学びによって未来が変わる!?世界の海外大の学び→職業5つのルート
海外の大学では、学びと職業が密接につながっている傾向が強くあります。そのため、多くの大学では、自分の「好き」や「興味」をそのまま学びに変えて、未来に活かす仕組みが整えられています。今回は、将来を見据えた専攻選びという視点を養う入り口として、実際に職業に結びつく5つの進路ルートの例をご紹介します。

日本の大学と海外の大学の専攻の考え方の違い
海外大では「どんな学びがしたくて、その学びをもとにどんなキャリアを目指すか?」が先にあり、それに合う専攻を選ぶという考え方が主流となっています。
日本の大学では、受験~入学の時点で学部・学科が決まってしまうことがほとんどですが、海外大では選考決定のタイミングは国ごとの方針によります。アメリカなどでは入学後に様々な分野を幅広く学び、自分の興味・関心がある分野を絞り込んで専攻を決定していきますが、イギリスなどでは最初から専攻分野を深く学び始めるカリキュラムとなっています。
ただ、どちらの場合も「専攻」の決定は非常に重要視されています。なぜなら、
○多くの大学で、専攻がそのまま職業につながるケースが多い
○企業の採用も「どの大学で学んだか」より「何をどう学んだか」や「今、何ができるか」を重視する傾向がある
から。
そのため、入学後に専攻を決められるカリキュラムの国・大学でも、将来のことを何も考えずに進路選択をするわけではなく、むしろ「自分の将来像を考えてやりたい学びを明確にし、出願書類で大学に伝える」ことが求められているのです。
海外大の場合、ある程度自由に専攻選びができるという良さがある反面、自分という軸がしっかりしていないと学びの方向を見失いやすいというリスクもあります。学びの自由度があるからこそ、「自分は何が好きか」「自分は何に向いているか」「将来どう生きたいか」を早めに考えておくことがとても重要です。
「好き」や「興味」が出発点!
“どんな学び(専攻)?→どんな未来が待っている?”のルート例
① 映像×テクノロジー
<想定できる専攻例> メディアアート、インタラクションデザイン、映像制作+AIなど
ロンドン芸術大学(University of the Arts London〔UAL〕):イギリス
BA (Hons) Interaction Design Arts
人、デザインされたオブジェクト、体験の関係性に焦点を当てた学際的デザインコース。実験的なテクノロジーとプロセスを通じて、目的のあるコミュニケーションと体験を創造する実践重視のコースです。複数の媒体を駆使し、批判的デザインや社会変革のためのデザインなどのアプローチを取り入れながら、複雑なデザインの問題にこたえる視点を養います。また、デザインプロトタイピング、映画制作、コーディング、フィジカルコンピューティングなども学びます。
≪こんな職業に就ける可能性あり!≫
- ・インタラクションデザイナー
- ・展示デザイナー
- ・デザイン研究者
- ・製品研究開発
- ・グラフィックデザイナー
- ・プロジェクトマネージャー
- ・アートディレクター
- ・コミュニケーションライター
- ・ソーシャル/メディアプランナー
- ・クリエイティブテクノロジスト など
② 心理×社会理解
<想定できる専攻例> 行動科学、教育心理、社会心理、ジェンダー論、AI&心理学など
サセックス大学(University of Sussex):イギリス
Psychology BSc (Hons)
サセックス大学の心理学部はイギリス最大規模。児童発達研究室や人間の心理生理学研究室を含む、イギリスでも最先端の研究施設を活用して学ぶことができます。臨床心理学、児童発達心理学、認知心理学、法医学、健康心理学、社会心理学、応用心理学、神経科学など、様々な専門分野の研究・教育が提供されています。
また、英国心理学会の認定を受けたコースのため、二級優等学位(Second class honours)という最低基準を満たすことで、GBC(Graduate Basis for Chartered Membership)*1の資格を取得できます。
*1) 臨床心理学者や教育心理学者になるための研修を受ける資格
≪こんな職業に就ける可能性あり!≫
- ・神経心理学者
- ・教育心理学者
- ・マーケティング心理学者
- ・AI心理学者
- ・臨床心理士・精神科医 など
③ 環境×サステナビリティ
<想定できる専攻例> 気候変動科学、再生可能エネルギー、環境政策&マネジメント、生態学など
ワーゲニンゲン大学(Wageningen University & Research〔WUR〕):オランダ
MSc Climate Studies(修士)
