海外大学進学情報

多様な進学ルート、どれが自分に合っている?ーオーストラリア型編ー

世界の多く国々では、あらゆる状況の学生を受け入れるべく、柔軟な教育制度が用意されています。もちろん、海外からの留学生を迎える仕組みも、国家や地域の状況に合わせて様々に整えられています。ですが、そのため国によって教育や留学のシステムが異なり、少々複雑だと感じる人も多いのではないでしょうか?そうした、「海外で学んでみたいけど、英語力が足りないのでは?」「どの進学ルートを選べばいい?」という、留学を考え始めた受験生がまず直面する疑問を解決するため、進学方法や学び方の違いをシリーズで解説していきます。
今回はシリーズ前編として、「オーストラリア型」の進学システムについて、ご紹介します。

自分に合った進学ルート(オーストラリア型)

オーストラリア型の留学とは?

オーストラリアは、オセアニアに位置する英語圏の国として、日本では人気のある海外留学先の1つです。歴史的に多くの移民を受け入れてきた「移民国家」であり、留学生の受け入れにも積極的で、実際、日本からの大学生の留学者数はアメリカに次いで2位(2018年現在/*1)となっています。
国内にある43の大学のうち、39校が国公立大学(国立1校・公立38校)。教育水準が高いことでも知られており、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が毎年発表している「THE世界大学ランキング」の2020年版では、200位までに11校がランクイン(日本は2校)しているなど、世界的に評価の高い大学が数多く揃っています。

*1 )出典:『「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について』〔令和2年4月22日文部科学省〕

オーストラリアの教育制度の大きな特徴は、日本の4年制大学にあたるフルタイムの大学【学士過程】が3年制であること。大学には一般教養課程のような授業がなく、1年目から専門課程に入ることがほとんどです。これは教育システム上、大学進学前までの課程(高校など)で、大学で学ぶ専攻に応じた基礎知識や、学習に必要なアカデミックスキルが身についているとみなされるためで、入学後はすぐに専攻に分かれ、3年間ずっと専門分野の知識や実践的なスキルの習得を中心に高度な課程で学びます(*2)。
オーストラリアと同じように、大学が3年制カリキュラムで、1年次から高度な専門課程に入るシステムを持つ国には、イギリスやニュージーランドがあります。

*2)大学やコースによって期間が異なり、医学・建築学・工学・教育学などは4~6年間在籍することが必要なコースもあります。

オーストラリアの大学は日本のような入試がなく、合否は書類審査で決まります。日本からオーストラリア型の教育システムを持つ国に留学しようとする場合、教育システムの違いにより、日本の高校を卒業しただけでは大学入学資格として認められないことがほとんどのため、いきなり大学に入学することは基本的にできません(*3)。

日本の高校の卒業生がオーストラリア型の国で大学に入学するには、おもに2つのルートがあります。1つは、希望する専攻の基礎的な専門知識を身につけるために、ほとんどの大学で提供されている「ファウンデーションコース」を修了してから進学するルート。もう1つは、オーストラリアの「TAFE(テイフ)」・ニュージーランドの「ポリテクニック」・イギリスでは「カレッジ」と呼ばれる公立の職業訓練専門学校で、資格や必要単位を取得した後に提携する大学に編入するルートです。
いずれの方法でも、入学にはある程度の英語力が必要となるため、英語に不安がある場合はそれより前にまず語学学校で一定期間、英語コースを受講する必要があります。

*3)IB(国際バカロレア)などのプログラム修了者や、定められた高い入学要件を満たしているなどは、直接、大学への入学が可能となる場合もあります。また、日本の大学・短大を1年以上修了すると、オーストラリアの大学にそのまま入学することが可能となります(ただし、入学時に要求されるTOEFL®テストやIELTSのスコアをすでに取得していることが必要)。

オーストラリア型留学で大学進学を目指すための「準備コース」

オーストラリア型留学の場合、日本の高校卒業資格では大学の入学条件を満たせないため、一般的には大学進学のための基礎知識をつける「準備コース」を経由する必要があります。たとえばオーストラリアに留学する際、大学(3年制)に入学する前に通うコースとして選択できるのは、大きく分けると以下の通りです。

<学びたいことや志望大学がある程度決まっている場合>

① 大学付属のファウンデーションコース(Foundation Course)

:大学に入学するための学力・英語力等が不足している、大学入学前の留学生のために、各大学が開講している進学準備コース。大学の授業についていくための基礎学力養成(英語を含む)を目的としています。

※私立の教育機関が提供しているファウンデーションコースもあります。

② TAFE(公立のキャリアカレッジ)

:TAFE(Technical and Further Education)はオーストラリアに100校以上ある、州立の職業訓練専門学校。ありとあらゆる分野の、実践的なスキルが学べます。また、ディプロマ(Diploma)以上のコースで専門分野を1~2年程度学び、一定の成績を収めて学位(ディプロマやアドバンスディプロマ)を取得すると、オーストラリアの大学の2年次に編入(場合により1年次から入学)できる制度があります。

※一部の大学や私立の専門学校にも、大学の学部(学士過程)入学のためのディプロマコースが用意されています。

※TAFEについて詳しくはこちらもチェック! → 【参考記事】:TAFE(テイフ)とは?

