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イギリスのラッセルグループとは?

アメリカの「アイビーリーグ」と言えば、世界的にも有名な名門私立大学のグループですが、実はイギリスにも似たような大学群があるのはご存知でしょうか?「ラッセルグループ」と呼ばれている、優秀な研究型大学24校による連合です。今回はイギリスの名門大学の代名詞とも言える「ラッセルグループ」についてご紹介します。

イギリスのラッセルグループとは?

ラッセルグループとは何か?

ラッセルグループは、イギリスの高等教育を牽引する著名な国立の研究型大学24校で構成されたグループ。もともとは、政府や議会に大学側の要望を伝える調整機関として1994年に設立されました。オックス・ブリッジと呼ばれるオックスフォード大学(THE2023の1位)とケンブリッジ大学(同3位)をはじめ、インペリアル・カレッジ・ロンドン(同10位)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL)(同22位)など、メンバー校は100位以内に10校がランクインしており、イギリス国内では最も有名かつ一流の大学群として認識されています。

いずれも研究志向が強い大学ばかりで構成されており、非常に高い学術・研究水準に定評があります。同グループの目的は「世界をリードする研究と教育を通じて、大学が繁栄し、社会的、経済的、文化的影響を与え続けるための最適な条件を確保すること」とされています。各メンバー校が最先端の研究と教育を通して社会的・経済的・文化的に強い影響力を持ち続けられるよう、グループが様々なサポートを行っています。ラッセルグループに加盟している大学は、イギリス国内全ての研究助成金の3分の2を受け取り、他のイギリスの大学のほぼ2倍に届くほどの世界最先端の研究を生み出しているとされています。

ラッセルグループのメリット

ラッセルグループには毎年250万人以上の新入生が入学しますが、英国全土からの学生だけでなく、海外からもたくさんの優秀な留学生が集まります。世界中の多くの学生がラッセルグループの大学で学ぶことを選択する理由として、以下のような点が挙げられます。

1. 優れた研究・教育の機会と成果

ラッセルグループのメンバー校は、イギリスの知的生活の中で重要な役割を果たし、地域やイギリス全土、そして世界中に大きな社会的、経済的、文化的に多大な貢献を実現しています。年間約 870 億ポンドの経済効果を創出し、国内外で25万人以上の雇用を支えています。また、イギリスにおける「世界をリードする研究」の 68%を生み出し(年間340億ポンド相当)といるとされています。

なお、イギリス国内で、全学部生の4分の1、全大学院生の3分の1、エンジニアの3分の1以上、医師・歯科医師の5人に4人、言語学者の50%、物理科学者の58%、数学者の63%がラッセルグループの大学に在籍しているとみなされています。

2. トップレベルの施設・リソースを持つ環境

ラッセルグループのメンバー校にはイギリス国内の研究助成金の3分の2が投入されています。各校で提供されている世界トップレベルの研究と教育を、学生たちが最大限に活用できるように理想的な設備や環境が整備され、サポートされています。学生は図書館や講堂から研究室やオンライン学習ツールに至るまで、英国で最高の教育施設にアクセスすることができます。
また、各メンバー校は地域社会や地元コミュニティにおいても強い役割と影響力を持ち、企業と共同研究プロジェクトを実施しています。

3. 採用市場における高い名声と学位の価値

ラッセルグループのメンバー校にはそれぞれ豊かな個性があり、所在地もイギリス全土にわたっていますが、いずれの大学の学位も採用市場において高い名声と価値を持っています。ラッセルグループの卒業生は、就職やキャリアに関してかなり優遇を受けていると言われています。また、卒業後の収入に関しても、他の大学の卒業生より少なくとも10%以上高いと言われています。

4. 留学生の満足度

ラッセルグループ大学には約45万人の学部生と約15万人の大学院生が在籍(2018-19年)していますが、それらの学生の32%がイギリス国外から来ているとされています(学部生の場合は24%、6万人以上が留学生)。毎年160カ国以上、9万人以上の留学生がラッセルグループの大学に留学し、そのうちの91%が通っている大学での学びに満足しているという、非常に高い学生満足度を示しています(*1)。学生の中退率に関しても、ラッセルグループは英国で最も低い率を保持しています。

*1)Universities UK, The UK’s Competitive Advantageより

ラッセルグループの大学一覧

ラッセルグループを構成する24大学は以下の通りです。

※【】内はTimes Higher Educationによる「World University Rankings 2023」の順位です。

イングランド

バーミンガム大学(University of Birmingham)【=108位】

ミッドランズ(イングランド中部)の中心部にある英国第二の都市・バーミンガムに拠点を置くグローバル大学。1万人を超える活発な留学生コミュニティあり。近年、ドバイに大規模な新キャンパスを開設。


