「英語で」学べる大学・学部 2023年度最新情報① 早稲田大学 国際教養学部(SILS)
ここ数年、世界中を覆っていたコロナ禍がようやく終息に向かい始めた昨今。留学を含めたグローバルな人の動きも活発化してきています。ただ、「もっと英語力を磨きたい」「世界で活躍するために必要な分野をしっかり学びたい」という思いを抱きながらも、海外大への進学はまだ少し不安が残るという方も少なくはないかもしれません。
そんな方に、進路の選択肢として検討していただきたいのが国内のグローバル系大学・学部。国際系、グローバル系と言われる大学・学部は、欧米の大学に近い国際的な環境や、「英語で」学ぶ授業、リベラルアーツ教育の実践、留学制度の必修化など、大学によってそれぞれの個性を強く打ち出しているのが特徴です。
国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、今回から「英語で学べる」ことに実績・定評がある日本の大学・学部の、コロナ禍の状況を含めた最新入試情報をシリーズでお届けしていきます。2022年(2023年度入試)の初回は、早稲田大学・国際教養学部(SILS)を取り上げます。
【参考ページ】:School of International Liberal Studies 早稲田大学 国際教養学部

(1)どんな学びができる?
SILSとはどんな学部?
SILS(School of International Liberal Studies)の略称で知られる早稲田大学・国際教養学部は、2004年に独自の理念とカリキュラムの下で開設されました。
<SILSのコンセプト>
幅広い教養教育と世界中の学生との交流を通して、世界規模の問題に意欲的に取り組む高い志と倫理観、国際競争力、そして人間的魅力を備えた世界へ羽ばたく地球市民を育てることをコンセプトとしています。
専門分野学習を目的とせず、少人数指導の下で基礎的な教養を磨くとともに、 多元的な視点、論理的思考を養うことに重点をおいたリベラルアーツ教育と早稲田大学が培った伝統やネットワークを融合させた独自のカリキュラムです。 加えて、キャンパスを多種多様な文化・背景・言語を持つ世界の若者たちの交流の場と捉え、日常の学生生活から高い国際感覚を身につけられる環境を整えています。
<SILSの目的>
SILSは下記のような学生の育成を目的としています。
- ・グローバル化した世界が直面している諸課題を解決しようとする志をもった学生
- ・自己の文化の独自性を認識し、かつ多文化社会での共存を目指すことができる学生
- ・現代の学問の基礎を理解し、かつ先端的・学際的学問領域に関心を抱く学生
- ・自己の思考を発信できる外国語能力を有する学生
SILSの主な特色(概要)
特色1) 考える力を養うリベラルアーツ教育
多角的な視点を養い、論理的な思考力と分析力、実行力を身につけるため、さまざまな分野の科目を履修するリベラルアーツ教育を実践しています。開講科目は世界の最新情勢を包括する7つの分野にわたって幅広く設置され、学際的な学習が可能です。講義では学生一人ひとりが物事を多元的に捉え、分析し、自ら考え抜く能力を身につけることに重点が置かれています。
<7つのクラスター(科目群)>
●Life, Environment, Matter and Information(生命・環境・物質・情報科学)
●Philosophy, Religion and History(哲学・思想・歴史)
●Economy and Business(経済・ビジネス)
●Governance, Peace, Human Rights and International Relations(政治・平和・人権・国際関係)
●Communication(コミュニケーション)
●Expression(表現)
●Culture, Mind and Body, and Community(文化・心身・コミュニティ)
特色2) 多様な文化が融合する国際的な環境
入学者の約3割は外国人留学生。キャンパスには、アジアをはじめ欧米やアフリカなど約50ヶ国・地域から多様な背景を持つ学生が集い、国際的なキャリアをもった教員たちとともに、英語での活発な交流が展開されています。カリフォルニア州立大学バークレー校など、 世界でトップクラスと言われる協定校からの交換留学生も、毎年約300名受け入れています。
特色3) 少人数教育と充実した教育サポート
◆少人数教育
学生と教員の双方向の活発な対話と質疑応答ができる少人数教育を実現しています。
・学生と教授の割合(講義課目) 60-70:1 <1クラス平均で学生60名~70名の規模で開講>
・学生と教授の割合(演習:ゼミ) 20:1 <1年次から全学期に設置されている演習(ゼミ)では、学生と教員との比率が20:1が基本>
