「英語で」学べる学部 2022年度最新情報③ 国際基督教大学(ICU)
世界的なコロナ禍が続いている今、英語を軸に進路を検討する場合に、選択肢の1つとして考えたい国内の「グローバル系大学」。国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、このシリーズでは「英語で学べる」ことに実績・定評がある日本の大学・学部の、コロナ禍の状況を含めた最新入試情報をお届けしています。
3回目となる今回取り上げるのは、国際性が高いことで知られ、日本におけるリベラルアーツ教育のパイオニア大学としても名高い国際基督教大学(ICU)。自由で個性的な学風の流れは入試制度にも随所に感じられ、英語重視でオリジナリティあふれる内容となっています。
【参考ページ】:国際基督教大学(ICU)

どんな学びができる?
ICUとはどんな大学?
国際基督教大学(ICU)は、「キリスト教の精神に基づき、国際的社会人としての教養をもって、神と人とに奉仕する有為の人材を養成し、恒久平和の確立に資すること」を目的として設立された私立大学です。世界人権宣言の原則に立ち、「責任ある地球市民」として世界の平和と 多様な価値観を持つ人々との共生を実現するためにリベラルアーツ教育を実践しています。世界18カ国30のリベラルアーツ大学(2020年現在)が加盟するグローバルリベラルアーツ・アライアンスに日本で唯一、加盟しています。
国際性の豊かさでは日本有数と言われていますが、多くの外国人留学生が在学しているにもかかわらず外国人留学生専用の制度がないのが特徴。東京・三鷹市にある東京ドーム13個分もの広い敷地を持つキャンパスでは、日本人も外国人留学生も同じ授業で学び、同じクラブ・サークル活動に励んでいます。
ICUの主な特色(概要)
特色1) 文理の区別なく幅広く学ぶリベラルアーツ
学部は教養学部のみで、その中に人文科学・自然科学・社会科学の31のメジャー(専修分野)があります。リベラルアーツ教育の”Later Specialization”(専門化を急がず、自分にあった専門を見きわめるべく幅広く学ぶための時間を重視する)という考え方により、入学時に専攻を決める必要はなく、一般教育科目や基礎科目を幅広く学んだ後、2年次の終わりに専門(メジャー)を決定するカリキュラムです。学生は1,2年次に語学教育科目(英語/日本語)、一般教育科目、保健体育科目や、文系・理系30を超える各メジャーの基礎科目など幅広い分野の科目で学問的基礎力を養いながら自分の興味と適性を見極めます。3年次からは主専攻、副専攻で自身の専修分野について学びを深め、最終学年でその集大成として自身で設定したテーマを1年間かけて論文にまとめる卒業研究を行います。
特色2) 少人数・対話型授業
ICUでは「リベラルアーツ実現のための必須条件=少人数教育」と考え、献学から少人数教育を貫いています。専任教員一人あたりの学生数は20名で、学びの中心は「対話」。教員が一方的に話す講義形式ではなく、ディスカッション・対話を中心に進められるグループワークやプレゼンテーションなどの授業が多く、学生の積極的な参加が求められます。授業終了時に授業で聞くことができなかった質問や授業への意見を書き込める「コメントシート」や、授業時間以外に教員の研究室を訪ねて質問できる「オフィスアワー」もあります。
少人数・対話型の仕組みの中で、社会で活躍するとき必要不可欠なプレゼンテーション能力を自然と身に付けていきます。
特色3) 日英バイリンガル教育
キャンパスの公用語は日本語と英語。専任教員の3人に1人は外国籍という国際的な環境の中で、日英両語の高い言語運用能力を育む「日英バイリンガル教育」が徹底されています。主に日本語を母語とする学生は、1年次の大半を費やしてリベラルアーツ英語プログラム (ELA: English for Liberal Arts Program)で学びます。すべての授業が英語で行われるこのプログラムでは、それぞれの習熟度にあわせて決定された課程で、各課程内約20人ずつの「セクション」と呼ばれる少人数のクラスに分かれ、週4コマから11コマの授業を履修。「異文化コミュニケーション」や「生命倫理」などのテーマで、関連文献を読み、議論し、小論文などを書くといった学術活動に取り組みます。学生一人一人の英語力とニーズに合わせたきめの細かい丁寧な指導により、ICUの学びに必要な英語運用能力(academic English skills)とリベラルアーツ教育の根幹となる批判的分析能力(critical thinking skills)を集中的に習得します。
また、期間・地域ともに多様な留学プログラムが用意されており、年間450名(全学生の15%程度)を超える学生が海外で学び、単位を修得しています。
