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日本と海外の2つの学位を取得 ダブル・ディグリー・プログラムとは?


世界のグローバル化が急速に進む現在、日本でも国際化を意識した教育を行う大学が増えてきています。海外での体験学習プログラムやインターンシップなどを含む、多様な海外留学制度を充実させている大学も、国公立・私立を問わず多くなっています。そうした中で、最近注目されている制度の1つがダブル・ディグリー・プログラムです。まだあまり聞き慣れない「ダブル・ディグリー」とはいったい?今回は、増えつつあるダブル・ディグリー・プログラムについて取り上げます。

日本と海外の2学位取得できるダブルディグリープログラム

ダブル・ディグリー・プログラムとは?

ダブル・ディグリーに関して、実は、国際的に見ても一義的な定義がなされているわけではありません。ただ、日本においては、文部科学省が平成22年に公表した『我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン』の中で、ダブル・ディグリーを「我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム」と定義しています。そのためダブル・ディグリー・プログラムとは、日本国内ではおおむね、「日本の大学と提携している海外の大学の間に設定された単位互換制度を利用し、提携先への学生の一定期間の留学などを通して、それぞれの学習プログラムを修了させることにより、双方の大学の学位を授与する」制度であると捉えられています。

ダブル・ディグリー・プログラムの特徴やメリットは?

ダブル・ディグリー・プログラムは、日本では「複数学位取得制度」などとも呼ばれることがあるように、日本と海外の2つの大学の学位を取得できる留学プログラムである、というのが大きな特徴となります。それぞれの大学ごとに提携先大学との協定があるためプログラムの詳細は様々ですが、メリットとしてはまず、日本の大学に在籍したまま海外の大学に正規生として学位留学できることが挙げられます。留学先は協定校となるため、日本の大学内での基準に合格すれば通常の入試は免除されます。さらに、留学の内容に関しては、ダブル・ディグリー用の特別プログラムであることが多く、通常より短い期間で学位を取得することが可能な場合が多いのです。つまり、日本と海外の大学の学位プログラムをそれぞれ理由するよりも短い期間で、両方の学位を取得することができることになりますので、その点が大きなメリットといえるでしょう。また、大学によっては派遣先の大学の入学料や授業料を払うことなく、日本の大学の授業料のみで留学できる制度を整備している場合もあります。

ダブル・ディグリーを実施している大学は?

日本でもダブル・ディグリー・プログラムを提供している大学は増えてきています。大学院の修士課程・博士課程で実施している大学が多いですが、学部(学士)過程で提供されているプログラムもあります。現在、ダブル・ディグリー・プログラムのある日本の大学・学部と提携している留学先大学については、以下のような例が挙げられます。

※大学・学部によって制度の名称は異なる場合がありますが、2つの学位が取得できる留学制度を「ダブル・ディグリー・プログラム」として扱います。

ダブル・ディグリー・プログラムのある大学・学部の例

●明治大学

◆国際教育センター主催◆ 

・デュアルディグリープログラム(Dual Bachelor’s Master’s Degree)

【対象学部】法学部,商学部,政治経済学部,農学部(農学科のみ),情報コミュニケーション学部,国際日本学部

4年次秋学期(在学8学期目)からアメリカ・テンプル大学大学院へ約2年間留学し、2つの学位(学士+修士)を取得できる。

◆政治経済学部◆ 

・【アメリカ】ノースイースタン大学 ダブルディグリープログラム(トランスファー型認定留学)

3年次の9月(秋学期)からアメリカ・ノースイースタン大学社会人文学部に4学期ほど在籍して所定の単位を修得することで、約4年2ヶ月で政治経済学部の学士とノースイースタン大学の学士を取得できる。

●慶応義塾大学

◆経済学部◆

・パリ政治学院とのダブルディグリー・プログラム

4~5年間の学士課程プログラム。在学中に2年間パリ政治学院ル・アーブル校に留学し、両校の修了要件を満たすことで慶應義塾大学、パリ政治学院から両方の学士号(B.A.)が授与される。

