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アメリカでは一般的! 4年制大「編入」のメリットとやり方は?

いまだ世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるい続け、なかなか先が見通せない状況が続いています。行きたい海外大があるけれど、来年以降もこの状態が継続すると、直接入学での留学は難しいかも…と不安になり始めた方もいるかもしれません。そこで、こんなときだからこそ知っておいてほしいのが、「編入」という道。自分の将来を見据えて考えた場合、思い切って最初から海外大への「編入」のルートを視野にいれておけると、学歴のバージョンアップだけでなく、進路選択の幅が広がるはず。そこで今回は、海外大学(とくにアメリカの大学)の編入制度のメリットや必要となる条件をご紹介します。

アメリカの4年制大「編入」のメリットとやり方

アメリカの大学における編入制度の概要

多様な進学ルートが用意されているアメリカでは、ほぼすべての大学の学部課程に編入学の制度があります。日本では大学間の編入システムはそれほど馴染みがありませんが、アメリカではある大学からほかの大学に籍を移す編入がかなり一般的に行われています。
アメリカの高等教育がこのような個人の志向や能力に合わせた柔軟な制度となっているのは、アメリカの大学が日本の学年制・通年制と違って、「単位制」「学期制」で運営されているため。通常は学期ごとに単位が認定されており、アメリカの4年制大学だとおよそ120単位、コミュニティ・カレッジ(2年制)だとおよそ60単位が卒業単位となります。自らの学部で決められた科目について、卒業するために必要と定められた単位数が取得できた時点で、在学期間に関係なく卒業することができるのです。

単位は大学間で移行することが可能で、基本的には世界中の大学の単位が認められます。大学によって規定は異なりますが、卒業単位のおよそ半分ぐらいまでは、編入前に在学または卒業した他大学の単位を認めてくれることが多いようです。 つまり、アメリカの大学での編入とは、「取得した単位を、在籍している大学から、別の大学に移行する」という意味合いになります。厳密にいえば、「2年次を修了したから、3年次に編入」というような日本での感覚とは根本的に異なっており、「○単位移行できたので、編入後卒業までに 必要な単位は残り○単位」→「残り○単位を取り終えるにはあと○何学期が必要」という考え方になります。基本的には編入は学期ごとに可能となっており、編入の手続きは新入生(大学の単位を取得していない学生)とほとんど同じ条件・プロセスとなります。

アメリカの大学「編入」のメリット5

①入学ルートのように「編入ルート」もたくさんあり、比較的容易にできる

アメリカには4年制大学、2年制大学を合わせて約4,700校と非常に多くの大学があります。柔軟性・多様性の高いカリキュラムや教育システムが整備されており、大学に進学するルートは、直接入学以外にもたくさん存在しています。

【参考記事】多様な進学ルート、どれが自分に合っている? ―アメリカ型編―

自分が学びたい分野・内容、自分に適した学び方や学ぶ環境など、個人がそれぞれに合った選択肢を自由度高く選べるのがアメリカの教育制度の大きな特徴です。前述のように大学は単位制となっており、他大学で取得した単位を卒業単位として認定してもらえる単位互換制度も広く浸透しているため、学生の状況に合わせた数多くの編入ルートが用意されています。

・2年制大学(コミュニティ・カレッジ)から4年制大学へ編入
・4年制大学からほかの4年制大学へ編入
・学部間の編入(大学の途中での学部・専攻の変更)
・海外の大学(日本の大学を含む)からアメリカの大学への編入

多様なバックグラウンドを持つ編入生を受け入れることで、大学内の多様性向上につながるということもあり、アメリカのほぼすべての大学が積極的に編入を受け入れています。

②すでに取得した大学の単位を無駄にせず、新たに学びたいことが学べる

「この大学で、この学問を学びたい!」と思って入学したとしても、その大学・学部で学んでいくうちに、違う分野に興味が出てくることはそれほど珍しいことではありません。たとえばアメリカの大学に入学した場合であれば、最初の1~2年間は基礎的な一般教養科目で自分が興味のある分野を探り、その後に専攻を決めるのが一般的なので、そのタイミングで自分が本当にやりたい学びを再度考え直すことができます。大学内で学部や専攻を変えられることはもちろん、学びたい・研究したい分野が今の大学にない、もしくは他の大学のプログラムの方がより充実しているならば、編入という形で自分にとって最良の道を選択していくことができます。その際、元の大学ですでに取得した単位は、科目などの条件をクリアすれば編入先でも卒業単位として認定してもらえるため、通常の4年程度で卒業が可能というのが最大のポイント。編入先の大学では、すでに取得した単位を生かしつつ、それまでとはまったく異なる分野を学び始めることもできるのです。
入学した大学にとらわれることなく、一度選択したことでも比較的簡単に軌道修正していけるのは、アメリカの編入制度の大きなメリットです。

