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「パーソナルエッセイ(アメリカ)」と「パーソナルステイトメント(イギリス)」の違いは?

英語圏の留学先として、世界的に人気を集めているアメリカとイギリス。日本からも毎年多くの留学生を送り出しており、コロナ禍の中でもその人気は衰えていません。
しかし同じ英語圏ではあるものの、アメリカとイギリスの大学教育や入試制度にはかなりの違いがあります。今回は、出願時の提出書類の中でも、特に留学生が不安に感じていると言われる「エッセイ」について、それぞれの国の特徴をご紹介します。アメリカとイギリスの「エッセイ」の違いをおさえておけば、「出願したい!」と思ったときに対策しやすくなるはずです。

アメリカとイギリスのエッセイの違い

欧米の大学入試で必要な書類

アメリカ、イギリスをはじめとした欧米の大学の入試は、日本の大学とは大きく異なります。最も大きな違いは選考方法。日本のように、期日が決められた大学入学共通テストや大学ごとの個別学力試験といったような「一斉学力テスト」は、海外大学では原則として行われません。志願者が出願期限までに提出した書類の内容がじっくり審査されたうえで、様々な観点から総合的に評価して合否判定が行われることがほとんどです。

出願の際に提出を求められる書類は、国や大学によって異なります。一般的に、留学生の場合は次のようなものが挙げられます。

<出願時の提出書類の例>

  • 1)願書(アプリケーション)
  • 2)高校の成績表
  • 3)英語力を証明するテスト(TOEFL®テストなど)のスコア
  • 4)英文エッセイ
  • 5)推薦状
  • ※指定された試験のスコア(アメリカの場合はSAT®、ACTなど)が必要なこともある

上記のうち、「英文エッセイ」はどの国・大学でも必須とされていることが多くなっています。海外大の入試においては、エッセイは志望動機や入学志願者の人となり、キャリア、学問的関心などを見るために利用されています。エッセイライティングは、合否を左右する大きな決め手になるともいわれる非常に重要な要素なのです。

アメリカとイギリスのエッセイの違い

アメリカもイギリスも、ほぼすべての大学で出願時に「エッセイ」の提出が必須となります。いずれも、オンラインでの提出が主流です。

■アメリカ・イギリスの出願方法の違い

  アメリカ イギリス
出願方法 基本的に個々の大学に直接出願するが、多くの大学で共通の学部入学願書である「Common Application」システムを使用しているため、複数の大学への出願も比較的容易に行える。ただし、大学ごとに独自の課題(エッセイなど)を課している場合がほとんど 学部入学の場合、出願から合否決定までの一連の手続きは、すべて「UCAS(Universities &Colleges Admission Services)」と呼ばれる中央機関を介して行われる。設定された締め切りまでに、最大5校の大学(学部)を選択し、UCASのアプリケーション(出願申請書)で一括出願できる

アメリカ・イギリスにおけるエッセイの種類

◆アメリカ:主に2種類

・コモンアプリケーション・エッセイ(Common Application Essay)
・サプリメンタル・エッセイ(Supplemental Essay)

◆イギリス:主に1種類

・パーソナルステイトメント(Personal Statement)

アメリカ・イギリスのエッセイの内容

  アメリカ イギリス

コモンアプリケーション・エッセイ(Common Application Essay)

サプリメンタル・エッセイ(Supplemental Essay) パーソナルステイトメント(Personal Statement)
概要 共通願書(Common Application)の入力時に必須となる項目の1つ。コモンアプリケーションを利用している大学すべてで入力必須 各大学が独自にテーマを設定して、提出を要求することがある補助エッセイ。テーマは大学ごとに異なり、非常にバラエティに富んでいるのが特徴 ほとんどの大学(学部課程)への出願を扱うUCASのアプリケーションの一部で、出願の際には入力必須
形式 英単語650語以内 150語程度の短めのものをいくつも課すタイプから、500語程度の長文を書いてよいものなど、大学によってさまざま ・英語で記入(ウェールズでの留学を希望する場合は、英語またはウェールズ語で記入)
・最大47行、または4000字まで(ただし1000字以上、スペースを含む)
内容 複数のPromptと呼ばれるエッセイテーマ(トピック)の中から1つを選ぶ Prompt(エッセイの課題)は大学ごとに異なる ・自己紹介とこれからの目的・目標について
・これまでの学歴や興味分野について
・志望分野に関連のある職歴について
・これから勉強したいことと目標の概要
・志望コースに対する意気込み

アメリカ・イギリスのエッセイの特徴とそれぞれの対策

アメリカ

◇コモンアプリケーション・エッセイ(Common Application Essay)

<特徴>
コモンアプリケーション・エッセイの特徴を一言でまとめるなら、大学に対して「自分のことを説明・アピールするためのエッセイ」と言えるでしょう。比較的抽象的で、漠然としたテーマ設定がされる傾向がありますが、そのほとんどは個人的な内容に焦点があてられています。これまでの自分の行動や考えたことなどを題材に自分自身を見つめなおし、「自分はどのような人間か?」を表現できるようなトピックが多くなっています。
コモンアプリケーション(共通願書)の一部ではありますが、出願する大学に合わせて内容・表現を調整することも可能です。

