海外大学進学情報

日本人留学生が卒業後、海外で就職するには? -アメリカ、カナダ編-

もし海外大に進学したとして、大学卒業後はどうするか考えたことはあるでしょうか?そのまま大学院に進むとか、日本に帰国して英語や学んだことを活かしてグローバル企業で活躍するとか…といったルートを思い浮かべる方も多いかもしれません。一方で、「そのまま海外で働きたい」と思う方も少なからずいるのではないでしょうか。もちろん、将来の夢は大学で学んでいる間にいくらでも変わる可能性があるので、今からはっきりと道を決める必要はありません。ただ、海外で活躍することに憧れて海外大に進学・留学する場合、あらかじめ大学の「その先」まである程度イメージしておくと、在学中にどんな行動をすべきかをつかみやすく、その後の道がスムーズに拓けていく場合があります。

そこで今回から、海外大卒業後に海外で就職するためにはどんな方法があるのか、「アメリカ/カナダ編」、「オーストラリア/ニュージーランド編」「イギリス、ヨーロッパ編」の3編に分けてご紹介します。まずは、「アメリカ/カナダ編」からです!

日本人留学生が海外で就職するには?_アメリカ、カナダ編

<アメリカ>

原則として留学生の就労は禁止
ただしインターンシップを認める制度あり

アメリカの企業には日本のような入社試験・一斉採用はありませんし、決まった時期の就職活動というものも存在しません。就職したい場合は、職務経験、スキル、資格などをまとめたレジュメもしくはCV (curriculum vitae)と呼ばれる履歴書と、自己PRなどを記したカバーレターを自ら提出し、企業側から面接など次のステップに進むようオファーを受ける形で進んでいきます。インターンシップの経験があると高評価を受けることが多く、経験がない学生より20%も雇用される可能性が高まると言われています。一般的に在学中(もしくは卒業後)に自分の専攻を活かした企業でインターンシップを行い、資質・能力などが認められればそのまま社員として採用されるというケースも多いようです。

このようにアメリカでの就職を目指す場合、インターンシップが非常に重要なのですが、原則としてアメリカ国内では、移民法により学生ビザ(F-1ビザ)の留学生は労働ができないことになっています(アルバイトについては、毎週 20 時間以下かつキャンパス内で働く場合のみ可能)。

原則に則ると留学生は給料をもらって働くことは、インターンシップであっても認められないことになってしまいますので、留学2年目以降は下記のような制度が設けられています。

◆カリキュラム実践トレーニング (Curricular Practical Training:CPT)

学生ビザ(F-1)で留学している学生が、大学で学んでいる専攻プログラムの一環として、学外の企業での就業経験を許されるプログラム。専攻したコースのカリキュラムの一部という扱いとなり、移民局の許可を必要とせず在籍する学校のサインだけで実施が可能です。
フルタイムの学生として1年間以上学校に通い続けた後、学校の許可を得ることで、学期中は週20時間まで、学期休みの間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムで就労できます。

※職種は、専攻する学問分野に関連するものに限られます。雇用先から内定をもらってからCPTに申請します。
※CPTには期間の制限等がとくにありませんが、在学中に通算12か月以上CPTに参加した学生はOPTの申請ができなくなります。

◆オプショナル・プラクティカルトレーニング (Optional Practical Training:OPT)

学生ビザ(F-1)でアメリカの大学等に就学している留学生に対し、自分が専攻した分野と関連のある職種にかぎり、アメリカに拠点を置く企業で実地研修を目的とした就労を許可する制度。移民局に申請し、許可を得て行うもので、大学で学んだ専攻分野と関連のある業種であれば、在学中あるいは大学卒業後に、有給または無給での実地訓練を通算12か月間受けることが可能です。雇用主は自分で見つけることが必要です。

※OPTに申請し、許可が降りてから雇用主を探します。

アメリカでの就職を実現するために重要なOPT

OPTには下記の2種類があり、在学中・卒業後のどちらからでもスタートすることができます。いずれも、有給・無給どちらでも可とされています。留学生の場合は、大学等の課程を修了した後にPost- Completion OPTを行うことが多いようです。

