海外大学進学情報

日本人留学生が卒業後、「海外で」就職するには?-イギリス、ヨーロッパ編-

海外大で専門分野をしっかり学び、そのまま現地で就職したい、という夢をお持ちの方に向けて、「海外大卒業後に、海外で就職する」ためにはどんな方法があるのかという情報を、地域ごとにお届けしてきたシリーズ。「アメリカ/カナダ編「オーストラリア/ニュージーランド編」に続き、最後は「イギリス、ヨーロッパ編」です!
将来のことはまだ漠然としか考えていない、という方も、海外大に進学した「その先」も少しだけイメージしてみてはいかがでしょうか。

【参考記事】
日本人留学生が卒業後、海外で就職するには?-アメリカ、カナダ編-
日本人留学生が卒業後、海外で就職するには? -オーストラリア、ニュージーランド編-

日本人留学生が海外で就職するには?_イギリス、ヨーロッパ編

<イギリス>

基本的に新卒という考え方はなく、採用はスキルや経験重視

もともとイギリスでは新卒という考えがあまりなく、日本のように就活スケジュールのようなものもありません。自分で仕事のオファーを見つけ、履歴書を送って応募し、連絡がきたら面接を経て採用、というのが一般的な流れです。通常、大学の専攻で学んだ分野に直接関係する職種に応募します。専門の知識・スキルや職務経験をアピールすることが重要になります。

学生の場合、大学に所属している間からインターンシップとして企業で働き、その働き具合が評価されてそのまま就職できるケースもあります。最初は試用期間として数か月勤務した後に、フルタイムの本採用になるかどうかが決まることもあるようです。イギリスでは、学校に通う目的で6か月以上の長期滞在をする予定の留学生に発行されるビザ(Tier4:Student visa)を所持している場合、学期中は週に20時間までアルバイトをすることが可能。長期期間中はフルタイムで働くことができます。

就職活動の際は、CV(Curriculum Vitae)と呼ばれる履歴書が必要になります。CVには定められた型は特にないため、自分で形式と内容を考えて作成します。学歴や職務経歴、保有スキルや資格、志望動機などを記入し、カバーレター(自己PRを記入したもの)をつけて求人に応募します。その後、企業から連絡があればインタビューに進みます。まず電話でのインタビューが行われた後に、正式な最終インタビューが行われることが多いようです。

仕事を探すのは大学の求人ポータルサイトや、一般的なWEB上の求人サイトやSNSを活用します。イギリスの大学にはほぼ必ずキャリア サービスチームがあり、効果的な履歴書の作成方法や自分に適した仕事の探し方、面接の準備などについて指導してくれます。 大学のキャンパスや主要都市で、定期的なキャリアフェア(就職イベント)が開催されていることもあるので、情報を見つけたら参加してみるとよいでしょう(事前予約制のことが多い)。

「Graduate Programme / Graduate Scheme」による
新卒採用に積極的な企業も

イギリスでは近年、求人している企業に自ら直接応募して通常の採用プロセスにのるほかに、注目したい大学・大学院の卒業生のための就職ルートがあります。大企業が中心ですが、新卒の採用に力を入れている企業に「Graduate Programme / Graduate Scheme(大学/大学院卒業生のための訓練制度)」を設けられるようになっています。Graduate Programme / Graduate Schemeとは、大学を卒業する学生にトレーニングを提供する形で、新卒向けのポジションを募集する制度。多くの企業は約2年間の雇用期間を設けており、トレーニング終了後はそのまま正社員として再雇用されるケースが一般的です。選考フローは書類審査・適性検査・オンライン試験・面接などがあります。
この新卒向けのプログラムは国内の学生も対象で、非常に倍率が高く、ネイティブの学生でも内定を得るのが難しいと言われていますが、チャレンジしてみる価値はありそうです。

「Student visa」から「Graduate visa」への切り替えが可能
留学生も就職しやすい環境に!