<対策>
まずは自分が何かに挑戦した経験や、困難を乗り越えて達成したこと、印象に残っている出来事など、一人の人間として成長してきた過程で考え方や価値観に大きな影響を与えた事柄を整理します。さらにそこから何を学んできたのか、どんな人間になったのかという自分の個性をしっかり言葉で表現します。そのうえで、それらを筋道を立ててまとめ、説得力のある文章にしていくことが大切になります。

◇サプリメンタル・エッセイ(Supplemental Essay)

<特徴>
サプリメンタルエッセイのテーマ(プロンプト)は、それぞれの大学が学生に求める資質などが反映されていることが多く、出題の内容は非常にバラエティに富んでいます。

■サプリメンタル・エッセイでよく見られる出題傾向

  • ・その大学に進学したい具体的な理由(志望動機)や熱意、入学後の学業計画、またそれが将来の自分にどう役立つかについて説明するもの
  • ・特定のテーマを通じて知的好奇心と可能性をアピールする内容(「もっとも影響を受けた課外活動について」「好きな本と著者」「好きな映画」など)

■サプリメンタル・エッセイのユニークなプロンプトの例

●University of Chicago[シカゴ大学]
Find x.
(xを見つけなさい。)

●University of Pennsylvania[ペンシルベニア大学]
You have just finished your 300-page autobiography. Please submit page 217.
(あなたは300ページの自叙伝を書き終えました。217ページを提出してください。)

●Tufts University[タフツ大学]
Kermit the Frog famously lamented, ‘It’s not easy being green.’ Do you agree?
(カエルのカーミットが「緑でいることは簡単ではない」と嘆いたのは有名な話です。あなたもそう思いますか?)

<対策>
プロンプトを良く読み、何を問われているのかをきちんと理解したうえで、聞かれていることに簡潔に答えていくことが大切になります。具体的な経験やエピソードをまじえつつ、自分の考え方や人間性を反映した論理的で説得力のあるストーリーを組み立てていきます。複数のプロンプトの中からいくつかを選択して書く形式の場合、自分の特徴を最も良く表現できるプロンプトを選ぶことも重要なポイントになります。

イギリス

◇パーソナルステイトメント(Personal Statement)

<特徴>
パーソナルステイトメントは、大学(学部)に対して自分の志望動機、学歴や長所などを伝えるための重要な資料となります。コースを志望する理由、コースに対する適性(スキルや経験、および興味・関心)、大学がなぜ自分を採用すべきかについて、自分自身の言葉で自由にアピールすることができます。
なお、UCASでは5校(学部)まで一括出願できますが、それぞれにエッセイを書き分けることはできません。同一のエッセイがすべての大学(学部)に送られるため、特定の大学や科目名に言及することは避けるよう指示されています。

<対策>
なぜこの学部で勉強したいのか、将来はどんな仕事へ就きたいのかなどを、具体的な根拠をもって明確にまとめることが大切です。そのためにはまず、専攻する分野・コースを絞りこむことが必要になります。
コースの志望動機、専攻科目に興味・関心がある理由は最も重要なポイントとなるので、最初の段落に記入します。そのうえで、専攻する学問分野に関連して取り組んだ課外活動(自主的に読んだ書籍、コンテストへの参加等)、将来の目標とその目標達成に志望するコースが役立つ理由、コース履修に役立つその他の課外活動、経験(これまでに履修したコース等)、職歴(有給および無給)、趣味や習い事、所属するクラブ(オーケストラの楽団員、救急手当講習会の受講経験、地元サッカーチームのキャプテン等)などを簡潔に説明していきます。
自分が興味のある分野について、早めにしっかり調べて知識を深めたうえで、自分の意思を明確にし、自分のどんな能力やスキル、経験が活かせるかを考えておくとよいでしょう。

アメリカ・イギリスに共通すること

●書き始める前に、まずは自己分析をしっかりと行うことが大切です。自分がどのように成長してきて、これからどんな人間を目指していくのか徹底的に分析し、他者と比べた際の自分の強みや価値をよく考え抜く必要があります。

●先生、親、友達など他の人に見てもらって、意見をもらい、何度も推敲を重ねましょう。

●スペル、文法、句読点等の間違いがないことをしっかり確認しましょう。可能であれば、英語のネイティブスピーカーまたは先生にチェックしてもらうとよいでしょう。

●他文献等の文章を複写するのではなく、自分自身の文章で記入することが大切です。
※たとえばイギリスでは文章の盗用は重大な違反となります。UCASには盗用された文章を照合できるソフトウェアが導入されています。


アメリカ、イギリスのどちらも、エッセイは大学に自分自身をアピールするためのもの。
ただ、アメリカのエッセイが自分のこれまでの人生経験などをもとに、大学に対して「自分がどんな人間か」をより詳しく伝えるためのものであるのに対し、イギリスのエッセイは入学したい学部(コース)の学問分野への興味・関心や適正(スキル、経験など)がどれだけあるかを具体的に大学側に伝えるもの、という違いがあります。それぞれの特徴や違いをしっかり認識しておけば、いざエッセイに取りかかる段階で、求められている情報を外さずに、かつ自分らしいエッセイが書けるようになるでしょう。

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※この記事でご紹介している内容は2021年11月12日現在の情報に基づいています。

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