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アメリカ留学中に働ける制度「OPT」。申請の要件は?


アメリカの学校に学生ビザ(F-1)で在籍している留学生に、アメリカの企業等で最長12カ月間の就労許可を認める制度「オプショナル・プラクティカルトレーニング(Optional Practical Training)」。略して「OPT」と呼ばれるこの制度は、ごく簡単に言うとアメリカの移民局が公的に認めたインターンシップのようなもので、同制度を利用すれば、大学で学んだことを生かして学外のアメリカの企業などで働く経験ができます。取得した学位の分野に関連した企業に勤めることで専攻科目への理解を深め、より実践的で専門的な経験を積める機会を得ることができるこの制度。留学とあわせて有効に活用してみてはいかがでしょうか?

アメリカ留学中に企業で働ける「OPT」制度

OPTとは?

OPT(Optional Practical Training)は、学生ビザ(F-1)でアメリカの大学等に就学している留学生に対し、自分が専攻した分野と関連のある職種にかぎり、アメリカに拠点を置く企業で実地研修を目的とした就労を許可する制度です。移民局に申請し、許可を得て行うもので、自らの学業の専攻分野での実地訓練を通算12か月間(※)受けることができます。通常、学生ビザ(F-1)での入国の場合、給料をもらって働くことは禁止されていますが、この制度により、大学で学んだ専攻分野と関連のある業種であれば、有給または無給での就労が可能となります。
アメリカの国際教育研究所と国務省教育文化局が発表した2019年の「Open Doors Report on International Education」によると、2018-19年度には前年比で10%近くの増加となる223,085人の留学生がOPTプログラムに従事しています。

※指定された特定分野を専攻し、かつ条件を満たした場合、OPTの期間を24か月延長できる制度もあります(STEM OPT Extension)。

OPTの条件

OPTの許可を受けるには、下記のような条件を満たすことが必要となります。

  • ・学位(準学士号、学士号、修士号・博士号)が取得できるようなプログラムを受講していること
  • ・フルタイムの学生として、1年間以上は学生ビザ(F-1)で就学していること
  • ※厳密には「One full academic year」の就学が条件のため、実際のプログラム・コース期間が12か月以下でも可
  • ・仕事の内容(職種)は自分の学業の専攻分野に関係するものであること
  • ・雇用主は自分で見つけること
  • ・学校が実施するOPTのワークショップに参加する等、在学校の許可を得ること(学校の許可〈サイン〉を得ないと移民局に申請できません)

OPTの種類

OPTには下記の2種類があり、在学中・卒業後のどちらからでもスタートすることができます。

◆Pre-Completion OPT…在学中(プログラム受講中)に実施するOPT

大学等の在学中に就労を始めることができるOPTで、フルタイムで1年間以上在籍(実質、最低9か月以上のコースを修了)していることが必要となります。学期中の就労の場合はパートタイム(1週間に20時間まで)働くことができ、学期休み中はフルタイムで働くことができます。就労開始90日前から就労許可証を申請することが可能で、期間は12か月間です。

◆Post- Completion OPT…卒業後(プログラム修了後)に実施するOPT

大学等の課程修了後に就労を始めることができるOPTです。期間は基本的には12か月間で、この制度を利用すると卒業後に最長1年間(*)はアメリカに滞在することができます。卒業前に移民局に就労許可証の申請が必要で、実際の就労は許可証が届くまで不可となります。また、卒業後の実地訓練は、卒業後14ヶ月以内に終了する必要があります。

いずれも、有給・無給どちらでもかまいません。留学生の場合は、大学等の課程を修了した後にPost- Completion OPTを行うことがほとんどのようです。

*OPTの期間はPre-CompletionとPost- Completionの合計で最長12か月間とされています。在学中にPre-Completion OPTを行った場合は、卒業後のPost- Completion OPTはPre-Completion OPTの期間を差し引いた期間しか働くことができないため、注意が必要です。

STEM OPT Extension

STEM分野と呼ばれる特定の分野(科学、技術、工学、数学)で学位を取得している場合、さらにいくつかの要件を満たせば卒業後のOPT (Post- Completion OPT)の期間を24か月間延長することができます。これにより、STEM分野の学位取得者は、卒業後も最長で36カ月間アメリカに滞在することが可能です。

