「英語で」学べる大学・学部 2023年度最新情報⑤ 上智大学国際教養学部(FLA)
ここ数年続いていたコロナ禍がようやく終息に向かい始め、留学を含めたグローバルな人の動きも活発化してきている昨今。ただ、海外で学びたいという思いを抱きながらも、海外大への進学はまだ少し不安が残るという方も少なくないでしょう。
そんな方には、欧米の大学に近い国際的な環境や「英語で」学ぶ授業、リベラルアーツ教育の実践、留学制度の必修化など、それぞれの個性を強く打ち出している国内のグローバル系大学・学部も十分に選択肢の1つとなりえます。
このシリーズでは、国内・海外問わずグローバル視点での大学選びの一助としていただくため、「英語で学べる」ことに実績・定評がある日本の大学・学部の、コロナ禍の状況を含めた最新入試情報をお届けしています。2023年度入試の第5弾は、上智大学国際教養学部(FLA)を取り上げます。
【参考ページ】:国際教養学部|上智大学 Sophia University
【参考ページ】:Faculty of Liberal Arts|Sophia University(英語)

(1) どんな学びができる?
FLAとはどんな学部?
FLA(Faculty of Liberal Arts)の略称で知られる上智大学国際教養学部。1949年創設の国際部をルーツとし、2006年の改組によって新しい学部名称が誕生しました。日本における国際教育のパイオニア的なプログラムとして、英語によるリベラルアーツ・カリキュラムを提供しているのが大きな特徴です。
十分な国際感覚、言語運用能力、及び柔軟な思考力を養い、グローバル化に対応し多様な文化間の架け橋として活躍できる人材を養成することを目標に、全人的な教育が行われていて、50カ国以上からなる多様なバックグラウンドを持った学生たちが集まっています。
学科として設置されているのは国際教養学科のみ。学科内は「比較文化」「国際ビジネス・経済」「社会科学」という三つの専攻分野に分かれていますが、1年目は基礎教育に専念。1年次は学位取得のための作文コース、パブリックスピーキングコース、クリティカルシンキングコース等の必須科目で構成された「コア科目」を履修することで、批判的思考力や文章力、スピーキングスキルが徹底的に鍛えられます。
2年次以降、3つの分野(比較文化、国際ビジネス・経済、社会研究)から興味のある専攻を選び、その分野を隣接する学問と密接に関連づけながら学んでいきます。3年次・4年次には、選択した専攻の上級コースを受講し、専攻外のコースも継続して受講します。このようにオールイングリッシュで多様な分野を有機的に関連させる学び方により、高度な語学力、多文化対応発信能力、及び柔軟な思考力が養われます。
FLAの主な特色(概要)
◇語学を除くすべての授業を英語で実施
FLAでは、語学を除いたすべての授業が世界共通語である英語で行われています。比較的少人数のクラス編成で、多様なバックグラウンドを持つ教授陣が指導にあたります。
◇「グローバル社会対応型」人材を育成するリベラルアーツプログラム
FLAのアカデミックプログラムは、グローバル化により複雑化する今日の世界を生き抜くために必要な、柔軟かつ批判的な思考力、言語能力、文化的能力を身につけ、多様性を受容し、相互理解を促進するために率先して行動できる人材を育成することを目的としたリベラルアーツカリキュラムです。
≪特徴的なプログラム≫
■FLAコアプログラム
各自の専門分野を選択する前に、しっかりとした学問的基礎を身につけることを目的としたプログラムです。
・Academic English Skills
・English Composition
・Public Speaking
・Thinking Processes
が必須科目です。新入生は学期開始前にプレースメントテストを受け、各レベルに対応するコアプログラムのコースを選択。各コースの履修により、大学レベルで必要とされる重要なリーディング力、ライティング力、批判的思考力を身につけます。また、リベラルアーツ教育の多義性と目的を把握し、幅広いテキストとトピックに触れることで3・4年次の専攻分野を慎重に検討することが可能になります。コア・プログラムでは少人数制を採用しているため、講師と学生、学生同士の交流も盛んです。
■一般教育(GS)
