先輩が語る「海外大からの就職事情」 ~ミネルバ大学卒 Yasuko K.先輩~
海外進学した先輩は、大学での専攻や経験をもとに、どのように卒業後のキャリアを築いているのでしょうか。今回は、世界7都市を移動しながら学ぶミネルバ大学で4年間を過ごし卒業したYasuko K.先輩にインタビュー。キャリア構築や就活の考え方から具体的な活動方法まで、そのリアルな声をお届けします!
※ここでご紹介している内容は個人の体験です。実際に準備する際は、必ず最新の情報をご確認ください。
自ら考え、圧倒的な行動量で納得の結果に!海外で得た視野を持って日本でキャリアを始動。
今回の「ラボ協力隊」
Yasuko K.先輩
アメリカ ミネルバ大学卒(2025年5月末)。
特定のキャンパスを持たない全寮制オンライン大学で、4年間で7都市を移動しながら学ぶ。ビジネス・コンピュータサイエンス学部で、金融およびAIを専攻した。
Q. 最初に大学卒業後の未来を意識したのはいつ頃、どんなきっかけだった?
ビジネスへの興味と同級生からの刺激がきっかけに。インターン応募に挑戦!
大学入学前から、アメリカの大学に進学したらそのまま現地で次の進路を探すものと、無意識に考えていました。大学1年生の頃は自然科学専攻に進み、医学系の道に進もうかと考えていた時期もあり、教授にMedical School(医学大学院)進学について相談していました。
しかし、今まで学んだことがない新しい分野にも興味が湧き始め、ビジネス専攻を選択肢に入れたのが大学2年目に差し掛かる頃でした。ちょうどその頃、5月〜8月にかけてある夏休み(夏学期)を利用して、インターンシップに挑戦してみようと動き始めたのを覚えています。
アメリカでは大学1年生が終わった後の夏休みにインターンに参加する人も多く、周囲の同級生がインターンのオファーを獲得している話を聞くうちに、自然と大学卒業後の進路を意識し始めました。
同時に、「まだ大学に入ったばかりなのに、もうその先の心配をしなければいけないのか」という戸惑いもありました。このジレンマを感じながら、私は「落ちてもいい、受かったらラッキー」くらいの気持ちで、インターン応募に挑戦していました。
インターンシップの経験は、大学や今までに学んできたことが、いかに実社会で通用するか・しないかが突きつけられたという意味で貴重だったと思います。参加したインターンシップそれぞれに違う学びがありましたが、共通して言えるのは「本質」にこだわることの大切さでした。私がここでいう本質は、そもそも誰の何のためにこの仕事が存在しているのかを理解すること、その裏面で自分はなぜこの環境でこの仕事をするのかを考えること、の主に2つでした。
Q. 就職か大学院進学か、日本か海外か… 選択肢は無数だけど迷わなかった?
海外で得た視野を持って日本でのキャリアスタートを選択!今後も柔軟に考える方針。
卒業後、アメリカなど海外で働く選択肢もありましたが、今のアメリカで働きたいという強い気持ちはあまりありませんでした。
また、18年間日本で育ち、4年間海外にいたからこそ、一度日本に戻って、自分が海外で得たものは何だったのか、次に何を得たいのかをもう一度整理したいと考えました。海外生活で得た視野と、日本の現場を知る視点の両方を持って、次のステップに進みたいと思いました。
大学院に進学するか・すぐに働くか、日本か・海外か、という選択肢を前に考え込んだこともあります。でも最終的には、「実現可能性が高く、自分が働きたい場所に行ける」という点で、日本に戻って一旦就職するという今の進路を選びました。