<成績や英語力に不安がある場合> ※ ①②の「前」に通う

③ 語学学校の英語コース

:大学のファウンデーションコースやTAFEに入学するための英語力が基準に満たない場合は、語学学校の英語コースで一定レベル以上の英語力を身につけるまで学ぶのが一般的です。大学やTAFEに付属もしくは提携している学校や、私立の語学学校などがあります。

※語学学校で進学準備英語コースを所定の成績で卒業すると、IELTSなどの英語テスト免除で大学等の入学許可がおりる場合があります。

  ① 大学付属のファウンデーション・コース(Foundation Course) ② TAFE(公立のキャリアカレッジ) ③ 語学学校の英語コース
入学時期 主に2月または7月の大学新学期に間に合うように設定されている(2学期制の大学の場合)
※入学時期は、大学やコースの期間によって異なる
主に2月または7月 随時
受講期間 通常8か月~1年間
※大学や各学生の学力等によって異なる
1~2年間
※おおむね1年間程度だが、看護学など分野によっては2年間かかるコースもある
英語力に応じて決定
学べること・得られるスキル ◆専攻分野の基礎知識
◆英語
◆ディスカッションやリサーチ方法、レポートや論文の書き方など、オーストラリアの大学で学ぶために必要な学習スキル
◆専攻分野に関連する科目を選び、集中的に学ぶ
<例>ビジネス(マーケティング・会計学・マネジメント等)、ホスピタリティ&ツーリズム(観光学)、チャイルドケア、動物・生物学など
※州ごとに特色あり
◆自分のレベルに応じた英語スキル
主な入学基準 ◆英語力(IELTS 5.5以上 / TOEFL iBT®テスト 60-70以上)
◆高校の学業成績(通常評定平均3.0以上)
※大学によって異なる
◆英語力(IELTS 5.5以上 / TOEFL iBT®テスト 60-70以上)
◆高校卒業以上
特にないことが多い
※教育機関、または履修する英語コースのレベルによっても異なる

※ 英語力について:「IELTS 5.5以上 / TOEFL iBT®テスト 60-70以上」とは、CEFRでいうとB1~B2以上、実用英語技能検定でいうと2級~準1級以上と同等程度となります。(「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」文部科学省〈平成30年3月〉より)

タイプ別・おすすめ進学ルート

オーストラリア留学の進学ルートを選ぶ場合、大きなポイントになるのは「出願時の英語力」と「将来やりたいことや、学びたいこと(進路観)」。この2つを組み合わせたタイプ別に、いくつか進学ルートをご紹介します。

◆英語力に不安がある & 専門的に学びたいことがある人◆

語学学校(数か月) ⇒ TAFE(ディプロマ取得:1~2年間) ⇒ 大学<2年次>に編入(2年間) (*4)

・TAFEの入学基準である英語レベルに達していない場合は、まず付属の語学学校や提携している語学学校などで英語コースを受講します。コース修了後は自動的にTAFEへの入学が許可されるのが一般的です。

・TAFEで専攻分野に関連する科目を集中的に学び、ディプロマ(専門士)以上を取得した後に、大学の2年次に編入します。

◆英語力に不安がある & 志望大が決まっている人◆

語学学校(数か月) ⇒ 大学付属のファウンデーションコース(1年間程度) ⇒ 大学<1年次>に入学(3年間)

・大学のファウンデーションコースに入学するための英語力が不足している場合、付属の語学学校などで一定期間、英語のコースを受講します(受講期間はそれぞれの英語力によって決まります)。定められた英語レベルをクリアするか、所定の成績でコースを修了すると、ファウンデーションコースへの入学が許可されます。

・ファウンデーションコースでの成績に応じて、希望する学部の1年次への入学が可能になります。

◆ある程度の英語力がある&学びたいことが決まっている & 留学費用をなるべく安価におさえたい人◆

TAFE(ディプロマ取得:1~2年間) ⇒ 大学<2年次>に編入(2年間) (*4)

