海外大生体験談

どう対策した? 自分らしさを伝える「アプリケーション(願書)」⑤

毎月「海外進学・留学ラボ協力隊」が書き下ろし原稿で、動画で入試や大学生活についてレポートをお届け。9月のテーマは自分の強み・個性を表現するための「アプリケーション(入学願書)」の書き方についてです。

アプリケーションの内容では、課外活動やエッセイが重要視される傾向があります。分かっていても他の出願者と見比べられることを意識しすぎて、自分の持ち味が発揮されることよりも“誰も経験をしていないこと”や“特別なこと”を書くことに意識が向いてしまうこともあると思います。そのようなプレッシャーの中、自分らしさを失わずに課外活動を行い、どのようにエッセイを表現すると良いのでしょうか。

こちらもチェック!


そこで、今回も海外に進学した先輩たちにどのように課外活動の準備を進めて、エッセイの内容をどう工夫したのかをお話しいただきます。最終回は、アメリカのニューヨーク大学に進学し、メディアコミュニケーションを学んでいるMegu .K先輩に語っていただきます。

 

 

Early Decision(早期出願)を決断!締め切りは早まったけれど、
すべての時間をNY大学の求める「個性のある学生」を表現することに使えました

 

 

Megu K.先輩
アメリカ ニューヨーク大学(New York University)

 

 

志望校のアプリケーション、どうだった?

 

他校に出願できないEarly Decision(早期出願)を選択!
ニューヨーク大学が重んじる「アイデンティティ」を表現することが肝になると思いました

 

私は、現在在籍しているニューヨーク大学にEarly Decision(ED)で合格しました。Early Decisionというのは日本の大学でいう早期出願にあたるのですが、EDに合格すると他校に出願できなくなる制約があるので、私はニューヨーク大学の一校のみを受験したことになります。

大学にもよりますが、EDの締め切りは通常11月上旬から中旬あたりで結果が12月中旬頃に送られてきます。一方、最もオーソドックスな受験方法である一般入試、Regular Decision(RD)のアプリケーションは12月末に締め切りがあり4月頃に結果の通知がきます。アプリケーションの締め切り時期が異なること以外にこの2つの出願方法に大きな違いはありません。

Early Decisionの出願時、ニューヨーク大学には高校の成績の「評定平均(高校の全科目の成績を足し合わせ科目数で割った数)」、「推薦状」、「TOEFLスコア」、「SATスコア」、「課外活動リスト」、「受賞歴」、「パーソナルエッセイ」の提出が必要でした。また、Common Application (Common App/アメリカの大学の共通願書)には、“Why NYU?” (なぜニューヨーク大学?)” をテーマに提出するSupplement Essay(大学独自のエッセイ)を求められました。

“Why NYU?” のような出願理由を問うエッセイでよくやりがちな間違いは、「なぜニューヨーク大学で学びたいのか」より「なぜニューヨークで学びたいのか」というエッセイをついつい書いてしまうことだと思います。 特にニューヨーク大学は近年出願数が増加しているので、「ニューヨーク大学じゃないといけない理由」をこのエッセイできちんと述べることがポイントになると思いました。

また、ニューヨーク大学は学生の個性やアイデンティティを特に重んじている大学なので、“自分について“をテーマに自己アピールを書くパーソナルエッセイも提出しました。そのパーソナルエッセイこそがアプリケーションの肝であったと私は考えています。


願書提出までのスケジュールは?

 

高校1年生の時から早めの対策スタート。
3年生で急遽EDへ切り替えた時も、焦らず準備ができました

 


私は高校1年生の時から本格的に海外大学進学を視野に入れ、TOEFLやSATの対策はもちろん早いうちから行い、その他の準備も始めていました。 高校2年生の1 年間を使ってTOEFL、SAT Subject TestとSATを受験し、課外活動もぼちぼち始めていました。テストは納得するテストスコアが取れなかったので、高校3年生になってから何度か受け直しもしましたが、夏休み以降は出願のためのパーソナルエッセイと推薦状依頼を重点的に取り組みました。

Common Applicationは高校の先生の助け無しでは提出できないものになっています。自分の情報は自分で入力しますが、学校側の情報や成績については先生にも作成してもらうCommon Applicationのアカウントからしか入力できません。先生の負担を無くし、先生の作業時間を確保してもらうためにも、私は夏休み中に米国大学の出願プロセスや方法をまとめた資料を作成し、推薦状の作成を依頼する先生に渡しました。

実は、高校3年生の10月まで早期出願(Early Decision / ED)で申請するとは考えていなかったのですが、急遽、本命の大学一本に絞る決意を固めました。なので、EDの締め切りである11月中旬に間に合うように急ピッチで出願準備をしました。幸いにもパーソナルエッセイや推薦状の依頼を夏休み中から徐々に始めていたので、焦らずに締め切りまでに提出することが出来たと思います。早めの準備ができていなかったら出願方法を変更することも決断できなかったと思うので準備を進めていたことは良かったです。


提出までのスケジュール、改善ポイントは?