専門分野を超えた幅広い選択科目を履修することにより、学問分野の学際的な理解と基本的な人間的および社会的問題についての考察を促進することを目的としています。キリスト教人間学」「言語」「保健体育」に加え、「社会と文化」「文化の伝統」「政治と経済」の3つのカテゴリーからなる多様な科目で構成されています。また、コンピュータ、環境問題、地理、数学、統計学などの基礎知識を身につけられる多彩な選択科目も履修することができます。
◇3つの専攻分野
FLAでは、比較文化、国際ビジネス・経済、社会科学の3つの専門分野から専攻を選択します。
- ・比較文化(Comparative Culture)コース:美術史/視覚文化、文学、宗教と哲学の分野に焦点を当てた人文科学の学際的な専攻
- ・国際ビジネス・経済(International Business and Economics)コース:ビジネスと経済学の両方を1つの専攻で学ぶことができる独自のカリキュラムを提供する専攻
- ・社会科学(Social Studies)コース:リベラルアーツカリキュラムの中核をなす科目である歴史、政治学、人類学・社会学の3つで構成されている専攻
◇文章作成を支援するライティングセンター
FLAには、すべての生徒を対象に文章作成の指導を行うライティングセンターが開設されています。コア・プログラム必修科目のエッセイ、専攻科目の上級コースでの研究論文など、多方面でライティング・センターのチューターが手助けをしてくれます。ライティング指導は学期を通して開催されており、月曜日から金曜日の授業時間内に予約することができます。指導は主にトレーニングを受けたライティングチューター(グローバル・スタディーズ研究科の大学院生)が担当し、学生が自分の考えや主張を熟練したチューターと一緒に検討する機会として45分間のマンツーマンまたは少人数のグループセッションで実施されています。
(2) 2023年度の入試情報
2023年度入試制度の特徴・内容
FLAは英語学位プログラムとして学部独自の「書類選考入試」と、「推薦入学試験(公募制)」があります。入学時期は春学期(4月)・秋学期(9月)で、いずれも1年次入学、3年次編入学を受け入れています。
※出願にあたっては、必ず公式Webサイトおよび募集要項にて最新情報を確認してください。なお、新型コロナウイルス感染症の影響によるやむを得ない事情により、入試の方針やガイドラインが変更される場合があります。
【参考ページ】:Faculty of Liberal Arts | Admissions (※英語のみ)
書類選考入試
多様な人材を広く世界から受け入れるため、書類選考のみで合否を決定する入試。出身学校の国や自身の国籍は一切問われません。
■募集年次・人員
入学時期 | 募集人員 |
---|---|
春学期(4月1日入学) | 【1年次生】:(第1期・2期計)63名 ※上記の他に、推薦入学で最大41名を受け入れています。 【3年次編入学】:若干名 |
秋学期(9月21日入学) | 【1年次生】:(第1期・2期計)82名 【3年次編入学】:若干名 |
※編入学を希望する場合、春入学は第1期、秋入学は第2期のみで出願が受け付けられます。
■主な出願資格
- ① 学校教育における12年以上の課程を修了した者、および本学入学までに修了見込みの者。
- ② 3年次編入学希望者は、4年制大学の2年次修了(見込み)または短期大学士(準学士)を取得(見込み)の者。
■出願書類
- ① Application Form(Web出願サイトで作成・印刷)
- ② エッセイ(出願理由を述べた500ワード程度の英文エッセイ)
- ③ 高等学校の成績証明書(編入の場合は大学成績証明書) ※日本の教育制度に基づく高等学校の出身者は調査書を提出
- ④ 高等学校の卒業(見込)証明書(1年次のみ)
- ⑤ 以下のa.~d.のうちいずれか1つ以上(SAT®、ACTは2年以内に受験したもの)
- a. SAT®(Reading & Writing, Math)Scores
- b. ACT with Writing Scores
- c. International Baccalaureate(IB)Diploma(Predicted Gradesも可)
- d. GCE A-Level(3科目以上)
- ⑥ TOEFL®テストまたはIELTSの公式スコア(*1)
- ⑦ 推薦状2通(出身学校の教員2名より1通ずつ)
*1) 過去6年間のうち5年間以上、英語を主教材とする教育機関で学んだ者、またはケンブリッジ英語検定でC2以上の英語力を有する者は提出が免除されます。
推薦入学試験(公募制)
