先輩が語る「自分らしさで獲得!奨学金への道のりSTORY」 ~トロント大学 Shion I.先輩~
海外大学を目指すうえで、気になるのが「お金」のこと。夢の実現を後押ししてくれる奨学金ですが、数ある制度の中から自分に合ったものを見つけ、限られた時間で準備を整えるには工夫も必要です。今回は、実際に海外進学を果たしたトロント大学のShion I.先輩に、奨学金選びのポイントや応募までの段取り、審査への備え方などをうかがいました。
※ここでご紹介している内容は個人の体験です。実際に準備する際は、必ず最新の情報をご確認ください。
JASSOなど複数応募。戦略的な準備と“自分らしさ”のアピールでチャンスをつかんだ!
今回の「ラボ協力隊」
Shion I.先輩
カナダ トロント大学2年生、経営学専攻。
元々アメリカで働きたいという意向が強く、米国大進学を目指して出願準備を開始。スポーツや国際交流が好きで、中高時代はサッカー部、ビジネスコンテストなど様々な課外活動に取り組んだ。
Q. 奨学金を知り、チャレンジに至ったきっかけは?
「学費の壁」を越えるため情報収集からスタート!主に各奨学金の公式発信を活用。
海外進学を考え始めて気になったのが授業料。海外大学進学において一番ハードルが高いのは、結局のところ金銭面ではないかと思います。
奨学金についてはまず「海外大学 奨学金」とGoogleサーチから始めました。調べたらいくつか出てきますが、給付型(返済なし)で金額が数百万円以上の奨学金は指折り数えるほどしかありません。
それぞれ条件が異なるので、各奨学金のWebサイトにアクセスするのが最も確実です。また、夏~秋にかけてインフォメーションセッションなどがオンラインで行われるので、そこが一番いい情報源になると思います!
Q. 海外進学のために得られた奨学金、その特徴と選考のカギは?
JASSOの給付型奨学金を取得! 応募書類で「日本への貢献」をどう語るかがカギ。
日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(学部学位取得型)
- 【対象】海外の大学で学士の学位を取得するために留学する日本人学生等
・応募時に日本に在住し、高校等卒業後、海外にある大学で「学士号」を取得する課程に直接進学する者
・日本国籍を有する者又は日本への永住が許可されている者
・応募時までに在学した全ての高等学校の評定平均値が、5段階評価で3.7以上に相当する者
・家計支持者の所得金額(父母が共働きの場合は父母の合算額)が、2,000万円以下
など、定められた複数の要件をすべて満たすことが必要
*独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)公式サイトより抜粋
JASSOの奨学金は「国費」を財源としているので、日本にどのように貢献するかが一番重要な審査項目になります。
実際の募集要項にも「留学期間終了後、将来的に大学や研究機関等において、日本の国際競争力の強化や国際社会への知的貢献に資する教育研究を行う意思を有する者」「留学期間終了後、将来的に国際機関等の中核的な職員として国際貢献に資する活動を行う意思を有する者」が応募資格対象者になると書かれています。
そして、JASSOは海外進学関連の奨学金の中でも際立って必要な書類が多いです(圧倒的に!)。その書類一つひとつで「どのように日本に貢献するか」をいかに示せるかが選考の肝になると思います。
Q. 奨学金といってもいろいろ。挑戦した奨学金、応募時に注意したことは?
各制度の給付対象となる大学をチェック。戦略的に志望校をリストアップ!
私が応募した奨学金は「柳井正財団」「笹川平和財団」「JASSO」「大学のニード型・メリット型奨学金(*1)」です。
「柳井正財団」「笹川平和財団」は、奨学金の支給対象としてアメリカ・イギリスのランキングTOP50くらいの大学が指定(*2)されており、その中から出願予定もしくは合格した大学を申請します。
対して「JASSO」は、世界中から好きな大学を8つ選べます。ただ、4大学(奨学金付与が確実)+4大学(再度審査が必要)を、各大学から合格通知が来る前に選ばなくてはいけません。この8大学をどの大学にするか、私はとっても迷いました。なぜなら、奨学金に合格してもその8大学から合格が来なければ、他の大学に合格しても奨学金は付与されないからです。
*1) 大学のニード型・メリット型奨学金
【ニード型】家計の事情で、経済的に学費を全額支払うことが困難な学生に対し、不足分を補うために支給される奨学金
【メリット型】学業成績やスポーツ、芸術、リーダーシップなどで優れた功績・卓越した能力を持つ学生に支給される奨学金
<詳細はこちら:アメリカの大学が提供する返済不要の「メリット型」「ニード型」奨学金とは?>
*2) 各団体の奨学金支給対象大学について、詳しくは最新の応募要項を必ずご確認ください。
トロント大学の同じ二年生のJASSO取得者の友達です!たまたま日本一時帰国の際に同じ飛行機になりました。ちなみに、JASSOは最初の渡航費も支給されます!