●Pre-Completion OPT…在学中(プログラム受講中)に実施するOPT

大学等の在学中に就労を始めることができるOPTで、フルタイムで1年間以上在籍(実質、最低9か月以上のコースを修了)していることが必要となります。学期中の就労の場合はパートタイム(1週間に20時間まで)働くことができ、学期休み中はフルタイムで働くことができます。就労開始90日前から就労許可証を申請することが可能です。

●Post- Completion OPT…卒業後(プログラム修了後)に実施するOPT

大学等の課程修了後に就労を始めることができるOPTです。期間は基本的には12か月間で、この制度を利用すると卒業後に最長1年間(*)はアメリカに滞在することができます。卒業前に移民局に就労許可証の申請が必要で、実際の就労は許可証が届くまで不可となります。また、卒業後の実地訓練は、卒業後14ヶ月以内に終了する必要があります。

*OPTの期間はPre-CompletionとPost- Completionの合計で最長12か月間とされています。在学中にPre-Completion OPTを行った場合は、卒業後のPost- Completion OPTはPre-Completion OPTの期間を差し引いた期間しか働くことができないため、注意が必要です。なお、OPTは学位レベルごとに行うことができますので、コミュニティカレッジや大学院(修士・博士課程)でもそれぞれ12か月間のOPTが可能です。

※STEM OPT Extension:
STEM分野と呼ばれる特定の分野(科学、技術、工学、数学)で学位を取得している場合、さらにいくつかの要件を満たせば卒業後のOPT (Post- Completion OPT)の期間を24か月間延長することができます。これにより、STEM分野の学位取得者は、卒業後も最長で36カ月間アメリカに滞在することが可能です。

OPTの後も現地で働きたいときには

OPT期間終了後に、雇用主にスポンサーとなってもらい、就労ビザに切り替えます(企業に社員として採用されると、就労ビザを申請することが可能)。
最も一般的な就労ビザは、専門的な知識とスキルを必要とする特定分野の仕事が対象となるH-1Bビザです。このビザは抽選制となっており、毎年1回、4月に行われる抽選への申請は雇用主が行います。1年に発行されるビザは85,000件で、H-1Bビザの全申請者のうち30~50%がビザを取得できると言われています。

H-1Bビザとは

通常、学士号以上を必要とする専門職レベルの仕事が対象となります。分野は科学、会計、データ分析、医学、専門的な製品開発、コンピューター サイエンス、エンジニアリングなどです。

※非営利団体での従業員向けのH-1Bビザもあります。対象となるの教育機関・研究機関、病院、政府機関などです。


<カナダ>

就職活動をするためにはまず就労許可証の申請が必要

カナダでは学生ビザで滞在している留学生は、そのままでは就職活動をすることができません。長期的な就職を希望する方はWork Permit(就労許可証)と呼ばれる就労ビザが必要となります。就労ビザには目的や条件に応じて様々な種類がありますが、留学生の場合はPost Graduation Work Permit(PGWP)と呼ばれる就労許可証を申請することが一般的です。

PGWPはカナダ政府認定のカレッジまたは大学などの教育機関(DLI)で、8か月以上学ぶと誰でも申請することが可能です。PGWPを取得すると、大学卒業後にカナダに一時的に居住し、働く資格が得られます。

なお、PGWPは修了したプログラムの受講期間によって発行される有効期間が異なります。2年以上のプログラムを修了した場合は、3年間の許可となります。
PGWPは教育期間の修了証書や成績証明書が発行されてから90日以内に申請します。その後、数週間〜数ヶ月で許可証が届きます。

求人サイトなどで職を探し
自分で履歴書などの書類を送る方法が一般的

カナダではインターネット上の求人サイトや情報掲示板などで、自分の希望にあった職業の募集を探すのが一般的です。気になる求人を見つけたら、自らその企業にレジュメまたはCV(curriculum vitae)と呼ばれる履歴書と、カバーレターをセットにして送付して応募します。企業側が興味を持ってくれた場合は、面接など次のステップに進みます。

その際、知人や関係者からの紹介があることで採用に至る確率が格段に向上するとも言われています。また、就職を希望する企業でのインターンシップやボランティアなどの経験も、高評価につながります。

留学生が就職しやすい分野は、エンジニアリング、ビジネス、会計、財務、コンピュータサイエンスやIT、ヘルスケア、教育などとされます。


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※この記事でご紹介している内容は2022年9月30日現在の情報に基づいています。

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