 

課外活動にかける時間が意外ととれない!
大学受験のためだけでない活動を早めに始めていればよかったです


高校1年生から海外大学進学を決意していたにも関わらず、課外活動を高校2年生の後半からしか本格的に始めなかったことに少し後悔しています。高校2年生、3年生になるとテスト勉強やエッセイ執筆で忙しくなるので、その上自分がやりたい課外活動を探して継続してやり続けることは大変でした。

特に、課外活動は自分が熱心に取り組める活動に参画できているかが評価基準になるので、大学受験のための課外活動になってしまったことは大学側にも伝わってしまったのではないか…と思いました。


完成までに苦労したことって?

 

「“すごいこと”を書かなきゃ」と思い込み、急いで課外活動を追加。
実際は自分の強みを「行動に移せたか」がポイントでした

 

出願資料を作成する際に一番悩まされたのは、高校2年生から始めた課外活動です。というのも、他の海外大学進学を志望する日本人学生やアメリカ人学生と比べて課外活動欄が当たり障りのないものになってしまっていたことに気づいて苦労しました。

高校2年生の時点で中学から続けていた“写真部”と高校2年生から始めた“英語のディベート”しか課外活動として書けるものがなく、「何か他のことをもっと始めないといけない!…だけど、何をどうやって始めればいいのか分からない!」と考えて悩む日々が続きました。

ある日、悩んでいるだけだと結局何もせずに終わってしまうと気づき、自分の地元で簡単に継続して出来る活動がないかを調べ始めました。その当初、私は英語教育に関心があったので、地域のNPO法人で英語教師のアシスタントをやったり、NPO協働推進課のインターンシップに参加したりしました。

海外大学進学を目指し始めた当初は、課外活動で誰もが認める「“すごいこと”をやらないといけない」という先入観があったのですが、本当は課外活動欄では自分が大切にしていることを実際に行動に移すことが出来ているかがポイントになると思います。なので、ただ、“すごいこと”をやるのではなく、私は「自分のコミュニティー内でリーダーシップを発揮し、自分の強みである英語を活かしてインパクトを残すことが出来る人間である」というストーリーが伝わるように課外活動欄を記入しました。


どこに自分の「ウリ」をつくった?

 

成績、テストには表れない自分らしさをパーソナルエッセイで表現。
“寓話”のエピソードでクリエイティビティをアピールしました

 

私は、個人的に学校の評定平均と学年順位が低く、テストスコアも平均かそれ以下だったので、アプリケーションの他の要素で自分の強みをどう活かすべきなのかについてよく考えた覚えがあります。

自分のユニークさを認めてくれる大学に進学したいという強い想いもあったので、直接個性を見せることが出来るパーソナルエッセイにこだわることにしました。 「あなたについて教えてください」というテーマでパーソナルエッセイを書くのですが、私は寓話を書くことによって自分のクリエイティビティとライティング力を魅せることにしました!

もちろん、650字で寓話の形式を使って自分を表現するということはとても難しいことで、100回以上(!)も 一つのエッセイを書き直す必要がありましたが、テストスコアや評定平均では表しきれない自分をどうしても伝えたいという一心で塾の先生や先輩に助けてもらいながら「自分らしさ」が詰まったエッセイを書き終えました。結果、大学がこの努力を認めてくれたのだと思います。


~先輩の「自分らしさを伝える願書」アドバイス~

大学は、“すごい人”を探しているのではない! 大学は入学してから一緒に成長し、コミュニティに貢献できる人かどうかを見ています

 

アプリケーションの内容には、“すごいこと”を記入しないといけないと思うかもしれません。私自身が最初そう 思っていました。しかし、“すごい”という単語の定義は人それぞれだし、大学側が求めているものは単に“すごい”結果が出せているかどうかではないと思います。

もちろん、世界大会に出て優勝したり、全国模試で一位を取ったり、SATで満点を叩き出したりすることが出来たらアプリケーションのアピールポイントになるに違いありません。 しかし、米国の大学はアプリケーションを通してそういう“すごい人”を探しているわけではなく、大学で成長して、大学のコミュニティに貢献できる人材かどうかを見極めているのだと思います。

「記録や結果を残すような“すごいこと”を目指すのではなく、“自分らしさ”と“自身の軸に基づいた行動力”を見せることにフォーカスをするのはどうだろうか…。」と私自身がこのようにマインドセットをして考え方を変えたことによって「“すごい”ことをやらないといけない!」というプレッシャーから解放され受験を楽しみながら乗り越えられたと思っています。



※この記事でご紹介している内容は2020年9月29日現在の情報に基づいています。

LINE UP

海外、国内を問わず、グローバルな進路を実現する
学習プログラムをご用意しています