そこで、私はとても戦略的にJASSO応募の8大学を選びました。結果的にこの戦略は大成功でした! JASSOに出した第1志望と第2志望のどちらも合格し、最終的に第2志望のトロント大学に奨学金を受けて進学しました。ぜひ、参考にしてみてください。
戦略1:トップ大学ランキング
柳井正財団と笹川平和財団は、それぞれの団体が指定する、アメリカとイギリスのランキング上位の大学のみが対象になります。もともと私はアメリカのトップスクールに行きたい!という思いが最も強く、第1希望だったのですが、もちろん合格率がとても低いことも理解していました。
それと同時に、その大学に合格したらいずれかの奨学金もとれるのではないかと思いました。だからこそ、柳井や笹川の対象にならない大学をJASSOの8大学に入れました。
戦略2:国立州立もしくは私立か
大学からインターナショナル生に奨学金が出るかどうかの差にも注目しました。リサーチの結果、国立や州立の大学は、やはりその現地の学生を優先し、インターナショナル生に対して奨学金をほとんど出しません。
一方で私立の大学は、留学生にも大学が奨学金を給付する傾向があります。そこで私はJASSOのリスト、特に第1~4志望には国立や州立のパブリック大学を主に入れ、私立大学は各大学の奨学金に応募しました。
Q. 情報収集から準備・応募までの段取りは? もし改善ポイントがあれば教えて!
JASSOの書類は大変だけど価値あり!前年の要項を参考に、早めの準備を。
▼準備スケジュールと対策プロセス
高3の7月まで | 奨学金のリサーチ、志望校を決める …早ければ早いほどいいです! |
8月 | 必要な資料を集める(所得や住民票など) エッセイのアイデア・ストーリーを考える …エッセイの質問数が多いので、全体を通して内容に一貫性があるようにすることが大切です! |
9月 | 日本語のエッセイを編集・完成させる …文字数制限はありませんが、用紙全体が埋まるようにするべきです。また、Webサイト上の言葉をそのまま使うのがおすすめです。 |
9月末〜10月上旬 | 英語の質問に対する回答を完成させる |
10月中旬 |
応募書類提出 |
10月末
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面接練習
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JASSOは求められるエッセイの数がとてつもなく、また各問が長いです。ですが、JASSOのエッセイを書ければ、他の奨学金は簡単に出せます。そう感じられるほど書類が大変なので、応募を諦めてしまう人が多いと聞きますが、将来的に1,000万円以上の差ができる可能性があるので絶対に頑張って書ききってください。
▼今だからわかる!対策スケジュールの改善ポイント
私はなんだかんだあって提出が締め切り1分前になり、それはもう心臓が止まりそうでした。なぜなら、Zip(圧縮ファイル)など特殊な形式+ファイルサイズなどの要件が細かく決まっていて、提出できる形になるまでとても時間がかかってしまったからです(焦りとパニックで号泣しました)。
このような状況は絶対にリスキーなので、ぜひこの記事を読んでいる方には最低でも数時間前、できれば前日に提出できるように対策してほしいです。本当に心臓に良くないです。
もっと早く準備を始めるためにできることを紹介します!
JASSOは毎年夏に募集要項が出ますが、主な書類は例年それほど変わっていないと思います。最新版が公開されてから慌てないように、前年の募集要項をWebサイトで見て必要な資料や書類を集め始めることが特に大事だと思います。
Q. 面接ってどんな感じ? 事前準備や本番で意識したことを教えて!
ストーリーで話して自分らしさをアピール。練習は大切、でも丸暗記はNG!
面接は自分らしさを出すことが大事だと思います。その際、自分の良さをアピールするだけじゃなくて、ストーリーとして話す。つまり、自分の言いたいことばかりを語るよりも、相手にどう伝わるかということを意識していると良くなると思います。
事前に練習した方が絶対にいいですが、暗記しすぎて機械的な回答にならないように気を付けてください!
Q. これから奨学金対策を始める人、大変そう…と不安な人にエールを!
夢へのハードルがグンと下げられる奨学金。数ヵ月の努力が未来を変えます!
海外大学に行くハードルはやっぱり高いと思いますが、奨学金を取るとそのハードルがだいぶ下がります。提出書類など準備は大変ですが、そこは絶対に頑張ってアプライして取りきるところが大事だと思います!!
奨学金の応募のための努力は数ヵ月ですが、その奨学金のおかげで4年間の大学生活、そして、将来が全く違うものになります。ぜひ頑張ってください!
いかがでしたか?
返済不要の奨学金を得て名門トロント大学に進んだShion I.先輩。奨学金制度の条件や対象校の違いを丁寧に比較し、戦略的に進めたポイント、書類作成・面接でのリアルな苦労や工夫など、これから挑戦する皆さんが活かせるヒントが詰まっていたのではないでしょうか。気になる奨学金を見つけたら、まずは一歩リサーチから。少しずつ未来への準備を始めていきましょう。
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