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QSが「2020世界大学就職ランキング」を発表! 

世界大学評価機関であるイギリスのクアクアレリ・シモンズ社(Quacquarelli Symonds:QS)は、2019年9月、卒業後の就職に強い大学を順位付けした「QS世界大学就職ランキング2020」(QS Graduate Employability Rankings 2020)のトップ500を発表しました。研究力などでランク付けされる一般的な大学ランキングにおいて世界的に「一流」とされる名門大学が、はたしてそのまま就職にも強いのか?今回は、大学選びの新たな視点の1つとして参考になりうる、2020年版の「QS 世界大学就職ランキング」についてご紹介します。

卒業後の就職に強い大学をランク付けした2020世界大学就職ランキング

QS 世界大学就職ランキングとは

「QS 2020世界大学就職ランキング」は、簡単に言えば、卒業後の就職に強い大学をQSが順位付けしたもので、卒業大学と就職先について信頼のできる独立したデータを提供する大学ランキングとされています。それぞれの大学での教育が、就職の際にどれくらい有利に働くのかという、大学を卒業した際の就職に関する情報を提供しています。

大学と雇用可能性の関係を分析する方法として、QSは下記の5つの評価項目による独自のデータを使用しています。

  • ●世界中の44,000社にも及ぶ雇用者の評価
  • ●29,000名の卒業生の活躍
  • ●主要企業との共同研究実績
  • ●企業などの学内採用活動
  • ●卒業生の就職率

【参考ページ】:Graduate Employability Rankings 2020

「QS世界大学就職ランキング2020」世界のTOP10

今回発表されたランキングの上位10校は、以下の通りです。

順位 2019の
順位
2020世界大学ランキング順位(*) 大学名 国名(地域)
1 1 1 マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology [MIT]) アメリカ
2 2 2 スタンフォード大学(Stanford University) アメリカ
3 2 =35 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles [UCLA]) アメリカ
4 5 42 シドニー大学(The University of Sydney) オーストラリア
5 4 3 ハーバード大学(Harvard University) アメリカ
6 9 16 清華大学(Tsinghua University) 中国
7 6 38 メルボルン大学(The University of Melbourne) オーストラリア
8 7 7 ケンブリッジ大学(University of Cambridge) イギリス
9 13 =25 香港大学(The University of Hong Kong) 香港
10 10 4 オックスフォード大学(University of Oxford) イギリス

*は「QS World University Rankings 2020」より

1位に輝いたのはマサチューセッツ工科大学、2位はスタンフォード大学で、前年度と同様の結果となりました。さらに3位はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で、上位3校はアメリカの大学が独占しています。4位には、オーストラリアのシドニー大学が入りました。アジアのトップは、中国の清華大学で6位。香港大学が9位で続いています。

QS世界大学就職ランキングは、同じくQSが発表している「世界大学ランキング」とは大きく異なっている点が、非常に注目されます。今回のランキング結果と、2019年6月に発表された「QS世界大学ランキング2020」を比較してみると、1位・2位は同じであるものの、3位のカリフォルニア大学ロサンゼルス校は世界大学ランキング35位、4位のシドニー大学は同42位、7位のメルボルン大学は同38位とかなり乖離しています。また、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などをはじめとする一流とされるヨーロッパの大学より、アジアのトップ大学が上位に入っていることも特筆すべきポイント。研究成果が評価される大学と、就職に強い大学が、必ずしも一致するわけではないことが見て取れます。

「QS世界大学就職ランキング2020」にランクインした国内大学TOP10

今回ランクインした国内大学の上位10校は、以下の通りです。

国内大の中での順位 2020
総合順位
2020世界大学ランキング順位(*) 大学名 設置者
1 23 =22 東京大学 国立
2 34 196 早稲田大学 私立
3 50 200 慶應義塾大学 私立
4 53 =33 京都大学 国立
5 65 =58 東京工業大学 国立
6 73 71 大阪大学 国立
7 98 115 名古屋大学 国立
8 121-130 =132 北海道大学 国立
9 131-140 =132 九州大学 国立
10 141-150 801-1000 東京理科大学 私立

*は「QS World University Rankings 2020」より

日本の大学の中でのトップは東京大学の23位。さらに、早稲田大学(34位)、慶應義塾大学(50位)、京都大学(53位)、東京工業大学(65位)、大阪大学(73位)、名古屋大学(98位)と続きます。この7校は昨年に続き100位以内へのランクインとなりました。
東京大学は「QS世界大学ランキング2020」でも22位であり、ほぼ同順位といえます。しかし、早稲田大学や慶應義塾大、名古屋大学などは世界大学ランキングでは100位以内に入っておらず、これらの国内大学は「就職力」について高い評価を得たことになります。

QSの調査責任者ベン・ソーター(Ben Sowter)氏は、この結果について以下のように述べています。「東京大学は日本国内、そして国際的にも雇用者からの評判は高く、特に、東京大学が世界15位と高いランキングを獲得したのは、 雇用者の評価。(中略)東京大学の大学就職ランキングでの順位は 世界大学ランキング の順位とほぼ同等である一方で、早稲田大学、慶応大学、東京工業大学、一橋大学は、この大学就職ランキングでより高い評価を受けています。この表を見ると、日本の大学の就職ランキングの順位は世界大学ランキングの順位と大幅に相違しており、就職に焦点を当てている有望な学生に新たな視点を提供しています。」

就職に比重をおいた大学選びをする際の1つの手掛かりに

「QS世界大学就職ランキング」で示された大学の順位付けは、「QS世界大学ランキング」とは大きく相違していることがおわかりいただけたでしょうか。大学の「研究力」と、大学の「就職力」とは、常に比例するわけではないということが、この就職ランキングを見るうえで重要なポイントです。

海外大学でも、国内大学でも、大学選びに正解はなく、人それぞれの価値観によって魅力的な大学も変わってきます。興味がある分野の学問・研究の内容や実績によって大学を選択する方法のほかに、大学卒業後の「就職」に比重をおいて大学を決めるやり方も選択肢の1つです。その場合、こうしたランキングを参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。視野を広げ、いろいろな可能性から、自分に最も合った大学を見つけましょう。

※この記事でご紹介している内容は2019年11月22日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年11月22日に掲載されたものです。

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