日本の教育制度に基づく高等学校卒業見込み者が対象。広く門戸を開き、入学者の多様化を図ることを目的とした、上智大学のすべての学部・学科で行われている入試制度です。高等学校在学中の学習成績、課外活動、社会活動など、1回限りの学力試験では評価しがたい資質・能力を調査書や自己推薦書、レポート等特定課題などで判断するとともに、学科ごとの個別テストや面接によって、志望動機の強さならびに学力到達度や学科への適性を判定します。推薦を受ける高校は特定せず、全国から幅広く優秀かつ個性的な人材を募ります。
■募集人員:37名
■出願資格・要件
次の1~3のすべてを満たす者、または1および<国際バカロレア(IB)枠>の要件を満たす者
- 1.2021年3月に日本の教育制度に基づく高等学校を卒業見込みの者で、上智大学を第一志望とし、出願学科への入学を確約できる者 等
- 2.全体の評定平均値4.0以上を在学全期間を通じて満たす者
- 3.指定された外国語検定試験のいずれかの基準を満たす者
- ・TOEFL iBT®テスト 83
- ・IELTS 6.5
- ・TEAP 340(各75)
- ・TEAP CBT 615
<国際バカロレア(IB)枠>
・IB Diplomaを取得見込みの者。
■出願書類
- 1)上智大学志願票
- 2)写真(Web出願サイトでアップロード)
- 3)高等学校長の推薦状
- 4)高等学校調査書
- ※<国際バカロレア(IB)枠>で出願する場合は、出願する場合は、調査書とIB Diplomaの取得見込証明書を提出
- 5)自己推薦書 ※英語で記述
- 6)外国語検定試験の試験結果を証明する書類(いずれか1つのみ・IB枠を除く)
- 7)出願書類チェックリスト
■選考方法
高等学校長の推薦に基づき、「高等学校調査書」「自己推薦書」「学科ごとの個別テスト」および「面接(英語)」によって総合的に判断し、合否判定を行います。
<学科ごとの個別テスト>
・English Aptitude Test(essay writing)(60分)
(3) 現在の学びのスタイル
<With コロナ、After コロナの環境下での授業対策>
授業は、これまでどおり徹底した感染予防対策を講じながら、キャンパスでの対面を基本とした方針で実施しています。ただし、オンラインを積極的に活用した場合に高い学修効果が得られると判断された科目については、オンデマンド(*2) もしくは、Zoom 等を利用する同時双方向型オンライン授業を実施しています。
また、感染により重篤化のリスクが高いとされる基礎疾患を抱えている場合や、感染・濃厚接触の判明によって一時的に対面授業に参加できない学生を対象に、ハイフレックス授業 (*3) も取り入れています。
オンライン授業(ハイフレックス授業/オンデマンド授業)対策として、会議用マイクスピーカーを全教室に配備。さらに各教室での無線LAN環境の整備やネットワーク構成の見直しなど、さまざまな授業環境の整備も行っています。また「ハイフレックスサポートデスク」を設置し、オンラインでの授業環境向上に備えています。
*2) インターネット上で講義資料や動画を配信し、定められた期間内であれば時間や場所を選ばず受講できる授業形式 *3) 事前の申請・願い出により、対面授業に外部からオンライン(同時双方向(Zoom 等))で参加する形式
(4) キャンパスの様子
上智大学では新型コロナウイルスの感染予防のために「Sophia New Normal」という新しいキャンパスルールを設けました。Sophia New Normalでは「Caring for Each Other-みんなのために、自分のために」というメッセ―ジを掲げ、相手を思いやる気持ちを持って新しい日常に求められる行動様式の実践を呼びかけています。
<新しい日常のためのキャンパスルール~キャンパスで守るべき6つのルール~>
- ●正しくマスクをつけましょう
- ●こまめな手洗い・消毒を
- ●黙食と食前食後のマスクを習慣に
- ●距離を空けましょう
- ●Sophia Wi-FiでのZoomや動画視聴は必要な時だけに
- ●キャンパスの密を避けるため、用が済んだら帰りましょう
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※この記事でご紹介している内容は2023年1月6日現在の情報に基づいています。
※内容には変更等の可能性もありますので、必ず大学発表の「入学者選抜要項」「学生募集要項」等をホームページなどで確認してください。