◆教育サポート
・オフィスアワー:
各専任教員が設けるオフィスアワー(週2時間)には、学生が個人的に教員へ助言を求めることが可能
・アカデミックアドバイザーシステム:
各学生に「アカデミックアドバイザー」として特定の専任教員を充て、履修・留学の計画や学生生活での様々な問題についてサポート
また、先輩学生が主体となり、新入生が入学後すぐに学部の環境に馴染めるようにきめ細かいサポートをするシステム(SILS Sempai Project)もあります。
特色4) グローバル化に対応した語学教育
学部の共通言語は英語。ほぼ全ての講義は英語で行われ、英語力強化を目指しています。フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、ロシア語、朝鮮語のプログラムも開講されており、この6言語を含む27言語を履修することが可能です。(日本語以外を母語とする学生には日本語習得のためのプログラムが用意されています)
特色5) 1年間の海外留学が必修(日本語を母語とする学生)
より国際的な広い視野を身につけるため、日本語を母語とする学生には1年間の海外留学が必修とされています(日本語以外を母語とする学生は任意)。英語圏だけでなく、国内最大級といわれる300を超える早稲田大学の海外協定校ネットワークと、学部独自で相手先大学と協定を結んだSILS箇所間協定プログラムの中から、留学先を選ぶことができます。
プログラム内容も多岐にわたり、各自のレベルや目的に合わせて留学プログラムを選択可能です。
(2)2023年度の入試情報
2023年度入試制度の特徴・内容
SILSには大きく分けて「一般選抜」と「AO入学試験」の2つの入試制度があります。さらに、「AO入学試験」は入学時期や対象者により、「4月入学 国内選考」「4月入学 国外選考」「9月入学」の3つに分かれています。
※ほかに「転部入学試験(4月入学)」もあります。
●一般選抜
早稲田大学の試験場において試験を受ける必要がある入試です。
「⼤学⼊学共通テスト」、「外国語」、「英語4技能テスト」の合計点により選抜する⽅式です。
◆学科・募集人員
国際教養学科: 175名
◆試験内容(教科/科目・時間・配点)
1) 大学入学共通テスト(2教科2科目/合計100点)
○国語:国語/配点50点
○選択科目:次のうちから1科目を選択/配点50点
・地歴:①世界史B ②日本史B ③地理B
・数学:①数学Ⅰ・数学A ②数学Ⅱ・数学B
・理科:①物理 ②化学 ③生物 ④地学
※国語は、配点200点を50点に換算
※地歴、数学、理科は、それぞれ配点100点を50点に換算
※「選択科目」において、上記指定科目の範囲内で2科目以上受験している場合は、最高得点の科目の成績を大学側で自動的に抽出し、合否判定に利用
2) 外国語(Reading:90分、Writing:60分/80点)
○英語(コミュニケーション英語Ⅰ、コミュニケーション英語Ⅱ、コミュニケーション英語Ⅲ、英語表現Ⅰ、英語表現Ⅱ)
3) 英語4技能テスト(出願時に提出/20点)
*英語4技能テスト結果の未提出による出願も可能
■英語4技能テスト評価方法
実用英語 技能検定(英検) | TOEFL iBT®テスト | IELTS (Academic) | 加点 |
---|---|---|---|
1級 合格 | 総点95以上 | 総点7.0以上 | 20点 |
準1級 合格 | 総点72~94 | 総点5.5~6.5 | 14点 |
2級 合格 | 総点42~71 | 総点4.0~5.0 | 7点 |
準2級 合格 以下 | 総点41以下 | 総点3.5以下 | 0点 |
未提出(出願可) |
- ※実用英語技能検定は、従来型、CBT、S-CBT、S-Interviewが利用可能。各級合格のみを評価しCSE2.0の総点および各技能点は問わない
- ※TOEFL iBT®テストにおける「MyBest スコア」の利用は認めない
- ※IELTSは、Computer delivered IELTSも利用可能
【参考】:早稲田大学 2023年度 入学試験要項 一般選抜・大学入学共通テスト利用入試
●AO入試(Admissions Office 入学試験)
志願者の学力的側面を評価の中心に据えつつも高等学校時代での様々な活動経験や、当学部への志望動機をあわせて評価対象とすることで、学力・知識のみに偏重せず、問題発見・解決能力の基礎となる思考力や表現力、それらを実行に移す上での行動力まで含めて評価の対象とする総合選抜型の入学試験です。
SILSでは、書類・筆記の各審査を通し、学力・思考力・表現力に加えて国際性を備えた人を積極的に評価しています。
◆AO入試の出願区分