・TAFEで専攻分野に関連する科目を集中的に学び、ディプロマ以上の修了証書を取得した後に、大学の2年次に編入します。ただし、TAFEからの編入を認めている大学や学部は限られているため、事前の情報収集が必要です。

・大学のファウンデーションコースよりは、入学時に求められる英語力がやや緩やかなので、専門分野を学びながら英語を磨いていくことができます。

・TAFEは大学のファウンデーションコースより学費がリーズナブルなので、最初の1〜2年は留学費用を抑えつつ、実践的な学習が可能となります。

*4)TAFEとオーストラリアの31の大学との間には、National TAFE-University credit transfer schemesと呼ばれる単位の移行に関する協定が結ばれています。一定の条件を満たせばTAFEで取った単位が大学でも認定されるので、最短3年で大学卒業の資格をとれる場合があります。ただ、編入先の大学や専攻によっては大学の1年次からスタートとなるケースや、単位認定に関する規定は毎年変更される可能性があるため、常に最新の情報をチェックしていく必要があります。

◆英語力がある(必要な英語検定スコアが取れている) & 高校の成績全般が高い & 志望大がある人◆

大学付属のファウンデーションコース(1年間程度) ⇒ 大学<1年次>に入学(3年間)

・多くの大学で開講されているファウンデーションコースに入学し、希望する専攻の基礎知識と英語で学ぶスキルを習得した後、希望する学部の1年次への入学が可能になるシステムです。

・ファウンデーションコースの成績に応じて、進学できる大学のレベルは異なります。とくに名門とされる大学への入学を希望する場合は、決められた一定以上の成績を収める必要があります。

オーストラリア型の進学ルート選びのコツ

コツ1

留学チャンスを広げたいなら、語学学校や「条件付き入学制度」を利用

●英語力に不安がある場合は、まず語学学校で英語力を磨くことが一般的です。入学を希望するファウンデーションコース、またはTAFEに付属する語学学校があれば、そこで学ぶのが基本となりますが、ない場合は自分に合った語学学校を選択しましょう。

●大学入学を目指す場合、出願時に英語力や学力が基準に満たない学生に対しては、一定の条件をクリアすることを前提に入学を認める「条件付き入学制度」が用意されており、条件付きで合格を許可してもらうことができます。例えば、英語力が不足している場合は英語力を一定基準までに高めることや、学力が基準に満たない場合はファウンデーションコースやディプロマコースを修了することなどが合格のを条件となります。「志望大学が決まっているけど英語力に自信がない」という場合でも、条件付き入学制度を利用することで留学チャンスを広げられます。

コツ2

TAFE入学は専門的スキルを学ぶ、だけでない目的もあり

●志望大学が決まっていない、または将来的にやりたいことが決まっていないけれど、オーストラリアの大学卒業資格(学士号)を取得したいという場合は、学費が安価でファウンデーションコースよりは英語力の基準が緩やかなTAFEにいったん入学し、興味のある分野を学びながら将来を考えてみるという方法もあります。

●観光、自然、ビジネス、ホスピタリティなど、学びたい特定の専門分野がある場合も、TAFEで実践的に学んでディプロマ以上を取得した後に大学に編入するルートを選ぶと、留学期間が短くなる可能性があります。

●TAFEを経由して大学編入を目指す際は、志望大学や学部・専攻が、TAFEからの編入を受け入れているかをあらかじめ確認することが大切です。

コツ3

ファウンデーションコースを選ぶときは、大学との連携や同じ地域の学校に注目

●志望大学・学びたい分野が決まっている場合は、その大学のファウンデーションコースに入学(英語力に不安がある場合は、語学学校を経由)するのがもっとも一般的といえます。志望大学が決まっていなくても、ある程度は志望大候補を絞ったうえで、その大学と提携している学校や、同じ地域にある学校を選ぶようにするとよいでしょう。ただし、それぞれのコースによって求められる英語力や成績が違うので、注意が必要です。

※注意※
現在、新型コロナウイルス感染症対策で、大学・TAFE・語学学校がそれぞれ通常運営ではなく、オンライン授業などにきりかえている場合もあります。各学校の最新情報を公式サイトなどでしっかりチェックしていく必要があります。

たとえ英語力が不安でも、海外で学びたいという気持ちをあきらめる必要はありません。世界中から学生を受け入れるべく制度を充実させている国や大学はたくさんあります。すべての学生に、留学への道は開かれているといってよいでしょう。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡がりによって、現在は状況が見えない中ではありますが、情報収集をしながら自分に合った進学ルートを考えておければ、目指す道や今やるべきことが見えてきます。動けるようになったときに、スピーディーに判断して行動に移せるように、今を過ごしていきましょう!

※この記事でご紹介している内容は2020年6月12日現在の情報に基づいています。

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