ブリストル大学(University of Bristol)【76位】

イングランド南西部の活気に満ちた緑豊かな都市・ブリストルの中心部に位置。1876 年の創立以来、イノベーションで定評のある独立心旺盛な大学。学生の 4 分の 1 以上が留学生。


ケンブリッジ大学(University of Cambridge)【=3位】

1209 年設立と、現存する中で世界で 4 番目に古い大学で、キャンパスには数多くの歴史的建造物が並ぶ。31のカレッジからなる自治コミュニティでも有名。最高レベルの質の高い研究の卓越性と多様性で世界で名声を博している。


ダラム大学(Durham University)【=198位】

イングランド北東部の歴史的な都市ダラムにメインキャンパスを置く。16 のカレッジ、25 の学部で構成。多様性に富んだコミュニティで有名で、小さいながらもユニークで他に類を見ない大学。


エクセター大学(University of Exeter)【=137位】

1955 年創立だが、その起源は 19 世紀に遡る。イングランド南西部エクセターに拠点を置き、4つのキャンパスが点在する。6つのカレッジで構成されており、特に人文科学・社会科学が有名。学際的な研究テーマが多いと言われる。


インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)【10位】

イギリスの首都ロンドンの中心部に拠点を置く理工系を中心とした世界屈指の名門大学。科学、技術、工学、医学、ビジネスに特化したイギリス唯一の大学でもある。イギリスで最も多様な学生コミュニティの 1 つを持つと言われ、国際的かつ革新的な大学として知られる。

【参考記事】海外大研究シリーズ イギリス編② インペリアル・カレッジ・ロンドン<コロナ禍の最新情報もチェック>


キングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London:KCL)【35位】

1829 年に設立されたイングランド最古の大学の1つで、ロンドン中心部に5つのキャンパスを持つ。ロンドン大学連合の創設メンバーだが、2008 年からは独自に学位を授与している。とくにヘルスケア分野で有名。


リーズ大学(University of Leeds)【=128位】

イギリス最大の高等教育機関の 1 つで、150 か国以上から 38,000 人を超える学生が学ぶ。もともとは科学大学で、期限は19世紀まで遡る。リーズの街の中心部から歩いてすぐの場所にある単一敷地のキャンパスには赤レンガの建物が建ち並ぶ。


リバプール大学(University of Liverpool)【=176位】

イングランド北西部リバプールの中心部に活気あふれるキャンパスを構える。健康・生命科学、科学・工学、人文・社会科学の研究で世界的に知られる。イギリスの大学で初めて中国(蘇州)に自治大学を設立している。


ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(London School of Economics & Political Science:LSE)【=37位】

1895 年設立の、ロンドン大学の構成カレッジの1つ。経済学、政治、社会学、法律、人類学を含む幅広い社会科学分野を専門とするイギリス唯一の大学で、世界的にも高い評価を受けている。29の学部と研究所でさまざまな科目を提供している。


マンチェスター大学(University of Manchester)【=54位】

イングランドで最初の著名な市立大学で、イギリスで初めて社会的責任を中核目標に掲げた革新的な大学でもある。学生コミュニティの規模はイギリス最大を誇る。2021年にはTHEの世界インパクトランキングで1位を獲得している。

【参考記事】海外大研究シリーズ イギリス編③ マンチェスター大学<コロナ禍の最新情報もチェック>


ニューカッスル大学(Newcastle University)【=139位】

創立は1963 年だが、その起源は1834 年に設立された医学部と外科に遡る。卓越性、革新性、創造性を追求し、イングランド北東部の経済、社会、文化の発展において主導的な役割を担っている。とくに高齢化・健康、データ、エネルギー、都市、クリエイティブ・アートの分野で世界をリードしている。


ノッティンガム大学(University of Nottingham)【=130位】

ロンドン大学の構成カレッジであるユニバーシティ・カレッジ・ノッティンガムに大学の基盤を持ち、1948 年から独自の学位を授与。芸術、工学、医学・健康科学、理学、社会科学の5学部がある。創立以来、イノベーションを重視し、2000年にはイギリスの大学で初めてマレーシアにキャンパスを設立。


オックスフォード大学(University of Oxford)【1位】

英語圏で最も古く、現存する世界で 2 番目に古い大学とされ、その起源は 12 世紀にまで遡る。オックスフォードの都市中心部とその周辺に44 のカレッジとホール、100 を超える図書館で構成されている。THEの世界大学ランキングで2017年から7年連続1位で、とくに科学分野で高く評価されている。

