

来年から最終学年の4年生になる私ですが、今は2つの専攻でバランスをとった学びを進めつつ、最終的には主にロシアの歴史をテーマとした卒業論文を書き上げることを目標にしています。

専攻を決めてきたプロセスを振り返ってみると、大学入学当初は様々な学問分野に興味があり、明確に専攻にしたい学問というものがあった訳ではありませんでしたが、関心のあったロシア語の授業をとる中で、ユニークなバックグラウンドや研究テーマを持つ教授(教授はラトビア生まれ、モスクワ育ちの移民の教授でした)や学生に出会い、自分も次第に興味を惹かれていきました。なので、大学における授業や人との出会いの中からオーガニックに自分の内側にあった興味が言語化され、専攻したい学問にたどり着いたように思います。 実際にその学問分野を本格的に勉強することで、自分に足りない部分やもっと深めたいことなどが見つかっていくことが多いです。それは、文系理系や学問の分野系統等の枠には関係なく自身の興味や考えなどをから発展していき、つながっていくのではないかと考えています。

私は、結果的に2つの専攻をすることになりましたが、大学での授業に取り組んでいくうちに、もっと知りたい、学びたい、必要だと思った分野の授業を取っていくうちに、今の専攻へ自然とたどり着きました。 このように柔軟に専攻を絞っていけたこともリベラルアーツの大学を選択したことが良かったと感じています。


大学で出会った教授や友達とのつながりが学問への興味を広げてくれる!

 

海外進学をしたことによって得られたものは、教授や友達などの、人や学問との出会いに尽きるように思います。 自分の興味に従って自由にクラスをとる中で、自分と同じようにその分野に興味や関心を持つ熱い教授や学生に出会い繋がることで、熱中することのできる学問と出会うことができました。自分が楽しめる学問分野を出会い、それに関連した授業を受講したり、公開セミナーや交流イベントに参加したり、ロシアに留学したり、ロシア好きの集まる寮に暮らしたり…。そうすることで、さらに刺激や知識を得ることができて、さらなる面白い興味や関心や経験を得ることにつながっていきました。

将来は大学院に進み、自分の学問興味をさらに深めて研究していきたいのですが、 そこでも、人とのつながりやアカデミックな刺激が大事になっていくのだと思っています。


アシスタントの先輩(中央)とクラスメイトとの写真
専攻のCollege of Social Studiesの少人数授業である「チュートリアル」。
政治学の最終授業に向けてTA(Teaching Assistant)と一緒に撮った写真。

~先輩の「自分らしい進学ルート選び」アドバイス~

コロナ渦でも、どんな時代でも、自分を発展させる機会を逃さず挑戦してほしい!

 

海外進学をイメージする上で大切なのは、大学4年間という貴重な期間の中で自分がどのような環境で過ごしたいか、どのような人がいる場所にいたいか、どのようなことを成し遂げたいか、そして経験したいかということを考えた上で、自分が最も重視するポイントが叶えられる進学先やルートを選ぶことだと思います。

私は、実際にアメリカのリベラルアーツの大学に進学することができた経験から「リスクがあったとしても、やらずに後悔するよりも失敗しての後悔の方がいい!」と感じ、改めて自分の理想の進学先に挑戦できたことに非常に満足し、感謝しています。もし、そういった自由や環境への意志があるのならば、まずは挑戦してみることがいいのかもしれません。

このコロナ禍で先の読めない中で、リスクや面倒を取って、留学や海外進学をすることに疑問を抱かざるを得ないような状況になっているのは事実ですが、私は留学や海外進学の醍醐味というのは、今の自分には見えない文化や思考との出会いにあると思います。

それは、留学や海外進学先にある、充実した環境や新たな人や学問との出会いを通して、自分の内側の興味や考え方をより客観的に、複合的に見ることができるようになるからこそできるもので、それは留学や海外進学でしか手に入れることができない貴重な経験と機会だと思いますし、それはコロナ禍であっても、そのあとの時代でも、貴重で重要な自分をより発展させる機会だと思います。

なので、もし留学や海外進学先にある環境や人、価値観に憧れるような素敵な感覚や考え方を持っている 学生の皆さんには、ぜひ自分の思いを大切にして、コロナ 禍という厳しい環境にはありますが怖気づかないで、 ぜひその挑戦の先の夢を叶えていただきたいです!


※この記事でご紹介している内容は2020年8月18日現在の情報に基づいています。

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