学位レベルごとに行うことが可能

OPTの期間は通常12か月間となっていますが、学位レベルごとの設定となっているため、大学の修士・博士課程に進んだ場合はさらに12か月のOPTを行うことができます。そのため、たとえばコミュニティカレッジで2年間学んで準学士号を取得した後に1年間のOPTを行い、その後に4年制大学に編入して学士号を取得してから1年間のOPTを実施、さらに大学院に進学して修士号を取得してから1年間のOPTを行うというようなことも制度的には可能となります。

CPTとの違い

アメリカのプラクティカルトレーニングには、OPTのほかにCPTの呼ばれる制度もあります。

CPTとは「Curricular Practical Training」の略称で、アメリカに学生ビザ(F-1)で留学している学生が、大学で学んでいる専攻プログラムの一環として、学外の企業での就業経験を許されるプログラムです。専攻したコースのカリキュラムの一部というような扱いとなり移民局の許可を必要とせず学校が許可したサインだけで実施できます。職種は、専攻する学問分野に関連するものに限られます。
フルタイムの学生として1年間以上学校に通い続けた後、学校の許可を得ることで、学期中は週20時間まで、学期休みの間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムで就労できます。

◇OPT・CPTの違いは?◇

どちらも、「フルタイムの学生として1年間以上の在籍が必要」「学期中は週20時間、学期休み中であればフルタイムでの就労が可能」という点では同じであるため、制度の違いがわかりにくい部分がありますが、大きな相違点は移民局からの就労許可が必要かどうかです。CPTの場合、学校の許可のみで自ら受け入れてくれる就労先企業にアプローチすることができるのに対し、OPTの場合は就労先企業に問い合わせする前に、学校と移民局に対して申請を出さなければいけません。OPTは許可までにかなりの時間を要しますが、CPTは比較的容易にスタートすることができます。

なお、CPTには期間の制限等がとくにありませんが、在学中に通算12か月以上CPTに参加した学生は卒業後のOPT (Post- Completion OPT)を行うことができなくなるため、注意が必要です。

OPTの手続き方法

基本的に、語学学校を含む専門学校や短大、大学に1年間以上在学(実質9ヶ月以上の滞在経験)があれば申請は可能です。ただし、OPTに参加する職種は、自らの専攻分野に関連するものに限られます。

OPTの申請は、まず在学している学校にフォームI-20の手続きを依頼することから始まります。学校の担当者がサイン(許可)をし、手続きを終えたら、他の書類等を揃えて移民局に申請します。許可されると、移民局より「Employment Authorization Document」という写真付きの労働許可証が送られてきます。

※プログラム終了の90日前から申請することができます。プログラム終了後60日以内に手続きしないと、申請資格はなくなります。
※申請手続きから就労許可までは数ヶ月以上かかるため、早めに申請する必要があります。

[必要書類]

  • ・フォーム I-20 (非移民学生ステータスの資格証明書)→学校の担当者に手続きしてもらう
  • ・フォーム I-76 (雇用許可申請書)
  • ・申請料
  • ・パスポートのコピー
  • など

大学で学んだことをビジネスシーンで実践できるOPT制度
アメリカの企業で働きたい人には大きなチャンス!

OPTでは、大学で勉強してきた専攻分野と関連のある業種であれば就労が可能となるため、学んだことを活かして、自分の興味がある分野・企業で実際に働いてみることができます。ただし、OPTの受け入れ先は自分が学んでいる専攻分野、取得した学位とあまりにも異なっている場合は、許可がおりない可能性が高いため、専攻分野は自分がやってみたい仕事を、就きたい職業を見越して選択することが大切です。
OPTが終了しても、その間の働きが認めてもらえれば、その企業にスポンサーとなってもらいそのまま就労ビザを申請してアメリカで働く、といったことも可能になります。もちろんそのためには、OPT期間中に高い能力を発揮するが求められますが、将来的にアメリカで働くことを希望している人にとってはまたとないチャンスとも言えます。OPTをうまく活用して、自分の夢の実現につなげていきましょう!

※この記事でご紹介している内容は2019年12月13日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年12月13日に掲載されたものです。

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