③将来を見据えたステップアップができる

将来の夢を、入学前にはっきり決めている人はそれほど多いわけではないでしょう。入学してから、将来就きたい職業が見定められた、また有名大学の大学院で研究したくなった、など卒業後の進路への展望が見えてくることも多いはずです。例えばこれまで通っていた大学にはなかった専門設備が揃っている、やりたい研究が積み上げられる、その職業に就くための知識やスキルが身に付く、なりたい職業に多く卒業生を出している、またその分野へのインターン制度を用意している大学などがある場合、編入することで、将来の夢になるべく近づくことができます。国内大ではときにかなわないこともある「専攻と職業がぴったり合致する」がスタンダードな考え方でもあるのです。

④費用的なメリットが得られることもある

たとえば、アメリカのコミュニティ・カレッジ(州立の2年制大学)には、主に4年制大学への編入を前提とした「進学準備系コース(4年制大学編入コース)」が用意されています。州によって授業料は異なりますが、一般的には4年制大学の1/2~1/3程度とリーズナブルになっています。「進学準備系コース」で2年間のカリキュラムを修了した後に4年制大学に編入すれば、トータルの学費はかなり抑えることができます。
また、アメリカの大学に編入する際、移行できる単位は最大で60単位程度(卒業単位の半分)とされていますが、日本の大学で2年間学んだ後に多くの単位を認定してもらって編入できれば、実際の留学期間は2年間ほどでアメリカの大学を卒業し、学位を取得することができます。高額になりがちな留学費用が通常の半分程度ですむのはかなりのメリットと言えるでしょう。

⑤日本の大学から編入する場合、世界標準の多様な価値観を身につけられる

アメリカの大学はほとんどの場合、入学時には学部や専攻を決めません。1・2年次は一般教養の課程にあたる科目を幅広く学び、3年次から専攻(major)を選択します。さらに、編入時に各大学で定められた基準をクリアできれば、日本の大学のとくに一般教養科目は、かなりの確率で単位が認定されることもあります。仮に、日本国内のグローバル系大学など英語で授業が行われる大学・学部で2年間学べば、日本に居ながらにして英語力を磨きつつ、基礎的な分野の学習内容もしっかり身につけ、かつ2年分の単位も取得できるという効率の良い留学ができる可能性があります。
この場合、日本で自分のやりたいことをしっかりと見極めながら編入先の大学を選べます。また、編入したアメリカの大学で学ぶ時間は、日本にいたままではなかなか実現できないようなコミュニケーション重視の環境や、多人種のコミュニティに飛び込めるなど、世界標準の多様な価値観を身につけられる貴重なチャンスとなるでしょう。
現在、新型コロナウイルスの影響でなかなか海外留学を考えるのが難しい状況にあるため、今後数年間はいったん日本のグローバル系大学に入学し、落ち着いた頃に憧れの海外大学に編入を狙うというケースも増えていくかもしれません。

アメリカの大学編入の出願に必要な書類

詳細な編入の条件や基準は学校によって異なりますが、出願の際に必要となる主な書類は、一般的に以下のようなものになります。

●入学願書(Application Form)

アメリカの多くの大学が採用している共通願書であるCommon Applicationを使用する場合と、大学独自の形式の願書が指定される場合の2パターンがあります。

●エッセイ

Common Applicationの中で要求されているものに加え、各大学が個別にテーマを指定しているケースもあります。

●高校3年間と大学〔出願の時点まで〕の成績証明書(Transcript)

大学の成績証明書は、在学中の大学で今までに取得した科目名、単位数、成績、成績の基準等が記入されます。

●推薦状

在籍している大学の先生からのものを2通求められることが多いようです。

●TOEFL®テスト/IELTSなどのスコア

編入の場合も、留学生は英語テストのスコアの提出が必要となることがほとんどです。基本的に、審査に合格するためには大学が定める基準スコア以上であることが求められます。

