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今話題のアートの最高学位「MFA(美術学修士)」とは?


昨今、ビジネスの世界においては、論理的なスキルだけでなく感覚的・直感的な創造的思考が重視される傾向があると言われています。Appleの創業者スティーブ・ジョブズ氏や、YouTubeのチャド・ハーリー氏などのビジネス界の中心人物がかつてアートを学んでいたことはよく知られていますし、ビジネスにアート感覚を加えるメリットを訴える関連書籍も多数出版されています。そのような世界的な流れの中で、とくに近年のアメリカでは「MFA is New MBA」という言葉が注目を集めており、MFAをもつ人材が求められているといいます。今回は、ビジネス界においても評価が高まりつつある「MFA」という修士号についてご紹介します。

海外で注目を集めるアートの最高学位MFA

今、「アートの力」に注目が集まっている

「MFA is New MBA」という言葉は、2008年のニューヨークタイムスに掲載されたアメリカの著名作家ダニエル・ピンク氏のインタビュー記事で一躍話題になりました。もともとは、ダニエル・ピンク氏が2004年の「Harvard Business Review」で“The MFA is the New MBA”と題する論文を発表したもの。実に15年も前から提唱されていることになりますが、その言葉は色あせるどころか、今日のビジネス界においてますます大きな存在感を放つようになっています。
MFAは「Master of Fine Arts」の略で、美術学修士のことです。MBAとは「Master of Business Administration」( 経営学修士)のことであり、ビジネススクールと呼ばれる経営大学院で取得できる修士号として、長くビジネス界ではステータスとされてきました。しかしダニエル・ピンク氏は、「ビジネスマンには機械にはない人間独自の能力が重要となること」、そして「その独自の能力とは創造性の他にないこと」から、「MFA(美術学修士号)は新しい MBAである」と述べています。現代のビジネスにおいては、アートの力を持つことが経営学を学ぶことに匹敵、もしくはさらに重要になってきている、ということです。「MFA is New MBA」というフレーズは、10年以上たった現在でも、いまだ数々の本やメディアで新しいキャリア形成の考え方を述べるときなどに取り上げられ、ますます注目度が高まっています。今後、AIの時代が本格的に訪れると考えられている現代では、ビジネスをただ論理的にとらえるだけではなく、直観的に物事をとらえる感性や、物事を解決するための創造性が必要と考えられるようになっており、実際にビジネスの現場では、高いレベルで芸術的な思考を備えたMFA保有者が貴重な人材として評価されはじめています。

MFAとは?

MFA(Master of Fine Arts)は、芸術科目の実践をベースとした大学院の学位(修士号)。アート、デザインおよびその他のさまざまな創造的な職業において、プロとして仕事をするための資格であるといえます。所定の課程を備えた大学院や教育機関で、自らが専門とするアート形式の修士課程を修了することで取得が可能です。
欧米でMFAが取得できる分野は、絵画やデザインだけでなくほとんどすべての芸術分野に及んでいます。ファッションデザイナー、演劇、小説作家、振付家、バレエダンサー、彫刻家、芸術評論家、さらには映画製作やデジタルデザインなどのMFAプログラムが用意されている大学院もあります。

MFAは専門大学以外でも取得できるチャンスが多い

アメリカの場合、大学でアート系の専攻過程を修了すると、専攻によって「BA(Bachelor of Arts ):文系の学士号」、もしくは「BFA(Bachelor of Fine Arts):美術学の学士号」のいずれかの学位を取得できます。その後、大学院に進学し、修士課程を修了することで「MFA(Master of Fine Arts):美術学修士」を取得するという流れになります。大学院進学の際には、所定の学位と実技が求められます。必要な学位は、学校によって異なるので注意が必要です。イギリスでは、大学だけでなく、小規模なアートスクールや演劇学校などでもMFAを授与している機関があります。
一般的に、MFAのプログラムは2~3年間程度で構成されています。実践ベースのプログラムのため、主に実践的な活動を通して評価されます。

日本でMFAがとれるのは一部の美大・芸術系大学のみですが、海外でMFAを取得できる大学院は、芸術系の専門大学だけではなく、総合大学にも数多くあります。アメリカではスタンフォード大学やイェール大学、コロンビア大学、ボストン大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校・バークレー校、ニューヨーク大学などの名門大学でもMFAを取得することが可能です。また、MBAとMFAの二重学位を取得できる学校もあります。たとえばアメリカの総合大学であるニューヨーク大学ではMBA/MFAの大学院プログラムを提供していますし、イギリスの名門・ロンドン芸術大学のカレッジであるセントラル・セント・マーチンズ(CENTRAL SAINT MARTINS)では2016年から大学院にMBAコースが設置されており、新たなアプローチとして注目されています。

ビジネス界大注目のMFAで自分の人材価値がアップ
取得するためには「英語の力」が必要

プロのアーティストを目指す人はもちろんのこと、将来はビジネスの世界で活躍したいという人にも、MFAは注目の資格。MFA取得者は、現時点ではMBAよりも圧倒的に少ないため、その希少性も世界的に高い評価につながりつつあります。自らのキャリアを考える際に、「MBA」という選択肢以外に、あわせて「MFA」という道も、検討してみるのも良いかもしれません。
MFAは大学院レベルの資格ですので、その前には当然、大学の学位が必要となります。一般的なルートとしては海外の大学でアート系の専攻課程を卒業し、大学院に進むことができてはじめてMFAに挑戦できるわけです。MFA取得には感性やセンスといった芸術的な能力ももちろん必要ですが、なによりもまず海外大学のアートに関するプログラムについていける英語力が前提となります。海外で「アートの力」を身につけるには、「英語の力」が土台となると考えるべきでしょう。

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※この記事でご紹介している内容は2019年4月5日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年4月5日に掲載されたものです。

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