人類が直面している重要な課題の1つである気候研究に取り組む国際的かつ学際的なプログラム。地球全体の気候変動とその生態系および社会への影響についての理解を深めることに重点を置き、地球科学、生命科学、社会科学の3つの主要領域の知識と専門知識を統合・融合しています。気候変動に関わる最も重要な地球物理学的および生物地球化学的プロセス(メカニズム)を網羅するだけでなく、原因と結果の社会経済的側面、そして社会の対応の主要なカテゴリーとしての適応と緩和についても学びます。
≪こんな職業に就ける可能性あり!≫
- ・国際研究機関、大学、環境団体、政府機関などの気候変動研究者
- ・銀行、保険会社、大手建設会社、エネルギー企業などの研究員
- ・環境コンサルタント
- ・環境データアナリスト など
④ 国際関係×多文化共生
<想定できる専攻例> 国際開発、テクノロジー& 国際関係、人権、移民・難民研究など
ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS, University of London):イギリス
MSc Global Development
開発理論と実践における学際的な社会科学教育を提供し、応用可能な批判的分析能スキルを重点的に養うプログラム。南半球における社会的、経済的、政治的、文化的変化のプロセスと、それが貧困と不安を克服するための取り組みにもたらす主要な政策課題を扱います。特に暴力と紛争、援助の役割、難民、強制移住といった分野に焦点を当て、世界と社会の仕組みについての理解を深めます。
≪こんな職業に就ける可能性あり!≫
- ・国際機関、政府機関などの国際政策アナリスト
- ・NGO / NPO
- ・国際開発コンサルタント
- ・外交官、国際公務員 など
⑤ ビジネス×社会課題解決
<想定できる専攻例> 社会起業、起業・イノベーション、マーケティング&ブランド戦略など
バブソン大学(Babson College):アメリカ
Institute for Social Innovation
あらゆる場所で大きな経済的価値と社会的価値を生み出す起業家精神あふれるリーダーを育成することを目指し、学生が社会価値創造の実践経験を積めるコースと体験的な学習を提供しています。社会革新を生み出すための行動を促すため、学生が共同でプロジェクトを作成し、企業や機関と戦略的に協力できるソーシャルイノベーションベンチャーシップや、起業家精神を活かしながら社会貢献活動を行うことができるコミュニティアクションプログラム(CAP)などが用意されています。
≪こんな職業に就ける可能性あり!≫
- ・起業家
- ・ビジネスコンサルタント
- ・ビジネスイノベーター
- ・ソーシャルアントレプレナー など
どう選ぶ?自分らしい進路を考えるヒント
◆ 自分の「好き」や「得意」を見つけて、続けて取り組んでみる
これまで自分がどんなことに興味を持ってきたか、何が好きだったかを振り返ってみましょう。夢中になったこと、忘れられない経験、楽しかった学びを丁寧に思い出していくと、自分が本当に興味を持てる分野が見えてきます。好きなこと、得意なことに気づいたら、ぜひ継続して思い切り取り組んでみてください。さらに深く学んでみたいことが見つかるかもしれません。
◆ 大学選びに活かす「関わりたい分野からの逆算思考」
「何を学びたいか」よりも先に、どんな仕事をしたいか、どんな分野で働きたいかから考えてみるやり方もあります。たとえば10年後、自分がどこでどんな分野の人と、どんな仕事をしているか想像してみましょう。そのためには大学で「何を、どんなふうに」学ぶのがよいか、というように逆算的に考えていくことで、自分に合った専攻や大学を探す手がかりが見つかります。
◆ 文理や学部にとらわれず、学びを自由に組み合わせてみる
興味がある分野がいくつもある場合は、組み合わせた学びができないか考えてみるのもよいでしょう。一見、関係なさそうな分野同士でも、掛け合わせてみるとすでに専攻として存在する分野になるかもしれませんし、新たな視点が広がる可能性もあります。また、海外大では「ダブルメジャー(2つの主専攻)」や「専攻+副専攻」という制度が用意されており、両方学ぶことが可能な場合も多々あります。
海外大には、日本では考えられないほど多種多様な専攻が用意されています。今回、例として挙げた5つのほかにも、ルートは無限に存在するといってもいいでしょう。常に「自分は何が好き?」「どんな学びが向いている?」と自己分析を繰り返し、自分にフィットした学びに進もうという意欲を持ち続ければ、その先には納得の将来が待っているはずです!
※この記事でご紹介している内容は2025年5月20日現在の情報に基づいています。
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