特色4) 学期完結型の3学期制
ICUの1年間は3学期、授業は学期毎に完結します。そのため履修科目の選択機会が4年間に12回あり、学ぶ過程で生まれる興味・関心に合わせたカリキュラムの組み立てが可能です。 また、多くの他大学が1科目につき週1回のみの授業であるのに対し、ICUの場合は1科目につき週複数回の授業が行われることが大半なので、集中的に学ぶことができます。
成績評価はGPA制度で行われます。履修した科目1単位あたりの成績平均点数であるGPA (Grade Point Average)は、学業成績を測る基準であり、奨学金や交換留学の学内選考の合否にも影響する重要な数値。成績が点数化されることで、学生は学習到達度を客観的に把握しやすくなり、教員は履修に関するきめ細かなアドバイスを行うことが可能です。
2022年度の入試情報
2022年度入試制度の特徴・内容
ICUでは、様々な方法で入学者選抜を実施しています。主要な入試は大きく分けて「一般選抜」「総合型選抜」「ユニヴァーサル・アドミッションズ」となります。いずれも、出願はWEBシステムを利用します。
一般選抜※1 [A方式 / B方式] |
総合型選抜※2 [英語外部試験利用] [理数探究型] [IB認定校対象] |
ユニヴァーサル・アドミッションズ | |||
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帰国生入試※3 | English Language Based Admissions※4 | EJU利用選抜※5 | |||
入学時期 | 4月 | 4月 | 4月 | 4月/9月 | 4月/9月 |
主な選考言語 | 日本語 | 日本語 | 日本語 | 英語 | 日本語 |
卒業要件となる語学プログラム | ELA(英語) | ELA(英語) | ELA(英語) | JLP(日本語) | ELA(英語) |
※入学試験の詳細は入学試験要項で必ず確認してください。新型コロナウィルス感染症の影響により、試験日程や方法が変更になる可能性があるため、ホームページで公開される最新情報にご注意ください。
◆一般選抜
高等学校までの学習で蓄積した基礎知識に加えて、入学後のリベラルアーツ教育において必要とされる適性が試されます。A方式とB方式(英語外部試験利用)があり、それぞれ独自の試験方法を通して、受け身の学習を超えて主体的に学ぶことができる学生が選抜されます。
A方式 | B方式(英語外部試験利用) (*1) | |
---|---|---|
募集人員 | 教養学部アーツ・サイエンス学科:240名 | 教養学部アーツ・サイエンス学科:10名 |
試験科目 | ①人文・社会科学または自然科学(いずれか1科目)<80分、80点> ②総合教養【ATLAS】<約80分、80点> ③英語(リスニング含む)<約90分、90点> |
<第一次選考> ①英語(出願書類として提出する英語外部試験の成績証明書) ②総合教養【ATLAS】<約80分、80点> <第二次選考> ③個人面接 |
*1)B方式には英語外部試験スコアの条件があります。次のいずれかの英語外部試験の成績証明書が必要です。
(注)【_】内の数字は合格最低点。いずれも出願開始日から遡って2年以内に受験したものに限る。
- ・IELTS (アカデミック・モジュール) 【6.5以上】
- ・TOEFL iBT®テスト 【79以上】
- ・Cambridge English Qualifications 【175以上】
- ・GTEC CBT【1300以上】
◆総合型選抜
書類選考と面接により、受験生の多様な能力を全人的に見て合否判定が行われる入試制度。
「英語外部試験利用」「理数探究型」「IB認定校対象」の3つの方式があります。提出された書類から学業、課外活動、芸術、スポーツ、奉仕活動などを通して志願者の資質が慎重に審査されたうえで、複数の教員による面接が行われます。
英語外部試験利用(*2) | 理数探究型(*2) | IB認定校対象(*3) | |
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募集人員 | 65名(3つの方式の合計) ※複数の方式への出願はできません。 |
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一次選考 | 書類選考 ※第一次選考(書類選考)の合格者に対して、第二次選考(面接)を行います。 |
||
二次選考 | オンラインによる個人面接 | オンラインによる個人面接<プレゼンテーションを含む> | オンラインによる個人面接(日本語および英語による個人面接)<プレゼンテーションを含む> |