イギリスで外国人が一般的な職業で就職する際には、Tier2ビザが必要になります(企業でインターンとして働くにはTier5ビザも可能)。
しかし2021年7月より、ビザ制度の改定により、「Graduate visa」という大学卒業者向けの新しいビザが登場。対象となるイギリスの大学・大学院で学位を取得して卒業した場合は、学生ビザ(Student visa)から「Graduate visa」に切り替え申請を行うことで、一定期間、イギリスに留まることが可能になりました。Graduate visaを取得すると、Bachelor’s degree(学士号)またはMaster’s degree(修士号)を取得した卒業生はイギリスに最長2年間、Doctoral student(博士課程の学生)として大学院を修了した卒業生はイギリスに最長3年間滞在し、就労または就職活動を行うことができるようになります。

Graduate visaの間に正規雇用されれば、期間終了後に就労ビザ「Skilled Worker visa」に切り替えることで、継続してイギリスで就労することが可能となります。

※正規留学で卒業し、イギリスの大学・大学院から学位(Degree)を授与されないと条件を満たさないためビザ切り替えの対象となりません。
※Student visaからGraduate visaへの切り替えはイギリス国内からのみ申請可能です。卒業後にいったん出国してしまうと、申請資格はなくなります。

【参考ページ】Graduate visa|GOV.UK

▼Graduate visaの対象となる大学・大学院

「Higher Education Provider with a track record of compliance」に指定されている大学・大学院のみがGraduate visaの対象となります。

【参考ページ】Register of licensed sponsors: students|GOV.UK

※「Register of Student sponsors」で、「Status」が「Student Sponsor – Track Record」であればGraduate visaの対象と判断

<ヨーロッパ>

卒業後の就職は簡単ではないものの
専門知識やスキルを生かして就労できる可能性あり

近年はイギリス以外のヨーロッパに留学する日本人も増えています。最近では英語圏ではないヨーロッパ諸国でも大学に英語のプログラムを用意し、日本人留学生の入学のハードルが低く設定されるようになってきた国もあります。現地の大学や大学院を卒業後、その国にとどまって現地での就職を志す人の割合も増えつつあります。

ヨーロッパの多くの国は労働市場が小さく、日本語需要もあまりないことが多いため、EU域外の外国人である日本人が、現地企業に就職するのはそれほど簡単ではありません。ただ、ヨーロッパに拠点を構える日系企業等にとっては、英語(もしくは現地の言語)に精通しており、かつ「現地文化」を身でもって理解している留学生は魅力的な人材であると言われています。
こうした在欧の日系企業がオープンに人材募集を行うケースは非常に少ないため、まずは「採用情報」を手に入れることが就職への第一歩となります。インターネットを通じた地道な情報収集を行って日本語人材の募集を見つけるか、現地に拠点を持つ就職エージェントにコンタクトして職をみつけるなどの方法が一般的です。

様々な面で多くの優遇がある労働ビザ「EUブルーカード」
条件が合えば取得可能

EU圏内のヨーロッパ諸国では、2011年から順次、大学卒業者のヨーロッパ労働市場への参入を容易にする「ブルーカード」が導入されています(*1)。
EUブルーカードは、高度な専門性を要する仕事に就くことを目的に、3カ月を超えて滞在する非EU/EEA域外の国籍を持つ者に発行される、EU圏内で就労・居住するための許可制度です。対象となるのは、高度な専門技能・資格を持つ「高度技能労働者」のみで、会社・大学などに所属していることが必要です。

*1)EU加盟国のうち、アイルランド、デンマークは適用除外されています。

<EUブルーカードを申請できる条件>

EU/EEA 域外の国籍を持ち、下記の条件を満たしている場合に許可されます。

  • ◆高度な専門資格および/または専門的な経験を持っていること(大卒以上の学歴、もしくは国によっては5年以上の職歴)
  • ◆現地の会社から最低でも1年以上の雇用契約のオファーがあること
  • ◆現地の平均給与の1.5倍の給与を得ていること

EUブルーカードを取得すると、最長で4年間、EUの国々に滞在して働くことができます。最初に雇用された国で18カ月以上滞在・就労すれば、他のEU加盟国への自由な入国、再入国、滞在も許可されます。

※2021年10月に「ブルーカード」制度の改正が採択されており、加盟国は2年以内に法令を整備する必要があると定められています。改正されるのは主に以下の点です。

  • ・申請条件として、12カ月以上とされていた雇用契約が「6ヶ月以上」に緩和
  • ・申請条件として必要な給与水準は、雇用される加盟国の平均給与の1.5倍→平均給与の100%以上、160%以下に変更
  • ・12か月以上の滞在、就労で、別の加盟国への移動が可能


ベネッセの海外進学プログラムなら、
自信を持って進める自分だけの進路ルートや、奨学金を「狙える」ところまでを
徹底的にサポートできます。

いっしょに海外大で学ぶという夢をかなえてみませんか?

お問い合わせはこちら

※この記事でご紹介している内容は2022年10月21日現在の情報に基づいています。

LINE UP

海外、国内を問わず、グローバルな進路を実現する
学習プログラムをご用意しています