外に行けば戻りたくなり、戻ればまた外に出たくなる。そんな自分の性格も分かってきたので、柔軟に考えることにしました。
Q. いざ本格的な就活へ。何から、どう始めた? 特に意識したことは?
体験談や対策記事を読み込み、就活の流れをイメージ。モチベ維持にSNSを活用。
情報収集の面では、自分で動いて手に入れることを意識しました。日本国内での就職活動の基本的な進め方や、エントリーシート・面接対策に関する情報に関して、オンラインで収集しました。
最終的に就活の中心活動になったボストンキャリアフォーラムについても、オンライン上にある体験談や対策記事を一通り読み込んで、基礎知識をつけ、どのような流れで準備すべきかをイメージできるようにしました。
周囲に就活仲間がほとんどいなかったため、モチベーション維持にも工夫が必要でした。具体的には、X(旧Twitter)で就活用アカウントを作り、活動的に情報発信している就活生などのアカウントをフォローしました。リアルタイムで流れてくる情報を時折追いながら、自分だけが頑張っているわけじゃない、と実感できました。
Q. 就職活動は具体的にどう進めた? 業界・職種の絞り方は?
気になる企業すべてで2名以上の人脈づくり!先輩・同級生と面接対策も入念に。
特にこの分野に行きたい、といった強い興味は初めから持っていませんでした。言い換えれば、将来の選択肢をまだ狭めたくなかったし、これからもいろいろな選択肢が広がっている進路を選びたいと思っていました。そのため、職種を絞るというより、「選択肢が広い」「先のキャリアにもつながる」ことを基準に考えていました。
- 2年生を終えた後の夏休み:興味のある企業をリストアップして人脈づくり、面接対策を実施
時期としては3年生になる前の夏休みに、自分の中で就活のスタートボタンを押しました。その夏休みの目標は、自分でリストアップした興味のある約20社全てで、自分が直接連絡を取れるような知り合いを最低2人ずつ作るというものでした。
セミナーに参加して登壇していたかたをLinkedInで探して直接メッセージを送ったり、1人知り合いができたら「他にも紹介していただけるかたはいませんか」とお願いしてつながりを広げたり、さまざまな方法でアプローチしました。
もちろん、最初は赤の他人に突然連絡を取るのはとても勇気が要りましたが、最悪でも無視されるだけなので、何度も繰り返すうちに気にならなくなりました。1日1歩でも前に進むという意識で取り組み、短距離走ではなく長距離マラソンのつもりでコツコツ続けたのが、うまくいった大きな要因だったと思います。
就活の準備の中でも、特に自分が興味のあった業界に向けた面接対策には工夫をしました。同じ業界志望の同級生と一緒に模擬面接を練習したり、オンライン上にある面接練習用の資料を使って自主練をしたりしました。一番効果的だったのは、大学の先輩にお願いして、本格的な模擬面接の練習相手をしてもらったことです。
その練習は本当に緊張感があり、わざと怖い面接官役もしていただいたことでたくさん失敗も経験しました。ただ、その分本番ではどんな面接パターンでも落ち着いて対応できるようになったので、非常に大きな財産になりました。
3年生に入った秋:夏休み中の活動をもとに事前エントリー開始、ボストンキャリアフォーラム参加
夏休みの間に目標を達成した後、3年生の秋にはボストンキャリアフォーラムに参加することを決めていました。夏の活動を通して興味のある企業も自然と絞れてきており、各社に相談できる人脈もできていたため、エントリーフォームがオープンするたびに順次応募を進めました。
ボストンキャリアフォーラムは、
・事前にエントリーシートを提出し、一次・二次面接をオンラインで済ませ、現地では最終面接だけを受けるパターン
・現地でウォークインしてその場で面接を受けるパターン
の2通りがありますが、私はほぼ全て前者(事前に選考を進めて現地では最終面接を受けるパターン)で臨みました。
大学3年時の11月にボストンキャリアフォーラムに参加した時の様子
企業によっては、フォーラム現地で一次面接から行う場合もありましたが、基本的には事前に選考を進めた企業の最終面接に集中しました。3日間のフォーラムを通して、気になっていた企業すべてに応募し、納得できる結果になったため、それをもって就職活動を終了することにしました。
幅広い業界の人とつながり、話していく中で自分との相性が見えてきた
自分の進路を絞っていった過程は、大学の学びとは直接関係はしていなかったと思います。むしろ最初は視野を広く持っていろいろな業界の会社の人と知り合いになり、話していくうちに段々と自分にしっくりとくる業界が見えてきたという印象です。見ていた業界は、金融・コンサルティング・テクノロジー・コンシューマ製品・物流・貿易といったところです。
興味分野が多様な同級生に囲まれていることで、最初は自分ひとりでは興味を持つことのなかった業界にも触れるきっかけを得られたのは、大学の環境のおかげかもしれません。
Q. 就活において、海外大での経験で特に役立ったと思うことは?
主体的に考え行動する力、言語化する力が武器に。数をこなすことも重視!
