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MITがCollege of Computing を新設!その目的は?

多くのノーベル賞受賞者を輩出し、理工系分野で世界をリードし続けるマサチューセッツ工科大学(MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY:MIT)。イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が毎年発表しているTHE世界大学ランキングでも常に上位にランクしており、名実ともに世界最高峰の大学として不動の地位を築いています。そのMITが、急速な進化・普及を遂げている人工知能(AI)の時代に対応する人材育成を目的に、10億ドル(約1100億円)の予算を投入して新大学「Stephen A. Schwarzman College of Computing」を設立すると発表し、世界的に話題を呼んでいます。はたして、その目的は?College of Computingとは?今回は、名門MITが構想する新設大学についてご紹介します。

アメリカのMITがAIとコンピューティングの大学を新設

マサチューセッツ工科大学(MIT)とは

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、アメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジ市のボストン郊外にある私立の研究大学。1861年に設立されて以来、とくに科学・技術の分野を重視した研究を推し進め、80名を超えるノーベル賞受賞者をはじめ、権威ある学術賞を受賞する多くの研究者を輩出しています。全米の学生が注目しているUS News & World Report(US News)の大学ランキング“Best Colleges”2019ではNational University部門で3位を獲得。イギリスのTimes Higher Education(THE)による世界大学ランキング2019年版では4位、過去数年を振り返っても常に1桁台のランクをキープし続けており、非常に高い評価を受けている世界的な名門大学の1校といえるでしょう。 現在のMITは、建築・プランニング、工学、人文科学、芸術・社会科学、マネジメント・科学の5つのスクールで編成されています。学部生の総数約4500名で、そのおよそ70%がキャンパス内の寮で生活しています。学生の男女比は約6:4、留学生は全学生の34%となっています。

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MITが新設するAIなどの最先端技術をリードする研究大学

現在、MITを構成している5つのスクールに加え、2018年10月15日に新たに設立が発表されたのはコンピューティングの普及と人工知能(AI)の勃興によるグローバルな機会と課題に取り組む研究大学です。投資会社Blackstone社の最高経営責任者(CEO)で共創設者のStephen A. Schwarzman氏から3億5000万ドルの寄付を得て開設されることにちなみ、正式名称は「MIT Stephen A. Schwarzman College of Computing」と名付けられます。
この新設大学は、ケンブリッジのキャンパスに建設予定のMITの新校舎を拠点とし、コンピューターサイエンス、AI、データサイエンスおよびその他関連分野の研究において、学際的なハブ(中核拠点)」を目指します。開校は2019年9月の予定で、新しい校舎は2022年の完成を見込んでいます。教職員は新たに50名が採用されることになっており、うち半数の25名が新大学でコンピューティングの専任になるとみられています(残りの25名はMITの他学部と共同)。
新大学では、コンピュータサイエンスとAIを他の分野と結び付ける新しいカリキュラムを開発するなど関連する倫理や方針についても研究を進める予定で、まさに全学をあげてコンピューティング分野とAIの進化を推進するために、MITは大改革に乗り出すことになります。

■新大学設立の背景

今回、MITが発表した計画は、来るべきAI時代に向けて人工知能(AI)とコンピューティングの研究に10億ドルの資金を投じ、AI開発において最先端の役割を担おうとするもの。これは、コンピューティングおよび AI 領域において、アメリカの学術機関による単独の投資金額としては、過去最大となります。Stephen A. Schwarzman氏からの寄付に加え、MITはさらに3億ドルを集めており、すでに3分の2の資金調達に成功していると発表しています。
この計画の狙いは、世界がコンピューティングとAIの急速な発展に適応していくうえで、グローバルな機会と課題に対しアメリカが世界をリードしていくこととされています。その中でもMITは、コンピューティング・カレッジの創設により、社会を根幹から変えようとしているコンピューティングやAIの技術が、倫理的かつ責任をもって発展可能となるようリードすることで、国際的なキープレイヤーとしてのポジションを強化することを目指します。

◇MIT Stephen A. Schwarzman College of Computingが目指すこと◇

  • ● MITのあらゆる分野にコンピューティングとAIの恩恵が及ぶように、MITの進む方向性を再設定する。同時に、コンピューティングとAIの未来が、他の分野の知見によって形作られることを可能にする。
  • ●カレッジ内およびMIT全体の他の部門と共有する50名分の新たな教員ポジションを設ける。これにより、MITのコンピューティングおよびAIにおける学問的な能力はほぼ倍増する。
  • ●コンピューティングとAIにおける教育、研究、イノベーションにおいて協働できるように、MITの5つのスクールに共有構造(shared structure)をもたせる。
  • ●AIとコンピューティング技術を責任もって利用し開発できるように、あらゆる分野で学生を教育し、よりよい世界が実現できるように支援する。
  • ●コンピューティングとAIに関連する公共政策や倫理的配慮に関しての教育と研究を変革する。

世界最先端の研究に触れたいなら海外へ飛び出そう

大学・大学院では、コンピュータサイエンスやAIなどの最新の科学技術分野に進むことを志している皆さんもいるでしょう。どうせやるなら、世界でも最先端の研究を行っている場所で学んでみたい、と思っている方もいるのでは?もともと科学・工学の分野で世界最高峰と言われてきたMITですが、AIに関する大学を設立することでさらにこの分野で世界をリードしていくことでしょう。世界中のコンピューティングの学生・研究者にとって、MITでAI研究に携わるということは今後さらに大きな憧れとなるかもしれません。
ただ、MITは入学が非常に困難な、世界でも有数の難関大学としても知られています。たとえば2016年のデータでは、MITの新入生の受け入れ率は8%とかなりの狭き門となっています。留学するためには、TOEFL®テストやSAT®でハイスコアを獲得しておくのはもちろんのこと、すべて英語で書くことが要求されるエッセイなども大きなハードルとなります。入学後に授業についていくことも考えると、ネイティブ並みの英語でのコミュニケーション能力が求められるといえるでしょう。MITを目指すならもちろん、そうでなくても海外でAIなどの最先端の技術を学びたいと思うなら、まずはハイレベルな英語対策が何よりも前提になると心しておく必要があります。

※この記事でご紹介している内容は2019年3月8日現在の情報に基づいています。

※この記事は、旧GLCウェブサイトの「グローバル海外進学コラム」2019年3月8日に掲載されたものです。

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