●SAT®/ACTなどのスコア

提出が必須でない大学も多いですが、一部の私立大学等では編入でもSAT®/ACTなどの標準テストのスコアを要求している場合があります。一般的には、在学中の大学での学業成績のほうが重視されると言われています。

日本の大学からの編入など、受入れ先の大学と編入に関する協定を結んでいない場合は、単位認定の判断材料として下記のような書類(英文)を提出する場合もあります。

○各科目の詳しい記述(course description)

○シラバス(syllabus):授業の概要を記したもの

 

※大学によっては面接(インタビュー)が課されることもあります。また、芸術大学や音楽大学の場合は、ポートフォリオと呼ばれる作品集や、演奏・パフォーマンスの動画の送付を求められることもあります。

※高校や大学からのスクールリポート(在籍している大学、あるいは卒業した高校での学生の姿勢・態度や費用の支払い状況等について確認するための書類)も要求される場合があります。

提出書類の中でも、もっとも重視されると言われているのが「成績証明書」です。編入先の大学で良好な成績を収められるかどうかを判断する最重要指標とされるため、大学での学業成績が編入の合否を大きく左右します。履修科目の内容や、学期あたりの履修単位数、成績の移り変わり(上がってきているか)などを見られることもあります。

編入を成功させるためにしておくこと

●編入後の大学生活をできるだけ明確にイメージしておく

アメリカでは大学への編入は珍しいことではないですが、入学した学校が想像していたものと違うからといって、そう何度も簡単に編入を繰り返せるわけではありません。編入後の大学生活をできるだけ明確にイメージできるように、キャンパス訪問(コロナ禍の今ならオンライン見学が提供されている学校もあります)でしっかり確認しておくこともおすすめです。

●編入先の大学の科目・単位取得のルールや専攻の選び方などを確認して対策

アメリカでは単位の認定団体による単位認定制度が整備されているため、どの大学であっても授業での学習内容や学習進度、授業や試験の難易度がほとんど同じで、編入の際の単位の認定・移行も比較的スムーズに行われますが、日本の大学からの編入の場合は日本で取得した単位の授業内容・成績などをアメリカの編入受入れ先となる大学が審査し、それがその大学・学部の卒業要件単位に該当するかどうかを判断して単位を認定します。
実際の単位の認定・移行については入学後(または合格後)に大学側の担当者と直接話し合い、決定されることがほとんどです。合格したらなるべく多くの単位を生かせるよう、編入先の大学の科目・単位取得のルールや専攻の選び方などをホームページなどの情報でよく理解したうえで、相手の判断に役立つ資料(科目の詳細がわかるものなど)をなるべく多く提示してしっかり交渉しましょう。

●編入後も気を抜かない

ほとんどの場合、単位の移行数は編入後に決定されるため、出願前にどれぐらいの単位が移行できるかを知ることはできません。大学側としても単位認定にはかなりの時間と手間がかかるため、通常は編入希望者が実際に正式出願をしてから審査が行われます。大学によっては編入後に、面接や1学期目の成績も参考にして最終的に単位の認定を決定する場合もあるので、注意が必要です。

 


 

 

編入に関する柔軟な制度が用意されているとはいえ、実際に希望の大学に編入するためには、編入前の学校生活でそれなりの成績・単位をとっていくことが必須。それに加え、エッセイや推薦状など準備しなければいけない書類を考えると、時間も労力もかなりかかるので、そこまで簡単にできることではありません。ただ、新型コロナウイルスの影響が今後もしばらく続くであろう世界の情勢を受けて、大学で学んでいる途中で、進路イメージややりたいことが変化していくことも、十分に考えられます。そんなとき、編入という手段を知っているかどうかで、選択の幅も可能性も、大きく変わってくることは間違いないでしょう。

「編入」は、理想の学びを柔軟に追求していく選択肢を広げてくれる手段といってよいもの。自分の関心・志向に合わせてフレキシブルに学び方・生き方を軌道修正していくために、あらゆるルートを意識しておくことや、最良の学びのステージを手に入れられるよう努力し続けることは、きっと、これから続く長い人生にもおおいにプラスになるはずです。

※この記事でご紹介している内容は2020年12月4日現在の情報に基づいています。

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