・HEC経営大学院との学部・修士5年プログラム

PEARL在籍者のみを対象とした学部・修士5年プログラム。3年間慶應大学に、その後2年間HEC経営大学院に在籍して所定の要件を修めると、4年目修了時に慶應義塾大学経済学士号、5年目修了時にHEC 経営大学院修士号(Master in Management)を授与される。

・ボッコーニ大学(イタリア・ミラノ)とのダブルディグリー・プログラム

3年次秋学期からボッコーニ大学へ1年間留学することで、慶應義塾大学経済学部およびボッコーニ大学から2つの学位(学士)を取得することができる。

◆商学部◆

・エセック経済商科大学院大学とのダブルディグリープログラム(フランス)

4年間の学士課程プログラム。慶應義塾大学、エセック経済商科大学院大学から両方の学士号( B.A. )が授与される。

●早稲田大学

・Double Degree Programs(DD)

協定校に留学し、所定の要件を満たせば、卒業する際に早稲田大学の学位と留学先大学所定の学位の両方を取得できるプログラム。プログラムによって、対象学部・研究科や期間が異なる。

【協定校一覧(2017年度時点)】
中国:北京大学、上海交通大学、復旦大学
台湾:国立台湾大学
シンガポール:シンガポール国立大学
アメリカ:アーラム・カレッジ

●同志社大学

◆法学部◆

・アリゾナ大学とのダブル・ディグリープログラム(学部プログラム)

アメリカ・アリゾナ大学 James E. Rogers College of Law (ロースクール)と協働で実施しているダブル・ディグリープログラム。法学部在学生と卒業生の参加が可能。在学生は3年間を同志社大学で、2年間をアリゾナ大学で学び、所定の単位を修得すれば同志社大学の学士号とアリゾナ大学のJ.D. Degree(Juris Doctor Degree)が授与される。J.D. Degreeを取得すれば、全米で有効な司法試験受験資格を得られる。

◆理工学部◆

・ダブルディグリープログラム

派遣先によって内容は異なるが、学生は原則として協定校へ1~2 年留学し、協定校で定められた課程を修了した後、同志社大学の大学院理工学研究科にて学ぶ。大学院で所定の科目を履修し、単位修得後に修士または博士論文を提出、審査に合格した者に同志社大学と協定校から修士号または博士号が授与される。

【学部間協定校(学部生のダブルディグリープログラムあり)】
フランス:エコール・セントラル国立理工科学院連合(EC)、リール国立化学高等専門学校(ENSCL)、エコール・セントラル・ナント、パリ市立工業物理化学高等専門大学(ESPCI Paris)
イタリア:ミラノ工科大学(Polimi)
ベルギー:モンス大学(UMONS)
オーストリア:ウィーン工科大学 医用生体工学研究科(TUW)

ダブル・ディグリーを狙うなら英語力は必須

ダブル・ディグリーのためには、基本的に提携先大学への数年間の留学が必要になります。当然のことながら、海外で学位をとるには海外大学の授業を受け、試験にパスしなければなりません。日常会話のレベルではなく、大学の授業についていけるだけの英語力が必須となります。さらに言えば、留学の前段階として、国内の大学でダブル・ディグリー・プログラムを履修するためには学内選考が設けられている場合が多く、大学での成績や語学能力に関して定められた基準を満たしていることが求められます。多くの場合、審査に合格するためには、人物や学業が優秀で、TOEFL®テストなどの語学テストで高スコアを保持していることが必要とされるため、ダブルディグリーを目指すなら早いうちから準備していかなければ実現はかなり難しいと考えるべきでしょう。大学での日々の学習を頑張るのはもちろん、非常に高いレベルの語学力を身につけておかなければなりません。
英語力アップは、正しい指導を受けながらの日々の積み重ねが大事。将来を見据え、早めの対策スタートをおすすめします。

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※この記事でご紹介している内容は2018年5月13日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2018年5月13日に掲載されたものです。

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