海外大学では周りに就活をしている人が少なかったため、自分で「何が必要か」を考えて行動するしかありませんでした。そのおかげで、独自の就活スタイルを築くことができたと思います。
また、大学では日常的に同級生とさまざまな議論をしたり、自分の興味や成長を言葉にして振り返ったりする機会が多くありました。その経験が、就活中の面接での自己表現(Behavioral Questions)にとても役立ちました。
さらに、大学受験のときと同じように、本命だけに絞らず、たくさんチャレンジして失敗も経験することを大切にしました。最初からうまくいく保証はないけれど、数をこなすことで余計な緊張に飲まれず、本来の力を出せるようになると考えたからです。
Q. 大学や同じ専攻の同級生の進路、就活の方法はどんな感じ?
進路も就活も多種多様!互いに経験を共有しながら、個々に合うスタイルを見出す。
私の同級生たちは本当に多様な道に進みました。ビジネス専攻の学生はコンサルティングや金融業界を志望する人が比較的多かったですが、それだけではなく、スタートアップに飛び込んだり、NGOで働いたり、アートやメディア業界に進んだ人もいます。また、就職だけでなく、卒業後に大学院に進学する人も一定数いました。
就職活動のスタイルもさまざまでした。就活のタイミングが日本とアメリカで異なることもあり、私のように3年生の夏から準備をしている人はあまり見かけませんでした。最終学年までインターンを続け、そこから正社員のオファーをもらう人もいました。
国籍や志望業界によって採用スケジュールやアプローチ方法が違うため、お互いの経験を共有し合いながら、自然と自分に合ったやり方を見つけていく雰囲気があったと思います。
私自身も、周りに流されず今の自分にとってベストな方法は何か、を考えながら就活を進められたのは、自分の行った大学特有の環境ならではだったと感じています。
Q. 卒業後に向けてやっておくべきことは? 海外大進学に憧れる皆さんへアドバイスを!
海外進学の醍醐味は視野を広げること。決めつけすぎず、仮説・検証を繰り返して。
大学に入る前から「この国で働きたい」「この分野に行きたい」と、あまり決めつける必要はないと思います。むしろ視野を広げる機会に海外進学があると振り返りながら感じました。
ただ、常に「ここで働いてみたいかも」や「こんな仕事をしてみたいかも」など、仮説を立ててみて自分がそれに対してどう考えるかと検証することは役に立つと思います。
前述したように、大学の初期は医学の道に本気で進みたいと思っていた頃があります。一旦その仮説に基づいて、じゃあMedical Schoolに行くためには何の試験が必要なのか、そのために大学在学中に所属できそうな研究室はあるのか、ということを一通り調べていました。自分の興味分野に精通している教授がいたら、他大学であってもとりあえずメールを送ってみるということもしていました。
そういった過程を経て、やっぱり自分の道ではないのかもと思えば、別の道に変えればいいんです。特に、進路などで常に何らかの不安を感じてしまうような性格の人(私を含め)は、こうやって最初の一歩を早い時期に始めておくことで、自分は何かしら行動しているという安心感を得ることもできるのではないかと、今振り返って思います。
いかがでしたか?
海外大学で視野を広げていく中でビジネスへの興味が芽生え、卒業後は日本に戻ってキャリアをスタートする道を選択したYasuko K.先輩。主体的に考え、行動する力を育んだ大学時代の経験が、就活でも自分に合った方法を見つけ、納得のいくキャリアを切り拓く原動力となったことがうかがえました。
どんな道に進むかは自分次第。未知の世界に踏み出す勇気をもって、自分だけの未来を描いてみませんか?
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オーストラリア / トーレンス大学卒 Subaru S.先輩
アメリカ / ミネルバ大学 Yasuko K.先輩(この記事)
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