【参考記事】海外大研究シリーズ イギリス編① オックスフォード大学<コロナ禍の最新情報もチェック>


クイーン・メアリー(ロンドン大学) (Queen Mary University of London)【=124位】

1785 年にロンドン医科大学として設立され、英国初の医学部を含む 4 つの歴史ある医療機関を統合。1887 年に正式に大学となり、現在では人文・社会科学、科学・工学、医学・歯学など幅広い分野を扱うロンドン大学連合の中でも最大規模のカレッジの 1 つ。


シェフィールド大学(University of Sheffield)【=114位】

イングランド中部シェフィールドを拠点とし、150 か国以上から集まった 3万人以上の学生(うち1万人以上が留学生)が多文化でフレンドリーなコミュニティを形成している。100年以上にわたって留学生を受け入れており、イギリス最大級の英語センターなどで学生をサポートしている。


サウサンプトン大学(University of Southampton)【=108位】

サウサンプトン市の5つのキャンパスとイングランド南部のウィンチェスターに1つ、さらにマレーシアに1つと計7つのキャンパスを持つ。卓越した学問と革新的で起業家的な研究アプローチを融合させ、学生や職員が学習に没頭し、挑戦する文化を支えている。 結びつけている。


ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London:UCL)【22位】

1826年にロンドン大学の旗艦校として設立され、ロンドン中心部に拠点を置く。宗教や社会的背景を問わず学生を受け入れたイングランドで最初の大学であり、大学教育に女性を迎え入れた最初の大学でもある。世界有数の名門校で、とくに人文科学系、生命科学系の分野で評価が高い。

【参考記事】海外大研究シリーズ イギリス編④ ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)<コロナ禍の最新情報もチェック>


ウォーリック大学(University of Warwick)【104位】

1965 年に設立された比較的若い大学だが、先進的で起業家精神に富んだ研究は世界クラスとの評価を受ける。ビジネスとの密接に連携し、本拠地を置くウエスト・ミッドランド地域にも経済的、社会的に大きな影響を与えている。


ヨーク大学(University of York)【=139位】

1963 年の設立以来、最も差し迫った地球規模の問題に取り組むために、人命を救う発見や新技術、文化の進歩の開発に取り組む、野心的でダイナミックな研究に力を注いでいる。イングランド北部のヨーク市郊外にある公園に囲まれたキャンパスは生物多様性にあふれ、多種多様な野生生物が生息している。


ウェールズ

カーディフ大学(Cardiff University)【=187位】

1883年創立、ウェールズの首都カーディフに位置。イギリスで最も美しいキャンパスの 1 つと言われ、名高い伝統と印象的な近代的な施設を兼ね備える。活気のある学生コミュニティでも有名。世界中の200以上の研究機関と正式に提携し、国際的に強固な関係を築くグローバル大学。


スコットランド

エジンバラ大学(University of Edinburgh)【29位】

スコットランドの首都エジンバラに位置。1583 年設立と、英語圏で 6 番目に古い大学。学生の45%は留学生で、大規模なオンラインコース (MOOC) を提供したイギリス初の大学としても知られる。医学部と獣医学部は、この分野で世界をリードする。

【参考記事】海外大研究シリーズ イギリス編⑤ エジンバラ大学<コロナ禍の最新情報もチェック>


グラスゴー大学(University of Glasgow)【82位】

1541年設立のイギリスで4番目に古い大学。最大の都市グラスゴーに位置し、キャンパスには 100 を超える歴史的建造物と近代的な施設がある。多様な国際的コミュニティを誇り、世界的なパートナーと現実の社会に影響を与える質の高い研究を生みだしている。


北アイルランド

クイーンズ大学ベルファスト(Queen’s University Belfast)【=198位】

1845 年創立の歴史あるキャンパスは賑やかで多様なコミュニティに囲まれ、北アイルランドの首都ベルファストの文化、芸術、社会シーンの中心にある。100 社のスピンアウト企業を開発してネットワークを形成しており、2020年にはイギリスの起業家営業ランキング1位に輝いた。


世界的な名門大学が集まるラッセルグループ。どの大学も難関であり、入学・卒業するのはもちろん簡単ではありません。ただ、そのぶんラッセルグループの学生であるメリットは非常に多く、在学中も卒業後も多大な恩恵を享受できることは間違いありません。 海外で学ぶことを念頭に、高校の勉強を頑張ってきた方なら、チャレンジしてみる価値は十分にあります!

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※この記事でご紹介している内容は2023年8月29日現在の情報に基づいています。

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