*2)「英語外部試験利用」および「理数探究型」には出願時の成績条件があります。
・英語外部試験利用:高等学校成績全体の評定平均値が4.1以上
・理数探究型:高等学校成績全体の評定平均値が4.0以上で、かつ数学または理科の評定平均値が4.2以上
*3) 「IB認定校対象」では、国際バカロレア ディプロマ取得(見込み)で、かつ「日本語 A」を履修済み(または履修中)であることが必要です。
◆ユニヴァーサル・アドミッションズ
以下の3つの方式があります。
4月入学帰国生入学試験 | English Language Based Admissions | EJU利用選抜 | |
---|---|---|---|
募集人員 | 教養学部アーツ・サイエンス学科: ユニヴァーサル・アドミッションズ全体で120名 | ||
試験科目 | ①英語(IELTS、TOEFL®テストまたはCambridge English) ②小論文(日本語による記述式) ③面接(グループ・ディスカッション) |
基本的に書類審査 | <第一次選考> 書類選考 <第二次選考> 個人面接(日英両語) ※「9月入学」ではオンラインでの面接を予定 |
●4月入学帰国生入学試験:
「外国の教育制度で中・高等学校を通じ2年以上継続して教育を受けた」方を対象とする入試区分。
●English Language Based Admissions(April / September Entry):
英語による書類選考(英語外部試験スコアの条件あり)。4月入学と9月入学のそれぞれについて、出願期間が2回設けられています。なお、結果にかかわらず、再出願には1年間のインターバルが必要となります。
●EJU(日本留学試験)利用選抜(4月/9月入学):
「外国の教育制度のもとで高等学校最終学年から遡って継続して6年以上教育を受けた」方を対象とする入試区分。結果にかかわらず、再出願には1年間のインターバルが必要です。
◆その他の入試制度
下記のような入試制度があります。
・学校推薦型選抜
<募集人員>教養学部アーツ・サイエンス学科:180名
指定された高等学校の生徒で、理数系・文系を問わず広い領域にわたり深い探求心を持ち、ICUに入学後も学問への意識が明確で学習意欲が際だって高い者を選抜。小論文と面接が課されます。
・転編入学制度
<募集人員>教養学部アーツ・サイエンス学科:若干名
一般選抜を受験(合否判定は一般選抜受験者と区別なく行われる)し、合格した場合、「転編入本科学生」として入学できます。ICU入学以前に他の大学もしくは短期大学で修得した単位は、所定の条件をクリアしていれば、入学後に所定の手続きを経て単位の編入が認められます。
- ・社会人入学試験
- ・研究生
- ・聴講生
- ・科目等履修生
- ・協定校からの1年本科生
入試に関する昨年度からの変更点
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、ICUでは2022年度入試に置いて下記のような措置をとることが発表されています。
◇2022 年度 一般選抜及び社会人入学試験の追試験の実施
新型コロナウイルス感染症等の影響により、一般選抜及び社会人入学試験を欠席せざるを得なかった場合は、追試験が実施されます。(詳細は入学試験要項等で確認すること)
◇2022年度一般選抜B方式・社会人入学試験・EJU利用選抜(4月入学)の第二次選考方法の変更
一般選抜B方式・社会人入学試験・EJU利用選抜(4月入学)の第二次選考は、すべて「Zoom」を活用したオンラインによる個人面接となります。
◇総合型選抜における試験実施方法の変更
総合型選抜の第二次選考は、すべて「Zoom」を活用したオンラインによる個人面接となります。
※ 面接の実施言語およびプレゼンテーションのテーマに関する変更はありません。
◇2022 年度総合型選抜(英語外部試験利用・理数探究型・IB 認定校対象)の出願書類の取り扱い
高等学校調査書、学業成績証明書について、新型コロナウイルス感染症の影響により成績が明記されない期間がある場合には、在籍学校の説明を付すことで認められます。
新型コロナウイルス感染症の影響により出願書類原本の海外からの郵送が困難な場合には、証明書/推薦状の PDF を学校/推薦者から本学アドミッションズ・センターに宛てて直接メール送付することが認められます。
◇2022年度4月入学帰国生入学試験における試験実施方法の変更
「小論文」は Web 出願システムにアップロードして提出、「面接」はオンラインによる個人面接が実施されます。
