海外大生体験談

私の海外大生活~楽あり↑・苦あり↓⑤〜


先輩たちの海外大生活での苦楽を振り返っていただくシリーズも今回で最終回。最後は、アメリカで工学を研究しているYotaro S.先輩です。アメリカで勉学に励む中、思わぬ怪我をしてしまった苦労からどのような学びを得たのか語っていただきます。

 

 

突然の怪我で心身に大ダメージ。でも、“こんな経験、めったにない!“と乗り越えたことが自分の成長につながりました。

 

 

今回の「ラボ協力隊」


 

Yotaro S.先輩

 

アメリカ マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業。   
現在 ジョンズホプキンス大学 (Johns Hopkins University) 博士課程。

高校生から興味があった生物学を最先端の環境で研究をするため海外進学。

 


 

 

Q. 海外での学生生活ならではの「苦労したこと」「失敗したこと」はありますか?

A. 勉強がMAXに忙しい時にまさかの大怪我。手術とリハビリの期間は、時間のやりくりも精神的にも大変でした。

 

一番苦労した頃は、2年生の秋学期でした。その頃、生物工学と神経科学どちらの専攻にしようか迷っていた時期(結局どちらも専攻することになりましたが!)だったのですが、通常学期より多い授業のコマ数をとっていて、とにかく勉強に忙しく睡眠時間がなかなかとれていませんでした。

 

そんな中、テコンドーの部活中に大腿四頭筋を切ってしまい、アメリカで手術を受けることになりました。生まれて初めての全身麻酔の手術を、しかも家族のいない海外で、さらに言うとMAXに忙しかった学期中にしなければなりませんでした。術後も膨大な課題はもちろんなのですが、リハビリにも時間がかかり大変な思いをしました。

 

 

Q. その大変な苦労や失敗。一体どのように乗り越えたのですか?

A. 寮の友人たちには病院の送迎サポートを、勉強面では教授に課題の調整をしてもらいなんとか復帰しました。

 

自分だけではどうにもできなかったのは、病院への行き来。手術を受ける時の病院への送り迎え、術後の歩けるようになるまでのリハビリ期間の1か月ほどの間は、寮の友人たちがサポートしてくれ、大変お世話になりました。 また、授業は待ってくれないので教授たちに連絡をとり、手術・回復期間中は宿題を免除してもらうなどの対応もとりました。状況を理解してくれて対応に応じてくれたことも大変助かりました。

 

 

Q.苦労や失敗から「学んだこと」、「身についた力・スキル」はありますか?

A. 予測していなかった怪我により「普段の苦労は、たいしたことではなかった!」と感じるぐらいメンタルが強くなりました。

 

いつもより忙しくしている時期に突然起きたことだったので本当に大変でした。が、かなり大きな怪我をしていたにもかかわらず、通常学期の倍くらいのコマ数(8授業)をこなしたことにより学業面で自信がつきました意図せずの“まさか”の苦労でしたが、その苦労のおかげで、普段の勉強が忙しいだけの苦労が“楽”に感じるようになり、メンタルが強くなったと思います。 

 

また、手術から回復までにたっぷり時間があったことも良い方に転じました。それは、時間で言うとそれまでに週6時間ほども部活に充てていた時間を読書にあてることできたのです。今まで知らなかった作家の作品を読めたり、親しみのなかった学術分野について知ることができたりなど、怪我でもしていないと使えなかった時間の使い方をしたことにより世界観を広げることができました

 

 

Q.経験されたような“苦労をする意味”って何でしょうか?

A. 起きてしまったマイナスの状況を“人生にめったにない経験!”とプラスに転じられるようになります。

 

怪我をしないことが一番だと思います…笑!ただ、このような大怪我をした以上、状況を変えることはできないので、それをマイナスにしないことが大切です。私の場合は、自分の長い人生の中でのユニークな経験ととらえ、「怪我をしているからこそ、このタイミングで、この状況でできることをしよう!」というポジティブな心持ちで過ごすようになりました。

 

もともとアカデミックだけでも過酷な環境の中で、さらにこのような苦労をしたことで「案外、何でもなんとかなる」という楽観的な考えが芽生えたように思います。

 

 

Q.逆に海外での学生生活で「最高潮だったこと」「最高に楽しかったこと」はどんなことですか?

A. 学期中とは違うゆるやかな時間が流れる夏休み。アクティビティを楽しんだり、研究に没頭したり、最高に有意義でした。

 

大学3年生の夏が印象深いでしょうか。その頃は、大学に残ってずっと研究をしていました。その年、初めてボストンで夏休み過ごしていたのですが、授業というストレスがない中でセーリングのライセンスを取ったり、アメリカ独立にまつわる史跡を巡ったりと、学期中ではできない夏休みならではのアクティビティを数多く体験することができました。また、夏休み中の間、アメリカの各地でインターンをしている友人達と共に旅行できたこともいい思い出です。

 

…と、このように言っていると遊んでいるだけのように聞こえてしまいますが、授業に追われないので研究に関しても没頭でき、多くの時間を割くことができたので、研究を共にしていたラボメイトとも深く話すことができて彼らからもたくさん学ぶことができました。普段では考えられないゆるやかに過ぎる時間を感じ、有意義な時間を過ごすことができました。

 

Q. その経験や出来事が何かに“活きている”と思うことはありますか?

A. 生活と学びのバランスよく過ごすことで「効率よく成長もできる」と実感。ライフワークバランスが大事です。

 

“生活を楽しむ”ということの大事さが身に染みて分かった気がします。学期中は多忙のあまり、生活リズムが崩れてしまうことや勉強にどっぷりとつかりすぎて学ぶことが楽しく感じられなくなってしまう時があります。

 

実際自分も目の前に山積みになっている課題をこなすという感覚にとらわれがちでした。それに対して、この夏の経験は生活と研究をどちらもバランスよく楽しむことができ、そのおかげでどちらの面でも忙しすぎる時期より効率よく成長できた感覚がありました。この実感をもとにそれ以降の学期ではライフワークバランスをより意識するようになりました。

 

Q.最後に、海外大学生活だからできる「成功体験」「楽しい経験」とはどのようなことですか?

A. 海外だからこそ自分とは価値観が違う人と出会う経験が多い。その出会いから学ぶことがたくさんあります。

 

大きな違いの一つとして他人から学ぶことの量の多さが挙げられると思います。国内大に進学する場合、周りの友人や同僚、先生の多くが日本人であるため、バックグラウンド・価値観をある程度共有しています。これに対してアメリカでできた友人の多くが、自分が全く知らないことを常識としてもっていたり逆に自分が当然だとおもっている価値観を共有していなかったりします。そのため、日々周りの人から学ぶことは多いですし、その中で自分の考えを相対化してとらえられるようになった気がします。

 

いかがでしたか? 

Yotaro S.先輩は、思ってもいなかった怪我という突然の出来事を冷静に受け止め、置かれた状況を良い方に利用する考え方をされていました。状況の捉え方や姿勢をマイナスからプラスに変えてみることで、身体の回復だけではなく、勉強面や精神面でも良い結果に結びついていた経験は、とても参考になるお話でした。

 

ここまで5人の先輩たちに、苦労の体験とそこからどのように乗り越えたのか、また、海外進学ならではの最高の出来事を教えていただきました。それぞれのエピソードは、海外で長期的に学び、生活をするからこそ見えてくる景色や身についたスキルやマインドを感じるとても魅力的なものばかりでしたね。共通するのは、どの先輩も海外の地での苦楽の経験が一生に役立つ力になっているようです。

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※この記事でご紹介している内容は2021年3月30日現在の情報に基づいています。

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