4月入学 | 9月入学 | ||
---|---|---|---|
国内選考 | 国外選考 | ||
募集人員 | 100名 | 100名 | 150名 |
対象 ※1 | ・日本の中等教育課程の修了(見込)者 (在外教育施設出身者、高卒認定試験合格(見込)者等を含む) | ・日本国外の12年間の中等教育課程の修了(見込)者 (日本国内のインターナショナルスクール出身者等を含む) | ・12年間の中等教育課程の修了(見込)者(国内外を問わない) |
※1)国籍は問わない。出願資格の詳細については、入試要項を必ず確認すること
① AO入学試験(4月入学 国内選考)
◆選考方法
「書類審査」および「筆記審査」により行われます。(両方とも出願者全員を受験対象として実施)
1) 書類審査
出願時に提出された書類が審査されます。
2) 筆記審査
筆記審査内容:「Critical Writing」(120分)
※ 早稲田大学(早稲田キャンパス)にて実施
※「Critical Writing」は、与えられた資料を理解し分析したうえで、自分の考えを表現する審査です。
◆主な出願書類(全員必須のもの)
1.Application Form
*オンライン出願システム(TAO)上で作成・提出したものを片面印刷
- ●入力する項目●
- 01_出願者情報(Personal Information)
- 02_学歴(Educational Background)
- 03_英語外部検定試験スコア(English Proficiency Test Information)
- 04_中学卒業以降の国際体験
(今の自分を形作った国際体験について、今の自分にどのような影響を与えているかを日本語500字以内で記載) - 05_中学卒業以降に一番力を入れて取り組んだこと
(中学卒業以降、ご自身の強みを活かしながら一番力を入れて取り組んだことを、その経験を通じて感じたことや気づきを織り交ぜながら日本語300字以内で記載) - 06_Essay
(今までの自身の経験と将来の夢をつなぐ場としてSILSを選んだ理由を日本語800字以内で入力) - 07_出願書類作成後に行うこと・注意点
2.出願資格を証明する書類(厳封必須)
※基本的に、2022年7月1日以降に発行された原本を提出
3.英語外部検定試験スコアを証明する書類
※以下のいずれか1つ以上の英語外部検定試験の提出書類を同封。提出がない場合または学部が定める有効期間外の試験結果を提出した場合などは出願が受理されないので注意
- ●提出が認められる英語外部検定試験●
- ・英検(従来型、CBT、S-CBT、S-Interview)
- ・TOEFL iBT®テスト *MyBestスコアは認められない
- ・IELTS(Academicのみ)
※2023年度入試において、原則としてTOEFL iBT® Home Edition および Paper Editionの使用は認められない。ただし、コロナウイルス感染拡大の影響等により、テストセンターでの受験ができなかった場合のみ、提出を認める。その場合、オンライン出願システム(TAO)上の所定欄に記入し、その根拠となる書類を出願書類に同封して提出
4.コンビニエンスストア入学検定料収納証明書台紙 兼 写真票
【参考】:早稲田大学国際教養学部 AO入学試験要項(総合型選抜)<2023年4月入学・国内選考>
② AO入学試験(4月入学 国外選考)
◆選考方法
書類審査(英語)を基本とします。 *必要に応じて面接あり
【参考ページ】:Application Guide for AO April Entry (Overseas) 2023
③ AO入学試験(9月入学)
◆選考方法
書類審査を基本とします。選考は書類審査を基本とします。出願者は早期入学または通常入学のいずれかを申請できます(両方を申請することは不可)。
申請書とともに提出された書類の審査では、合格、待機リスト、不合格の 3 つの結果のいずれかが生成されます。
合格 | 面接やその他のテストなしで入学できます。 |
---|---|
待機リスト | 合格者の一部が入学を辞退した場合、待機リストにある特定の数の出願者に入学が許可されます。出願者によっては面接を行う場合があります。 |
不合格 | – |
【参考ページ】:Application Guide for AO September 2023 Entry
AO入試の英語外部検定試験に関する昨年度からの変更点
●AO入学試験(4月入学)国内選考で利用可能な英語外部検定試験
基本的には下記の英語テストが利用可能です。
・英検 従来型、CBT、S-CBT、S-Interview
・TOEFL iBT®テスト * My Bestスコア不可
・IELTS(Academicのみ)