ICUで求められている学生像
国際性への使命、キリスト教への使命、学問への使命を掲げて、「行動するリベラルアーツ」の伝統を築いてきたICUでは、グローバル化する現代の社会でこの理念を実現してゆくために、次のような資質を持つ学生を求めています。
- ・文系・理系にとらわれない広い領域への知的好奇心と創造力
- ・的確な判断力と論理的で批判的な思考力
- ・多様な文化との対話ができるグローバルなコミュニケーション能力
- ・主体的に問題を発見し、果敢に問題を解決してゆく強靭な精神力と実行力
※日本あるいは世界各国の教育制度で、文系・理系にとらわれず幅広く学び、各教科・科目の基礎知識を関連づけて行動する知性へと変革する能力や外国語によるコミュニケーション能力を備えていることが重視されます。
入試関連イベント等の予定
【参考ページ】:オープンキャンパス・学内見学|国際基督教大学(ICU)
<オンラインイベント>
毎月末、高校生・受験生が知りたい、聞きたいことをZoomで直接ICU生に聞くことができる人数限定(約20名)の双方向型オンラインイベント「ICU生と話そう!オンライン・リベラルアーツ・ラウンジ」が開催されています。
<オンライン個別相談会>
ICUでの学びや生活に関してZoomで相談できます。(一人15分・要予約)
<Campus Visit Days(キャンパス見学)>
新型コロナウイルス感染防止の観点から中止されていたキャンパス見学が、10月から再開されました。人数限定、予約制で定期開催されている「Campus Visit Days」で、スタッフによる大学説明(30分)と在学生によるキャンパスツアー(30分程度)が実施されます。
※個別のキャンパス見学は受け付けていません。
※通常、学生・教職員および許可を得た関係者以外のキャンパス内への入構は原則禁止です。
<オープンキャンパス>
「来場参加型」と「オンライン参加型」の2つの方法から選べるようになっています。
※ 緊急事態宣言が発令された場合、来場開催は中止とし、完全オンライン開催に変更されます。
※2021年度の開催分は、2022年3月に最終の開催が予定されています。
現在の学びのスタイル(新型コロナウイルスの影響)
2021年度冬学期は、一部の小さな変更を除いて、秋学期授業形態の基本方針が継続されています(下記)。ICUでは、キャンパスに来ることができない学生のニーズに応えながらも、対面で参加できる授業の数を増やしていくことを目指しています。
<授業形態の基本方針>
(A) 小・中規模授業:
一部の例外を除いて、予想される受講生数が 100 名以下の授業は、冬学期を通してオンライン式で実施するか、またはミックス式(下記参照)で実施するか、いずれかを担当教員が決定します。
(B) ミックス式授業:
オンライン授業と対面授業を組み合わせた授業を「ミックス式授業」と呼びます。キャンパスに来ることができない学生がオンラインで授業に参加できることを前提とし、オンラインのみの授業とハイブリッド式の授業の割合を担当教員が自由に決定できます。
(C) 大規模授業:
予想される受講生が101 名以上の授業は、冬学期を通してオンライン授業となります。
(D) 教室の受講者数上限:
原則として、1つの教室に入ることが許される受講者数上限は、収容定員の半分です。ただし、収容定員が180名の大教室については受講者数上限は100名となります。
(E) 対面だけで開講する科目:
対面のみで開講する授業が少数あります(学生はこれらの授業をオンラインで受講することはできません)。対面のみで開講できる授業は以下の2つのタイプです。
・一部の実験授業、フィールドワークの授業、実習授業、体育の実技授業
・その他対面での開講に適した科目
*対面授業ではワクチン接種履歴にかかわらず、全員のマスク着用が必須となります。
- ★対面で参加できる授業を受講する場合は、オンラインではなく、キャンパスでの参加が原則です。
- ★キャンパスに来ている場合は、ミックス式授業に対面で参加することが求められます。これは、 学生寮に住んでいる学生を含みます。
- ★学内外の感染リスクを下げ、同じ授業を受講している学生が安心して学ぶことのできるよう、キャンパス内外において感染リスクのある行動を避けることが求められます。
※2022年度春学期の方針は別途、設定される予定です。
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※この記事でご紹介している内容は2021年12月17日現在の情報に基づいています。
※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。