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世界中の留学生から選ばれるリベラルアーツカレッジでは、何が学べる?

「リベラルアーツカレッジ」とは、もともとアメリカ特有の大学で、その名の通り「リベラルアーツ」の考え方に基づいた教育が提供されています。アメリカには、総合大学ではなくリベラルアーツカレッジを選ぶ学生も多く、有名な総合大学をしのぐほど人気の高い名門リベラルアーツカレッジが全米に存在しているのが現状です。
近年では「リベラルアーツ」が日本でも少しずつ浸透してきており、リベラルアーツカレッジという大学の形態も、若干ではありますが知られてきた感があります。

そこで今回から2回にわたってリベラルアーツカレッジに焦点をあて、大学での学びやその先の未来にまで踏み込んでお伝えしていきます。1回目はリベラルアーツで何が学べるのか?を取り上げます。

世界中の留学生から選ばれるリベラルアーツカレッジでは何が学べる?

なぜ「リベラルアーツ」が選ばれるのか?

リベラルアーツは、日本語だと「一般教養」などと訳されることもあるように、さまざまな科目をカバーできる幅広い学問です。実際、リベラルアーツの起源は古代ギリシャにまでさかのぼり、世界で最も古い学問の1つと考えられています。もともとは、自由市民として生きるための学問として「人間を自由にする知識やスキル」のことを指し、古代ローマでは「自由7科」(文法学・修辞学・論理学・算術・幾何学・天文学・音楽)として定義されていました。

近代のリベラルアーツ教育は、「人間性の全体的な発達と人格の成熟を目指す教育」(全人教育)を意味し、専門分野にとらわれずに幅広い知識やスキルを身につけて、人としての根幹部分を作る学びとされています。ある一定の専門分野について高度な専門性を身につけるのではなく、それぞれの興味・関心に基づいてさまざまな分野の学問を主体的に選択して学ぶことができるのが特徴です。

幅広い総合的な知識をもとに、的確な判断力と実行力を持つ人材を育成できるリベラルアーツ教育は、複雑化していく現代社会の要求に合致していると言われています。また、時代は「アート思考」を求めていると昨今よく言われますが、リベラルアーツであれば学生たちは創造性、革新性、クリティカルシンキング、コミュニケーションスキルを磨くこともできます。こうしたことから、日本でも急激にリベラルアーツの注目度が上昇しているのです。

リベラルアーツはどこで学ぶ?

リベラルアーツを学ぶことができる大学として、まず挙げられるのが「リベラルアーツカレッジ」です。一般的に総合大学は大学院レベルの研究を重視していますが、リベラルアーツカレッジは学部レベルの教育に重点を置いています。総合大学に比べると、リベラルアーツカレッジの多くはかなり小規模。クラスは少人数制で参加型の授業が中心、教授と学生の距離が近くコミュニケーションが密であることがほとんどです。さらに、メンターシップやプロジェクトでの共同作業など、さまざまな形での生徒と教師の相互作用がより重要視されていて、サポートも手厚いのが大きな特徴です。

ただ、ときどき誤解されている方もいらっしゃいまずが、アメリカでリベラルアーツを学べるのはリベラルアーツカレッジだけではありません。じつはアメリカでは、リベラルアーツは一部の専門的な学校で学ぶような特別な学問ではないのです。もちろんリベラルアーツカレッジと呼ばれる大学は大学の教育全体がリベラルアーツの考え方をベースに作られていますが、総合大学にもリベラルアーツに焦点をあてたプログラムはあります。そもそも、全米最古の大学であるハーバード大を始め、現在は大規模な総合大学となっている有名大学の中には、リベラルアーツカレッジからスタートしている大学も数多くあるのです。

また、リベラルアーツ教育は本場アメリカが洗練されてはいるものの、その他の世界中の国々でも学べます。リベラルアーツを学びたいのであれば、それぞれの学校で展開している教育内容、重視している学校の方針などをよく確認し、自分が学びたいことや向いている規模で選ぶとよいでしょう。

具体的に、リベラルアーツで何が学べる?取得できる学位は?

リベラルアーツのコースは、体験を重視した「人文科学」「社会科学」「自然科学」「形式科学」などの幅広い各分野の科目で構成されており、一般的な大学で学ぶほぼすべての学問領域を網羅しています。提供されている科目群の中から、学生は自分の興味や将来の目標に合わせて「自分が学びたいこと」を主体的に選択していきます。希望すればSTEMと呼ばれて就職に直結するとされる人気分野(科学【Science】・技術【Technology】・工学【Engineering】・数学【Mathematics】)も学ぶことが可能。1つの分野において高度な専門性を身につけたり、複数の異なる分野を同時に学んで視野を広げたりと、多くの学びのスタイルがあり、自らの学びの可能性を自主的かつ自由に広げていくことができます。

科目の例

リベラルアーツのコースには、具体的に次のような科目があります。

  • ◇自然科学:地球科学、考古学、動物学、植物学、物理学などの科目が含まれます。
  • ◇人文科学:文学、外国語、音楽、演劇、哲学、倫理学などの膨大なテーマが含まれます。
  • ◇形式科学:統計学、数学、論理推論、意思決定理論、ゲーム理論などに関する概念が含まれます。
  • ◇社会科学:ビジネス情報学、人類学、歴史学、ジェンダー研究などが含まれます。

取得できる学位の例

リベラルアーツコースを選択した場合、学部レベルの学位は以下のようなものがあります。

●Bachelor of Liberal Arts (BLAまたはALB) :リベラルアーツの文学士号

●BSc in Liberal Arts and Sciences :リベラルアーツの理学士号

【参考記事】「あえて、すぐ専門を決めない」がちょうどいい! リベラルアーツカレッジという選択肢

文理はもちろん、すべての学問分野の枠をとっぱらってものを考えるのが好きな方や、まだやりたいことが決まっていないという方には特におすすめと言えるリベラルアーツカレッジ。高校卒業後の進路として、大きな選択肢の1つになるのではないでしょうか?

次回は、リベラルアーツカレッジ卒業後に、どのような職業への可能性があるかをご紹介します。お楽しみに!

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※この記事でご紹介している内容は2023年7月16日現在の情報に基づいています。

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