※原則としてTOEFL iBT® Home Edition および Paper Editionの使用は認められません。ただし、コロナウイルス感染拡大の影響等により、テストセンターでの受験ができなかった場合のみ、所定の手続きをとると提出が認められます。
●AO入学試験(4月入学)国外選考/AO入学試験(9月入学)で利用可能な英語外部検定試験
基本的には下記の英語テストが利用可能です。
・TOEFL iBT®test *MyBest Scoreは利用できません。
・IELTS (Academic) *IELTS Indicator、IELTS Onlineは利用できません。
ただし、COVID-19の流行により、試験会場へのアクセスが不可能な場合のみ、以下の英語能力試験のスコアが受け付けられます。
– TOEFL iBT® Home Edition
– TOEFL iBT® Paper Edition
– Duolingo英語テスト
(3)現在の学びのスタイル
2022年度秋学期から、早稲田大学では対面授業とオンライン授業が併用されています。
<対面授業・オンライン授業の定義>
◆対面授業は、①全15回中8回以上の対面授業が行われる授業、②ハイフレックス型(教室中継型)のいずれかを指します。ハイフレックス型は、学生自身が、教室での対面受講と、リアルタイム型でのオンライン受講を、自由に選択できる柔軟な授業です。
◆ オンライン授業は、①リアルタイム配信型、②オンデマンド配信型、ならびに①②の組み合わせで行われます。2022年度以降のオンライン科目は、毎回の授業課題の提出など「学びの質」が問われるようになっています。また、フルオンライン以外は、「オンライン授業」の区分でも対面授業が含まれる場合があります。
(4)キャンパスの様子
現在、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、キャンパス入構時および教室利用等については、大学から注意事項が示されています。主なものを抜粋してご紹介します。(2022年12月1日現在)
◆教室等での感染対策
○教室は、厚生労働省が示しているコロナ対策基準に準じ1人あたり毎時30㎥(感染予防に十分な量)の換気量が確保されています。授業時の教室内では、教員の指示に従って各自「3密(密閉・密集・密接)」を徹底的に避け、身体的距離を確保すること。(感染症の状況を勘案し、教室の大きさに対する履修者数が適切となるよう調整されています)
○学生は、発言を求められた時以外は私語を慎むこと。
○教室では、昼休み時間に限り食事が可能です。(飲食不可の教室もあり)
○学内でオンライン授業を受講する際は、3密を避けるためにもラウンジ等は利用せず、所定のオンライン授業受講教室を利用すること。
◆キャンパス入構時
○発熱や咳等の症状があり感染が疑われる場合や、同居者が罹患した場合(寮、下宿の同室を含む)などは登校を控えること。
○キャンパスへの入構にあたっては、通学および授業中を含めキャンパス滞在時には、必ずマスクを着用すること。(感染防止効果の高い不織布マスクの着用を推奨)
○不要不急のキャンパス滞在を避け、授業等終了後は速やかに帰宅すること。
◆飲食について
○キャンパス内外における飲食の機会すべてにおいて、手洗い(手指衛生)を徹底したうえで、「3密(密閉・密集・密接)」を徹底的に避け、身体的距離を確保し、食事中の会話を控えること。
◆課外活動
2022年7月30日より、課外活動の制限が緩和されました。
・これまで原則禁止とされてきたサークル合宿や宿泊を伴う遠征の実施が、事前に大学の承認を得ることで認められるようになりました。(課外活動目的でのセミナーハウスの利用も再開)
・サークル等を単位とする大人数での懇親会、飲み会、打ち上げ等の実施は引き続き禁止されています。
◆イベント開催
2022年9月21日以降、大学でのイベント制限のうち、会食(複数人での会話を伴う飲食)に関する制限を緩和され、立食形式以外の会食の実施が可能となりました。
・キャンパス内で実施、または同大学が主催するイベントを屋内で実施する場合、原則、実施会場の収容定員に対し3分の2以下の人数で開催可能です。(ただし、定められ感染対策を徹底することを条件に、イベントの特性、開催形態に応じて、定員の制限を行わず実施することが許可される場合あり)
・会食(立食形式以外)は、定められた感染対策を遵守することにより可能となります。 ※今後感染が再拡大した場合は、再度制限を行うことが検討されます。
※この記事でご紹介している内容は2022年12月2日現在の情報に基づいています。
※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。